圧着端子付きケーブル
圧着端子付きケーブルとは?
圧着端子ケーブルは、導線の末端に金属端子を圧着し、信号や電力を安全かつ確実に接続するためのケーブルです。制御機器やセンサ、電源供給用のモジュールなど、さまざまな電子機器や電気設備に使用されます。日本の製造業や再生可能エネルギーシステムでも、信頼性の高い接続手段として広く導入されています。
圧着端子ケーブルの仕組み
圧着端子ケーブルは、ケーブルの導体部分と金属端子を専用工具で強固にかしめることで接続部を形成します。これにより、電気的導通と機械的な固定が同時に確保されます。
このケーブルの主な機能は、確実な電気接続と長期的な信頼性の維持です。たとえば、再生可能エネルギーの分野では、太陽光パネルとパワーコンディショナをつなぐ重要な役割を果たします。また、日本の半導体検査装置やAI搭載の検査機器では、センサや電源ユニットを接続するために、振動や温度変化に強い圧着端子ケーブルが採用されています。
圧着端子は用途に応じて形状やサイズ、素材が異なり、ケーブルの太さや接続先の仕様に合わせた選定が求められます。PicoBlade圧着端子ケーブルやWR-WBT圧着端子ケーブルなどは、小型化や高密度実装が進む機器に適した設計で、日本国内の工場自動化やロボティクス分野でも重要な部品とされています。
圧着端子ケーブルとIDCコネクタの違い
圧着端子ケーブルとIDC(絶縁被覆貫通型)コネクタは、いずれもワイヤ端子接続に用いられますが、構造と用途に違いがあります。圧着端子ケーブルは、裸の導線を金属端子に物理的に圧着して接続する方式で、引張強度が高く、安定した電気伝導性を持ちます。
一方、IDCコネクタは、導線の被覆を剥かずにコネクタの刃先が絶縁体を貫通して導体に接触する方式です。IDCは多芯ケーブルの一括接続に向いており、簡便性が高い反面、振動や高負荷環境では信頼性に劣ることがあります。国内の精密機器や長期運用が求められる設備では、より高信頼な圧着端子ケーブルが選ばれる傾向があります。
圧着端子ケーブルの種類
圧着端子ケーブルは多様な端子規格や用途に応じて多数のバリエーションがあります。用途別・仕様別に分類することで、設計や保守の効率が向上します。
- PicoBlade圧着端子ケーブル:小型で高密度実装に適したタイプ。センサや小型基板の接続に利用されます。
- WR-WBT圧着端子ケーブル:産業用途向けに設計された高耐久タイプ。堅牢性が求められる環境に適します。
- Micro-Fit 3.0ケーブル:3mmピッチで中電力伝送が可能。通信機器や制御ユニットでの使用が一般的です。
- Ultra-Fitケーブル:信頼性と電流容量に優れた設計で、電源ラインや機器間配線に使用されます。
- SQUBAケーブル:防水性と高密度接続を両立。IoTや屋外設備に適しています。
- 多芯圧着ケーブル:複数の信号や電源ラインを一本化したタイプ。制御盤やロボットアームの配線に便利です。
圧着端子ケーブルの利点
工業機器から民生機器に至るまで、圧着端子ケーブルは安定性と作業性の両立が評価されています。
- 電気接続の信頼性が高い:強固な圧着により導通性が確保され、接触不良が起こりにくいです。例:AI検査装置の電源系統、太陽光制御盤のセンサ配線
- 振動や衝撃に強い:機械的に固定されており、耐久性があります。例:搬送ロボット、車載制御装置
- 取り扱いとメンテナンスが容易:端子規格が統一されており、交換が迅速に行えます。例:現場作業時の予備品交換、試作機の配線調整
- 多様な端子・ケーブルとの互換性:PicoBladeやWR-WBTなど、さまざまな規格に対応可能です。例:異なるメーカー製の接続機器、OEM部品間の統合
- 省スペースでの高密度実装に対応:小型端子により、機器内部のレイアウト自由度が高まります。例:FA制御モジュール、医療用分析機器
以下のような短所もあります:
- 圧着作業には専用工具が必要で、初期導入コストがかかる場合があります。
- 圧着品質が作業者や工具の状態に左右されるため、管理が必要です。
圧着端子ケーブルの選び方
信頼性と作業効率を両立するためには、使用条件に応じた仕様選定が不可欠です。
- シリーズ:PicoBlade、WR-WBT、Ultra-Fit、Micro-Fit 3.0、SQUBAなど、使用機器に適した端子シリーズを選定します。
- 圧着コンタクトの種類:丸型端子、旗型端子、スプライス端子など、接続先の形状に合ったタイプを選びます。
- 端子の性別:プラグ(オス)、レセプタクル(メス)を機器側のコネクタに合わせて選定します。
- ケーブルの長さ:用途に応じて75mm、150mm、225mm、300mmなどを選びます。
- 被覆色:黒、赤、青、白など、識別や安全基準に合わせて選定します。
圧着端子ケーブルの用途
さまざまな産業分野で活用されており、国内のIoTや再生可能エネルギー関連にも幅広く対応しています。
- 太陽光発電設備:モジュール間や接続箱内での安定した電力伝送に使用されます。
- 半導体製造装置:高精度な制御信号伝送やセンサ配線に適しています。
- 自動搬送ロボット(AGV):電源供給と制御信号の確実な接続を支えます。
- 駅構内の表示装置:日本国内の公共交通向けディスプレイや制御盤の配線に使用されます。
- 試作・開発現場:電子機器の評価やテスト用として、柔軟に対応できる配線手段として利用されます。
圧着端子ケーブルのメーカー
グローバルおよび国内メーカーが高品質な圧着端子ケーブルを多数展開しています。
- RS PRO:幅広い用途に対応し、堅牢かつ信頼性の高いケーブルを提供。
- Molex:多種多様な圧着シリーズを展開し、高密度配線や特殊用途にも対応。
- Wurth Elektronik:高品質な工業用ケーブルを数多く取り揃え、信頼性に定評があります。
- JST(日本圧着端子製造):日本を代表する圧着端子メーカーで、精密・多用途に強み。
- 東邦電材:日本国内向けに高品質な端子およびケーブル製品を展開。
- ヒロセ電機:精密コネクタ分野に強みを持ち、国内外の多様な機器に採用されています。
圧着端子ケーブルは、接続の確実性と作業性を両立する重要な要素として、日本の製造現場や次世代エネルギーシステムを支える技術基盤の一部を形成しています。
参考文献:
圧着端子ケーブル用RSコンポーネントのご紹介
RSは、日本全国で使用される圧着端子ケーブルの世界的なサプライヤーとして認知されています。当社は、日本の高い性能・信頼性基準を満たす圧着端子ケーブルを提供しており、産業用途から革新的なプロジェクトまで対応する幅広い圧着端子ケーブルを卸売価格で取り扱っています。おすすめ品や交換部品も低価格でご用意しています。配送については、配送ページをご確認ください。