• 発行日 2026年7月24日
    • 最終変更日 2026年7月24日
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圧力リリーフバルブとは?仕組み・種類・用途をわかりやすく解説

圧力リリーフバルブは、配管や機器内の圧力が安全な範囲を超えた際に圧力を逃がし、設備を保護するための重要なバルブです。本記事では、圧力リリーフバルブの仕組みや種類、用途、設置時のポイントについてわかりやすく解説します。

Pressure Relief Valves

圧力リリーフバルブとは?

圧力リリーフバルブは、空気圧・油圧システムをはじめ、蒸気や温水を扱う配管設備などで広く使用される安全機器です。システム内の圧力を適切な範囲に維持し、設定値を超える過剰な圧力の発生を防ぐ役割を担います。なお日本では、圧縮性流体を扱うものを「安全弁」、油圧など非圧縮性流体を扱うものを「リリーフ弁」「逃し弁」と呼び分けることがありますが、いずれも過圧からシステムを保護するという基本的な役割は共通です。

過圧状態は、機器の故障や誤操作、熱膨張などにより、システム内の圧力が許容圧力を超えた場合に発生します。

圧力リリーフバルブは、あらかじめ設定された圧力に達すると自動的に開き、システム内の流体を排出して圧力を安全なレベルまで低下させます。過度な圧力は、配管や機器の変形・破損を招くだけでなく、破裂や流体の噴出によって作業者に重大な危害を及ぼすおそれがあります。そのため、圧力リリーフバルブは過圧を防止し、システムの安全性と信頼性を確保する最後の砦として重要な役割を果たします。

圧力リリーフバルブの回路記号

下図は、システム図や回路図で使用される圧力リリーフバルブの回路記号を示したものです。この記号は、シンプルな直動式圧力リリーフバルブを表しています。

ただし、使用するシステムの種類やバルブの構造によっては、異なる回路記号が用いられる場合があります。圧力リリーフバルブは構造上、スプリングが直接弁体を押さえる「直動式」と、小流量のパイロット弁で主弁を制御する「パイロット作動式」に大別され、それぞれ異なる記号で表されます。また、ソレノイドで設定圧力を可変できる比例リリーフ弁なども、区別のために別の記号が用いられます。

圧力リリーフバルブの役割

圧力リリーフバルブは、さまざまな用途で広く使用されています。例えば、産業オートメーションで用いられる空気圧機器などの圧縮空気システムにおいて、システム内の圧力を安全な範囲に維持するために使用されます。

また、圧力リリーフバルブは、石油・ガス、防衛、原子力産業といった高圧環境で使用されるシステムにおいても重要な役割を担っています。これらの分野では、工業用ガスやプロセスガスが高圧で貯蔵・輸送されるため、減圧弁で作業圧力まで下げたうえで使用します。その下流側に圧力リリーフバルブを設けることで、減圧弁の故障などによって圧力が異常上昇した場合にも過圧を防止し、システムの安全な運用を支えています。

過圧によって作業者や設備、プロセスに危険が及ぶ可能性がある場合は、必ず圧力リリーフバルブを設置する必要があります。日本でも、ボイラーや第一種・第二種圧力容器には、法令によって安全弁の設置が義務付けられています。法令の対象外となる一般的な空気圧システムにおいても、安全対策の一環として圧力リリーフバルブを組み込むことが強く推奨されます。

圧力リリーフバルブの仕組み

Pressure Relief Valve

圧力リリーフバルブは、圧縮空気システムや油圧システムを過圧から保護するために使用されます。その役割は、システム内で発生した余分な圧力を排出し、圧力を安全な範囲に維持することです。

弁体に作用する流体の力がスプリングの張力を上回ると、弁体が押し上げられてバルブが開きます。調整ねじを回してスプリングの張力を増減することで、開弁圧力を設定できます。スプリングの張力を強くすると開弁に必要な圧力は高くなり、弱くすると低くなります。

システム内の圧力が設定された開弁圧力を上回ると、スプリング荷重式の機構が作動してバルブが開き、流体を排出して圧力を低下させます。その後、圧力が正常なレベルまで下がるとスプリングの力が再び上回り、バルブは自動的に閉じます。なお、バルブが閉じ始める圧力は開弁圧力よりやや低く、この差は「ブローダウン」と呼ばれます。このように、圧力リリーフバルブは外部からの操作なしに圧力を調整し、システムを過圧から保護します。

なお、圧力リリーフバルブが十分な保護性能を発揮するには、想定される最大流入量を排出できる吹出し能力を備えていることが前提となります。設定圧力だけでなく、必要な排出流量を満たすサイズの製品を選定することが重要です。

圧力リリーフバルブの取り付け方法

圧力リリーフバルブは、あらゆる油圧システムや空気圧システムにおいて重要な役割を担うコンポーネントです。設備や作業者の安全確保は最優先事項であり、リリーフバルブは過圧による機器の損傷や事故を防ぐための重要な安全対策として機能します。そのため、圧力リリーフバルブの性能を十分に発揮するには、適切な方法で取り付け、正しく運用することが不可欠です。

