IoT向け無線通信規格

LoRaWAN™

低消費な長距離無線ネットワーク「LoRaWAN」を手軽に実現

LoRa / LoRaWAN(ロラワン)とは?

LoRaは、Long Rangeの略であり、米国半導体大手セムテックが開発し、“LoRa Alliance” (世界のIoT関連480社以上が加盟)で仕様化されました。Sigfoxと異なり、通信事業者に拠らず自身でネットワークを構築することも可能なオープンな通信規格であり、その名の通り、都市部で2km、見通しの良い場合は10km程度の1対1での通信を実現する無線技術です。


ステム
LoRa
推進団体 LoRa Alliance(米)
標準規格
LoRaWAN
使用周波数 920MHz帯
(免許不要の周波数帯)
通信速度
上り/下り
250bps~50kbps程度
カバレッジ拡張
数km~十数km

LoRaWAN™は、Long Range(LoRa)Wide Area Network(WAN)の略で、消費電力を抑えつつ、長距離での通信を可能にあする大規模ネットワーク構築を実現するプロトコルです。Wide Area Networkアプリケーションを ターゲットとし、IoTにおけるセキュアなローコストモバイル双方向通信、M2M、スマートシティ、産業アプリケーションなどをサポートするのに必要な機能を備えた低消費電力のWANを提供できるよう設計されています。低消費電力に最適化されており、0.3kbpsから50kbpsのデータレートで数百万ものデバイスとつながった大きなネットワークをサポートします。

LoRaWANによるIoTネットワーク

IoT向けの無線通信として、WiFiやBluetoothがありますが、数キロにおよぶ広範囲ネットワークには適しません。また、4G / 5Gといったセルラー通信にした場合、消費電力や運用コストが導入の妨げとなっています。そこで低消費で広域通信が行える“Low Power, Wide Area(LPWA)””通信として、LoRa無線やその上に構築されたネットワークLoRaWANが注目されています。


LoRaWANで構築したネットワーク全体のイメージ

LoRaWANで構築したネットワーク全体のイメージ


LoRaWANは、センサネットワーク、セキュリティシステム、スマートホーム、スマートメータ、産業用制御、さらにはスマートシティといった用途に最適です。オランダのアムステルダムでは、クラウドファンディングを活用した10台のゲートウェイでLoRaWANによるIoTネットワークを都市として初めて構築。イギリスのカルダーデールでは、河川中に張り巡らせた水位センサとLoRaWANでIoT洪水対策システム:Flood Networkが立ち上げられました。

LoRaWAN™の特長

LoRaWAN™には次のような特長があります。

消費電力量が少ない

LoRaWAN™には消費電力量が少ない特長があります。エンド端末のクラスにより消費電力量は変わりますが、送受信速度が早いことから、その他の通信規格に比べて少なめとなる傾向で、その分メンテナンス回数も抑えられます。消費電力量が少ないLoRaWAN™は、ランニングコストを抑えるために効果的です。


長距離通信ができる

LoRaWAN™は長距離通信が可能であることも大きな特長です。サブギガHz帯域(Sub-GHz:1GHz以下一般的に920MHz帯)での適応スペクトラム拡散方式により、市街地でも2~5km、郊外なら最大15kmの通信距離を実現します。携帯電話のようにエリア設計される通信方式では伝送距離が1~1.5km程度であることからもおわかりいただけるように、LoRaWAN™は長距離通信が可能なネットワークです。
出典:総務省「ワイヤレスブロードバンドの最新事情」(PDF)


通信が安定している

LoRaWAN™はノイズに強く、通信が安定しています。920MHz帯を使用しているため、他のネットワークが混在している場所でも電波の干渉が起きにくいためです。そのため、無線設備や2.4GHzの電波を放出する電子レンジなどの電気製品の近くでも使用でき、ゲートウェイを設置すれば室内でもノイズに悩まされることなく、安定した通信を得られます。


FUOTAをサポートしている

FUOTA(Firmware Update Over The Air)をサポートしていることもLoRaWAN™の特長と言えます。FUOTAはマルチキャストの遠隔ファームウェアアップデートを可能とし、耐用年数内においてリモートアップデートを保証する機能です。長期間に渡る使用を検討しているケースでは、LoRaWAN™においてFUOTAをサポートしていることは大きなメリットとなるでしょう。

LPWAのオープンソース化
~ The Things Network ~

国内で紹介されているLoRaWAN™の多くは、「ノードロック」というタイプのものですが、欧州では「オープン」タイプが主流です。

NPOのボランティア団体である The Things Network(TTN:ザ シングス ネットワーク)は、オープンタイプのLoRaWANによるIoT通信インフラとして、LoRaWANネットワークの普及を目指し、LPWAのオープンソース化を勧めています。


推進団体 ザ シングスネットワーク
The Things Network
コンセプト 「ユーザによって所有・運営される分散型の
オープンなクラウドベースのIoTデータネットワークを構築」
創業者 Wienke Giezeman(CEO)
Johan Stokking (Tech Lead / CTO)
LPWA LoRaWAN(オープンタイプ)
サービス
  • ソフトウェア開発・無償提供(ソースコード開示)
  • 通信料無課金
  • センサノード・クラウドサービスの利用無制限など
LoRaWANネットワークの構築に必要なソフトウェアの開発・無償提供し、且つ、ソースコードもオープンに提供しています。


The Things NetworkのLoRaWANネットワークシステム構成
 

TTNは、既に世界最大のIoT 向けLoRaWAN サービスを提供しています。

オランダのアムステルダム市では、市民の協力で、十数万円するLoRaWANのゲートウェイを市民自身が購入し、設置・運用することによって、街全域を覆うLoRaWANネットワークの構築を完了しています(2015年6月)。オランダは今後、このネットワークをどのように活用していくか、また、欧州全土をカバーするLoRaWANネットワークをどのように構築していくかという議論が始まっています。

TTNを活用することで、通信費負担なく複数のノードを繋いだIoTネットワークを構築でき、Microsoft Azure™や AWS(Amazon Web Service)™ などのクラウド環境でのビッグデータ処理を実現します。

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