小ねじ編


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小ねじ編

株式会社 八幡ねじに聞く!小ねじ編

使う前に、選ぶ前に、これだけは知っておきたい部品のジョーシキ。
今さら聞けない あんな質問、こんな疑問を、RSが代わりに伺ってきました。

取材協力:株式会社 八幡ねじ 様

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ところ変われば品変わる
外形のバリエーション

電子機器には、ねじ止め箇所がたくさんあります。

様々な機器の内外で小さなネジがたくさん使われています。ねじ自身でねじの目を刻む「タッピンねじ」なども使われますが、汎用の軸径の小さい頭付きのねじは総じて「小ねじ」と呼ばれます。

小ねじは頭部の形状、呼び径(太さ)、呼び寸(長さ)、材料と表面処理などによって分類され、頭部形状には、なべ、皿、丸、平、バインド、丸皿、トラスなどがあります<図1>。このうち最も一般的なのは「なべ」で、頭部が飛び出さないようにするは皿を、締結物が柔らかい場合等は頭の大きなトラスを使います。バインドはなべとトラスの中間で汎用的に使われます。丸皿はやや特殊ですが、ラック搭載する電子機器では専用のロゼット(丸皿ワッシャ)と組み合わせてパネル固定などに使用されます。

図1:小ねじの形状と呼び寸 (皿と丸皿の呼び寸に注意) 下の写真は丸皿ねじとローゼット


呼び径はねじ部の外径、呼び寸は長さを表します。呼び径は誤解されることは少ないのですが、皿や丸皿の呼び寸は間違えやすいので注意してください。

なお、一般用のねじは大勢の人が使うので統一されていることが好ましく、日本ではJISで規格が定められています。ちなみに、なべ、サラ、丸皿などの JIS規格はISOの国際規格と整合していますので海外でも通用します。一方、アメリカにはユニファイと呼ばれるインチを基準にした別規格がありJIS規格のねじとは整合性がありません。海外製の部品を機器に組み込む場合などは心得ておく必要があります。

簡単なものほど難しい
材料と表面処理

様々な色をしたネジがありますね。

導電性が重要な用途では真鍮、反対に絶縁性を要する場合はプラスチック、腐食を避ける目的ではステンレスなども使われますが、実際に使用されている小ねじの多くは鉄でできています。色などが異なるのは、主にめっきなどの表面処理の違いに因るものです。<図2>によく使われるものの写真を掲げました。この内、質問の多いクロメート処理について整理しておきます。

クロメートとは亜鉛メッキの上にクロム(Cr)で酸化防止の被膜を形成する処理のことを言います。安価なうえに自己補修作用もあるため、ねじだけでなく様々な用途で過去に大量使用されました。そして、その際に使われたのは六価クロム(Cr6+)です。しかしながら、六価クロムには強い毒性と水に溶ける性質があり、土壌や生体を汚染する危険が指摘され世界的な回避策が練られました。よく知られるように欧州のRoHS指令でも六価クロムは鉛やカドミウムなどと共に規制対象になっています。

六価クロムに代わる材料として使われるようになったのが三価クロムです。同じクロムでも三価のクロムは人体に必要とされる成分でもあり毒性の心配はありません。

ただし、三価のクロムによるクロメート処理は六価のクロメート処理を完全に置き換えるものではなく、例えば外観は六価のクロメートよりもむしろユニクロと似た色になります。ねじに適用した場合も三価クロメートは六価クロメートよりも摩擦係数が小さいのでトルク係数が下がりますし、耐食性もやや劣ることは承知してください。話を戻して、屋外設置物など腐食を嫌う用途ではステンレスを材料にしたねじも多用されます。その際、ステンレス(Stainless)は錆びないものと考えがちですが、錆を全く生じないステンレス鋼は存在しません。特にねじの場合は「もらい錆」といって締結相手となる材料の腐食がステンレスねじにまで波及することも多いので注意してください。因みに、ステンレスは、ナットとの締結の際に「噛みつき (焼き付き)」が起こり易く、締めることも外すこともできなくなることがあります。これは材料の持つ性質によるものであるため慎重な作業が求められます。

図1:表面処理による色の違い(枠内はステンレス製ねじ)

相手が肝心
ナットとワッシャ

ワッシャとかナットも同時に使います。

電子機器では、相手方にタップ(雌ねじ)を刻んで使うこともありますが、ナットで部品を固定することも少なくありません。小ねじ用のナットにはJISで1 種/2種/3種に分類される3種類が規定されています<図3>。具体的には、1種は高さが呼び径の約8割片面取り、2種は高さが呼び径の約8割両面取り、 3種は高さが呼び径の約6割両面取りで、これらは一目で見分けがつくと思います。

図3:ナットの外観 (左から1種、2種、3種)

ワッシャではスプリングワッシャや平ワッシャが使われます。<図4>スプリングワッシャは緩み防止の目的で使われますが、ねじの締結力は自身の摩擦から生み出されるものなので緩み留め効果を過大に期待するのは禁物です。一方、平ワッシャは板金精度などの都合で締結する対象物の穴径が大きめになる場合や締結材料が柔らかく、ねじの頭が沈み込む可能性がある場合などに使用します。電子機器では基板のシャーシグラウンドなど緩み防止と同時に電気的導通を期待して刃付きのワッシャも使われます。

図4:ワッシャ(座金)の種類
左から 平(ひら)、スプリング、刃付き(内刃)
平は「みがき座金」スプリングは「バネ座金」、刃付きは「菊座金」とも呼ばれる。

因みに、ワッシャ類は作業の都度ねじに通す必要があるうえ締結の際に落としてしまうなど、機器の製造過程においては作業性を損なうこともあります。そこで、近年ではワッシャをねじに予め取り付けたうえで外れることがないようにした「組み込みねじ」も多く使われるようになりました<図5>。

図5:組み込みねじの例

簡単なものほど難しい
適正と適合

ドライバ一本で締めるだけだから簡単ですよね。

ねじとドライバがあれば部品を取り付けたり外したりできます。その意味でははんだ付けなどよりも簡単かもしれません。しかしながら、シンプルなものほど使い方次第で機能が大きく左右されます。小ねじの場合もトルク、簡単に言えば締め付け力の管理は重要です。ねじの締め付けトルクは弱くても強すぎてもうまくありません。やっかいなのは適正トルクがねじの径や材質だけでは決まらないという点です。締結する部材や表面処理などでも適正なトルクは変わります。したがって、工程や作業毎に最適トルクを定め、管理していくことが肝心です。生産工程などでは電動ドライバなどの定期的チェック、手で締める場合は適正トルクで締めるスキルを獲得する訓練なども必要でしょう。

最後になりましたが、うっかりミスとして起こりがちなのが、ビット(ドライバの刃先)の不適合によるねじ山のつぶれです。小ねじに対しては表<図6>に示した3種のビットがあり、ねじの呼び径に適合したビット (ドライバ)を使わなければなりません。現場で適合ドライバに迷った場合は、初めにNoの大きい方のドライバを当ててみて、ねじと合わなければNoをひとつ下げるようにすると間違わずに済みます。

図6:小ねじ径と適合ドライバ
ドライバのNO NO 0 NO 1 NO 2 NO 3
適合する小ネジ
の呼び径(mm)
1.4/1.7/2/2.3/2.6 2/2.2/2.3/2.5/2.6 3*/3.5/4/4.5/5 6/8

* トラスの3mm小ネジはNO 1

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