DIPスイッチ
ディップスイッチ・DIPスイッチとは?
ディップスイッチは、設定いや選択を手動で行うためのコンパクトタイプのスイッチです。プラスチックやスライド型のスイッチを並べた形状で、一般的に基板に直接装着されます。 小型で接続が簡単なため、微粒な設定を要する電子機器や基板上の設計に常用されます。
ディップスイッチの仕組み
ディップスイッチは、内部にスイッチ仕様を持ち、個々のスイッチがオンまたはオフの状態を持つことで電気的接続を制御します。
これにより、多重の設定や操作モードの切り替えが、ハンドツールで簡単に行えるようになっています。
たとえば、設備内の実行動作やアドレスの設定、プログラムの切り替えなど、再プログラム無しで変更できる為、実用性の高さが特徴です。
日本の製造業や製品モジュールでは、大手製造業者のマシン交換、設備の用途変更、または現場での設定変更によく利用されています。IoTデバイスや小型ロボット技術でも、必要に応じた細かな設定変更が可能な為、常用される設備の一つになっています。
DIPスイッチとSIPスイッチの違い
一要線配のDIPスイッチに対して、SIPスイッチは単列のピン配置で装着される為、より簡易な構造となっています。このため、空間的にもこなれる設計が可能で、小型製品や限られたスペースを有効に使用する場合に適します。
一方でDIPスイッチは、配列が雑にならず、更なる操作性や設定の精度を必要とする展開に適しています。
ディップスイッチの種類
市場には用途に応じてさまざまなタイプのDIPスイッチが存在します。それぞれのタイプは操作方法や構造、設置のしやすさに違いがあり、プロジェクトごとに適した選定が求められます。
- スライドディップスイッチ:左右にスライドさせて切り替える基本的な構造。視認性と操作性が高く、標準的な用途に適します。
- ロータリーディップスイッチ:つまみを回して設定する形式。数値やモードの段階設定に向いています。
- プレスタイプディップスイッチ:押すことで切り替えるタイプ。誤操作を防ぎやすく、保護カバーと組み合わせて使われることもあります。
- 凸型ディップスイッチ(出っ形スイッチ):スイッチ部が筐体から突き出た形状で、操作がしやすい反面、外部からの影響を受けやすいため注意が必要です。
- ディプロック型スイッチ:複数のスイッチを1つのユニットにまとめたタイプ。組込み機器での一括設定に適しています。
- カバー付きディップスイッチ:誤動作防止や防塵のために、透明カバーが設けられた製品。屋外設置などに利用されます。
- ノンエンクロージャー型スイッチ:端子部が曲がった形状で、限られた基板スペースに対して有効です。
ディップスイッチの利点
DIPスイッチには多くの実用的な利点があります。導入や設計が比較的簡単で、再設定の柔軟性が高いことから、国内外を問わず幅広い業界で活用されています。
- 安定性と信頼性:物理スイッチであるため誤作動が少なく、長期間の安定動作が期待できます。例:太陽光発電モニタ装置のモード設定、産業ロボットのセンサー感度調整。
- 再設定の容易性:一度設定した後でも簡単に変更できるため、柔軟な運用が可能です。例:物流用制御ボードのルート切替、鉄道設備の動作モード調整。
- 設計自由度の高さ:小型で軽量なため、狭いスペースにも組み込めます。例:通信機器の構成変更、小型家電の機能設定。
- 保守の簡便性:故障時にも部品単位で交換が可能。例:電源装置内の設定用スイッチ交換、評価基板の簡易切替。
- コストエフェクティブな設計が可能:ソフトウェア変更不要で設定変更可能なため、低コストでの開発や保守が行えます。
以下のようなデメリットもあります:
- 手動操作の手間がかかる
- 場所や光によって状態を誤読する可能性
- 種類によっては耐久性に違いがある
ディップスイッチの選び方
あらゆるプロジェクトで最適な結果を得るためには、いくつかの重要な選定基準を考慮する必要があります。
- 実装タイプ:PCB実装、スルーホール実装、表面実装(SMT)に加え、ユニバーサルボード向けのタイプもあります。それぞれの基板設計や作業工程に合わせた選定が重要です。
- 定格電圧:24V、50Vの他に、100Vや12Vに対応したモデルも存在します。高電圧用途か低電力用途かによって選択肢が変わります。
- 定格電流:0.1A未満の信号レベル用から、0. 5A程度までの電力制御用まで幅があります。使用する回路に適した電流範囲を確認する必要があります。
- IP等級(防塵・防水):IP40は一般用途、IP65やIP67は水気の多い現場や屋外でも使用可能。風力発電や輸送インフラなどでは高い保護等級が求められる場合があります。
- 操作感と視認性:使用者の操作頻度や目視確認の必要性に応じて、クリック感のあるものや表示ラベル付きのものなどを選ぶと使いやすさが向上します。
ディップスイッチの用途
DIPスイッチは、産業機器から民生機器まで多岐にわたる分野で使用されています。設計の柔軟性と安定した動作が評価され、商業・産業・ホビー問わず活躍しています。
- 産業用制御装置:PLCやモーター制御装置の初期設定やモード切替に利用。
- 通信機器:アドレス設定やバス通信のID割り当てに活用され、半導体製造設備でも重要。
- 自動車電子部品:車載用センサーや診断装置の動作モードを切り替える用途に使用。
- 再生可能エネルギー分野:太陽光や風力システムの現地設定を行う際に採用されることが多く、国内のエネルギー政策とも関連。
- 鉄道・輸送関連機器:駅ホーム機器や列車内の制御盤にて設定変更を行うための手段として使われています。
ディップスイッチのメーカー
DIPスイッチは、国際的にも国内でも数多くのメーカーが製造しており、品質やラインナップに違いがあります。信頼性の高いメーカーを選ぶことで、長期的な安定運用が期待できます。
- TE Connectivity:高信頼性部品で知られるグローバルブランド。過酷な環境下でも使用されます。
- Omron(オムロン):日本を代表する制御機器メーカー。DIPスイッチの種類も豊富で、国内用途に最適。
- APEM:精密設計と耐久性を備えたスイッチ製品が特徴。産業機器で広く使用。
- C&K:カスタマイズ性の高いスイッチを提供。多様な設計要件に対応。
- Wurth Elektronik:電子部品全般で知られ、DIPスイッチも高い技術力を持つ。
- 日本開閉器工業(NKK Switches):堅牢性と信頼性を誇る国内メーカー。産業ロボットや交通制御にも対応。
本記事で紹介した内容を参考に、DIPスイッチの基本から応用までを正しく理解することが、最適な選定と活用への第一歩になります。
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