- 発行日 2026年8月28日
- 最終変更日 2026年8月28日
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ケーブルグランドとは?防水・防塵・引張保護・サイズ選定の基本
制御盤や機器のケーブル引込口は、水やほこりが内部に侵入する経路になりやすい箇所です。引込部を適切に保護しないと、内部機器の故障や絶縁不良につながります。本記事では、ケーブルグランドの役割と種類、規格、そしてサイズ選定と取り付けの基本を整理します。

ケーブルグランドとは:配線の貫通部を保護する部品
ケーブルグランドとは、機器やエンクロージャにケーブルを引き込む際、貫通部を密閉するとともに、ケーブルを固定する部品です。防水・防塵と引張保護を一つの部品で担うため、屋外機器や制御盤で広く使われています。
配線口を単に開けただけでは、水分やほこりの侵入、ケーブルの抜けや損傷を招きます。これらを防ぐために、貫通部には適切なケーブルグランドを取り付けることが重要です。エンクロージャ全体の構成についてはエンクロージャ/サーバーラックとあわせて検討します。
ケーブルグランドの役割:防水・防塵・引張保護
ケーブルグランドの役割は、大きく防水・防塵と引張保護の二つに分けられます。両者を満たすことで、配線口の信頼性を確保できます。
防水・防塵性能(IP等級)
内部のシール(パッキン)がケーブルの外周に密着し、水やほこりの侵入を防ぎます。防塵・防水性能はIP等級で示され、屋外や粉じんの多い環境では、高い等級の製品を選ぶ必要があります。
ケーブルの引張保護(張力止め)
ケーブルを締め付けて固定することで、外部から加わる引張力が端子部に直接伝わるのを防ぎます。これにより、接続部のゆるみやケーブルの断線リスクを低減できます。

ケーブルグランドの種類
ケーブルグランドの種類は、材質と用途によって整理できます。設置環境や要求される保護性能に応じて選定します。
区分 | 例 | 主な用途 |
|---|---|---|
| 材質 | 樹脂(ナイロン)/黄銅/ステンレス | 一般用途、耐食性が求められる環境、屋外用途 |
| 用途 | 一般用/EMC対策用/防爆対応 | 一般配線、EMC対策、防爆が必要な場所 |
ケーブルグランドの規格
ケーブルグランドの規格は、取り付けねじと保護等級で確認します。ねじ規格には、メートルねじ(M)、PGねじ、NPTねじなどがあり、機器側のねじに適合させる必要があります。
防塵・防水性能はIP等級で示されます。機器全体で必要な保護等級を確保するには、エンクロージャとケーブルグランドの双方で必要な等級を満たさなければなりません。
可燃性ガスや粉じんが存在する危険場所では、防爆規格に適合したケーブルグランドが求められます。使用場所の区分や条件に応じて、適用される防爆規格や認証を確認し、要件を満たす製品を選定することが重要です。
ケーブルグランドのサイズ選定とサイズ表
ケーブルグランドのサイズを選定する際は、取り付けねじ径と適合ケーブル外径の範囲を確認します。ケーブルグランドのサイズが合っていないと、締め付け不足による防水性能の低下や、固定不良が生じます。
各メーカーが公開するケーブルグランドのサイズ表には、ねじ径ごとに適合するケーブル外径の範囲が記載されています。使用するケーブルの外径を確認し、その値が範囲内に収まる製品を選びます。外径が範囲の上限や下限に近い場合は、隣接するサイズの適合範囲も確認し、使用条件に適した製品を選定します。ケーブル自体はケーブル・ワイヤの仕様とあわせて確認します。
ケーブルグランドの材質と用途による使い分け
ケーブルグランドは、設置環境や用途に応じて材質や機能を選ぶことが重要です。必要な強度や耐食性、ノイズ対策の有無によって、適した種類が異なります。
- 樹脂(ナイロン):軽量で安価、耐食性にも優れ、一般的な屋内外の用途に広く使われます。
- 黄銅:強度が高く、金属ならではの確実な固定と接地が得られます。
- ステンレス:耐食性が高く、屋外や食品・薬品などの環境に適しています。
- EMC対応:ケーブルの編組シールドを確実に接地し、ノイズの侵入・放出を抑えます。
IP等級の目安として、IP54は水の飛まつ、IP66は強い噴流水、IP68は規定された条件下での水没に対する保護性能を示します。屋外盤や洗浄を行う環境では、必要な保護等級を確認したうえで選定します。
ケーブルグランドの使い方(取り付けの基本)
ケーブルグランドの使い方は、次の手順が基本です。締め付けの管理と、パネル厚に合ったねじ長さの確認が、防水性能を左右します。
- 機器のねじ穴に本体を取り付け、必要に応じてナットとワッシャで固定します。
- ケーブルを通し、シール部がケーブル外の周に均一に密着するように調整します。
- メーカーが指定する締め付けトルクで固定し、防水性と固定を確保します。過度に締め付けるとケーブルやシール部を損傷するおそれがあるため、注意が必要です。
取り付け時のよくある失敗
ケーブルグランドは、製品の選定だけでなく、取り付け状態によっても防水性能が左右されます。次のような点に注意が必要です。
- 対応範囲より細いケーブルを使い、シールが密着せずすき間ができる。
- 締め付けが強すぎてケーブルの被覆を傷める、または弱すぎて固定できない。
- 屋外で配線口を上向きに設けると、水がたまりやすくなり、浸入の原因になることがあります。
- ロックナットやシールワッシャの取り付けを省き、パネル部からの浸入を招く。
屋外では、可能な範囲で配線口を下向きに設け、水が伝って侵入しにくい配置にすることが望ましいといえます。取り付け後は、シール部の密着状態と各部の締め付けを確認します。
エンクロージャ全体で防水性能を考える

配線口だけを対策しても、エンクロージャ本体の保護等級やパッキンの状態が適切でなければ、内部への浸入は防げません。防水性能は、筐体・扉・配線口を含めた全体で決まると考えることが重要です。
未使用の配線口は、防水用のプラグ(ブラインドプラグ)で確実にふさぎます。また、屋外では直射日光や温度変化に加え、結露への対策も必要です。ケーブルグランドの選定と合わせて、エンクロージャ側の仕様も確認することで、想定した保護性能を確保できます。