圧力リリーフバルブをシステムに正しく安全に取り付けるために、以下のポイントを参考にしてください。適切な設置は、バルブの性能を最大限に発揮し、システムの安全性と信頼性を確保するうえで重要です。

  • 圧力リリーフバルブは、原則として弁軸が鉛直になる姿勢(立てた状態)で設置してください。傾けて取り付けると、スプリング荷重や弁体の自重が偏って作用し、設定圧力どおりに作動しなかったり、シート漏れの原因になったりします。
  • バルブを過度に締め付けると、本体の変形やねじ部の損傷、漏れの原因となります。ねじ込み式の場合は、必ず本体の六角部にスパナをかけ、規定トルクで締め付けてください。
  • フランジ接続式のリリーフバルブを取り付ける場合は、ボルトを均等に締め付けてください。
  • 流量が制限されないよう、入口配管の口径はバルブの入口口径以上とし、配管はできるだけ短く直線的に施工してください。入口側の圧力損失が大きいと、バルブが開閉を繰り返す「チャタリング」が発生し、シート面の損傷を招きます。
  • 出口側の流れを妨げないよう、出口配管の口径はバルブの出口口径以上としてください。出口側に過大な背圧がかかると、設定圧力どおりに作動しなくなったり、吹出し能力が低下したりします。
  • 出口配管は適切に支持し、吹出し時の反力や熱膨張によって配管へ過大な応力がかからないよう配慮してください。また、排出される流体が高温・有害・可燃性である場合は、作業者にかからない安全な位置へ導き、必要に応じて回収設備へ接続する必要があります。バルブの入口側および出口側には、原則として止め弁を設けてはいけません。

ボイラー用圧力リリーフバルブ

Pressure Relief Valve

ボイラー用圧力リリーフバルブは、ボイラー内の圧力を適切な範囲に維持し、過圧が発生した際には余分な圧力を逃がすために使用されます。これにより、設備の損傷や事故のリスクを低減できます。蒸気ボイラーでは蒸気用の安全弁が、温水ボイラーや給湯設備では加熱による水の膨張に対応する逃し弁が用いられます。設置位置はボイラーの種類によって異なり、本体の外部に取り付けられる場合もあれば、内部に組み込まれている場合もあります。

ボイラーを安全かつ安定して運転するためには、定期的な保守点検が欠かせません。日本では、ボイラー及び圧力容器安全規則により、安全弁を含む附属品の定期自主検査が事業者に義務付けられています。安全弁が正常に作動しない場合、蒸気漏れやボイラー内の圧力異常を招き、最悪の場合は破裂事故につながるおそれがあります。そのため、不具合が疑われる場合は自ら分解・調整せず、資格や専門知識を持つ技術者に点検・修理を依頼してください。

ボイラーの安全弁(圧力リリーフバルブ)を交換する必要がある場合は、有資格者に依頼する必要があります。日本では、労働安全衛生法に基づき、ボイラーの取扱いにはボイラー技士免許が、整備業務にはボイラー整備士免許が必要とされています。作業自体は比較的単純に見えても、誤った施工は重大事故につながるため、点検や交換は必ず有資格の専門技術者が実施してください。

一般的な交換作業の流れは、次のとおりです。

  • ボイラーを停止して電源・燃料供給を遮断し、内部が十分に冷却されてから、システム内の圧力と流体を安全に排出します。
  • 圧力計の指示値がゼロになり、安全に作業できることを確認したうえで、既存の圧力リリーフバルブを取り外します。
  • 設定圧力と吹出し能力が元の製品と同等以上の新しいバルブを、所定の位置に取り付けます。仕様が異なる製品を取り付けると、過圧時に十分な保護性能が得られません。
  • システムを再充填し、接続部からの漏れがないことを確認したうえで、新しい圧力リリーフバルブが設定圧力で正常に作動し、圧力低下後に確実に閉じることを試運転で確認します。

よくある質問

圧力リリーフバルブと減圧弁の主な違いを理解するには、まず減圧弁の動作原理を知る必要があります。減圧弁は、調整スプリングの力とダイアフラムに作用する出口側圧力とのバランスを利用して流体圧力を制御します。減圧弁が開くと出口側の圧力が上昇し、設定された圧力値に近づきます。すると、ダイアフラムに作用する圧力がスプリングの力に打ち勝ち、弁体を閉じる方向へ動かします。この釣り合いが連続的に働くことで、出口側の圧力が設定値付近に保たれます。

一方、圧力リリーフバルブは、タンクやシステム内で発生した余剰圧力を排出することで過圧を防ぎます。これに対して減圧弁は、空気圧回路や油圧回路内の圧力を設定値まで低下させ、一定に維持するために使用されます。減圧弁は、流体ライン内のわずかな圧力変動にも反応するよう設計されており、圧力が設定値を超えないよう継続的に制御を行います。つまり、リリーフバルブが異常時にのみ作動して系外へ流体を排出する安全装置であるのに対し、減圧弁は常時作動して下流側の圧力を所定のレベルに維持する制御装置である点が大きな違いです。また、リリーフバルブが流体を逃がす分岐部に設置されるのに対し、減圧弁は流路の途中に直列に設置されるという構成上の違いもあります。

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