ダーリントントランジスタは、低ベース電流から高いコレクタ電流を得るために使用されるディスクリート半導体です。1つのパッケージ内に2個のトランジスタを接続したダーリントントランジスタは、ダーリントンペアとも呼ばれます。
複数のトランジスタを直結したダーリントン接続により、電流増幅率を非常に大きくできます。一般的なトランジスタの電流増幅率(hFE)は100程度ですが、ダーリントントランジスタは 2000以上が可能です。これにより、僅かなベース電流で大きなコレクタ電流を流すことができます。
ダーリントントランジスタは単一のトランジスタのように動作します。入力トランジスタのエミッタは常に出力トランジスタのベースに配線されています。彼らのコレクタをつなぐことで、入力トランジスタで増幅された電流は、出力トランジスタでさらに増幅されます。
ダーリントントランジスタは、非常に高い電流ゲインを実現できるため、駆動モータやリレーなどの電力用途に最適です。また、ディスプレイドライバ、オーディオアンプ、光センサ、タッチセンサなどにもよく使われています。しかし、ベース電流をすぐに遮断できないため、高い周波数を必要とする用途で使用する場合には注意が必要です。