小型リレー ガイド

取材協力:富士通コンポーネント株式会社

その名の由来
~機能と用途 ~

—— 「リレー」という名はどこからきたのですか?

リレーの発明は、今から170年以上前に遡ります。最初に使われたのは、サミュエル・モールスによるモールス通信と言われています。有線によるモールス通信では、送受信機間の距離を延ばすと信号の損失が大きくなると同時に、波形が鈍って通信ができなくなります。そこで、モールスは送受信機の間に今のリレーに相当する中継器を介し、信号を作り直して次に渡すことで、長距離通信を可能にしました。次々と信号を受け渡していくことからリレー(Relay)と呼ばれ、日本語では「継電器」になったわけです。リレーはその後、電話交換機や黎明期のコンピュータなどに使われた時代があります。これらは半導体に置き換わっていますが、近年のリレーは機器の電源オンオフや信号の経路切り換えなどに使われています。具体的には、ファックス電話機等の通信機器、冷蔵庫などの家電品、空調や自家発電などの設備機器、エスカレータなどの制御機器、自動車や電車などの車両および信号機など、幅広い分野で発展を遂げました。例えば自動車では、現在1台に20~30個のリレーが使われているほか、新幹線などでも1編成で1000個近くにのぼり、リレー全体としては全世界で年間に約50億個も生産されています。

メリット・デメリット
~ 半導体スイッチとの比較 ~

—— リレーは半導体に置き換わりますか?

リレーは機能の上からは、パワートランジスタやFETなどの半導体と同じスイッチングデバイスと捉えることができます(図1)。その場合、速度や大きさの面では半導体が有利ですから、デジタル論理回路などは半導体に置き換わりました。その一方で、機器の電源などさほどの速度を必要とせず、比較的大きな電流を入り切りさせる目的に対しては、リレーが使われます。

 

図1:リレーと半導体スイッチの機能差違 


その最大の理由はコストです。図2は、スイッチする電流容量とコストの関係を示したものです。半導体の場合は、電流が大きくなるにつれコストが急上昇しますが、リレーの場合は穏やかです。結果として、おおよそ3~10Aを境に、コスト的にリレーが有利なわけです。

   
  図2:リレーと半導体スイッチのコスト比較   


リレーを使う第二の理由は、一次側と二次側が絶縁されていることです。ACラインと直結した回路のオンオフやグラウンド電位が異なる機器間の信号切り換えなどでは、オンオフを制御する一次側とオンオフされる2次側とでグラウンドを共通にできませんが、リレーを使えば特別な回路を使うことなく、絶縁バリアを介してスイッチを制御できるからです。

もうひとつ、リレーの採用理由に挙げられるのは故障モードです。パワー半導体の場合、高温下などではショートモード、つまり端子間が短絡した状態で故障することがありますが、リレーではほとんどがオープンモード、つまり端子が開放(絶縁)になります。電源回路に使用される場合などは、万一の故障に際して「安全側」に倒れるわけで、車両など高い安全性と信頼性を必要とする分野では、従来からリレーが好んで使われています。

スイッチとソレノイド
~ 種類と構造 ~

—— リレーの使い分けを教えてください。

リレーの基本は、電磁石と連携したバネ構造のスイッチです。図3に最も一般的なヒンジ型リレーの構造を示しました。最近では内部構造が見えない不透明の樹脂成形品が多くなりましたが、何れも内部の可動接点はヒンジ(hinge:ちょうつがい)を形成しており、通常は復旧バネと梃子(てこ)の原理によって開かれています。コイルに通電されると接点が磁石に引かれ、接点が閉じると同時に強固な閉磁路が形成されます。その様子を示した写真が図4です。

   

図3:ヒンジ型リレーの基本構造




最近では内部構造が見えない不透明の樹脂成形品が多くなりましたが、何れも内部の可動接点はヒンジ(hinge:ちょうつがい)を形成しており、通常は復旧バネと梃子(てこ)の原理によって開かれています。コイルに通電されると接点が磁石に引かれ、接点が閉じると同時に強固な閉磁路が形成されます。その様子を示した写真が図4です。

   

図4:ヒンジ型リレーの動作例


ちなみに、数十A以上の大電流用には、力が強く接点間のギャップを広くできるプランジャ(Plunger)型が、反対に小信号向けでは、小さなリードスイッチを使ったリードリレーがありますが、数としてはヒンジ型の通常リレーが全体の8割以上を占めます(図5)。
   

図5:大電流に使用する プランジャ型リレー(左)と
小信号回路に用いる リードリレー(右)

選択方法
~ スペックの注目項目 ~

—— 選択に際して肝になる仕様項目は何ですか?

リレーはスイッチとして使うわけですので、選択の手順としては接点(2次側)の電流容量が出発点となり、これに開閉電圧、回路数、そして入力側の電圧定格などが続きます。近年では機器の小型化要求が強まっているため、寸法・形状や実装条件を優先して絞り込まれることも多くなりました。他のチェック事項としては各種安全規格への対応状況などが挙げられます。

出発点となる接点電流は、定常値だけでなく投入時のラッシュ電流等を考慮してください。リレーの仕様は純抵抗負荷で定められていますが、コンデンサ負荷やモータなどでは投入時に過渡現象として大きなラッシュ電流が流れるからです。ラッシュの大きさは負荷によって異なりますが、コンデンサ負荷で定格のおおよそ10倍、モータでは4倍を見込む必要があります。交流を扱う場合には、負荷の力率も影響します。接点電流に余裕のある選択が求められるわけですが、余裕があるからといって大電流用のリレーで小信号を扱うことは好ましくありません。接点の構造や材質が電流容量毎に最適化されているからです。

電流に付随して接点の電圧定格があります。電圧も定常時だけでなく、過渡現象を考慮してください。特に誘導性の負荷では、遮断時に大きな逆起電圧が発生します。また、図6に仕様の一例を示したように、電圧定格は交流と直流では大きく異なることに注意してください。

           
 図6:接点定格の一例
DC AC
接点定格  DC28V 5A     AC120V 5A * 
 最大通電電流  5A 5A
  最大開閉電圧    DC125V  AC250V
 最大開閉電力  140W  600VA 
 最少適用負荷  0.3W 以上 0.3W 以上
*:抵抗負荷
       


違いが出るのは、交流ではスイッチが開く際に発生するアーク(放電)が電圧のゼロクロス時に消えるのに対して、直流ではそれが無いからです。なお、仕様書などで通電時と無通電時の接点状態を記号表記することが多いので、その意味を表にしました(図7)。

   
  図7:接点構成と表示記号   


回路数に関しては、ACラインの電源スイッチとして使用する場合に2回路入りのものを使用して「両切り」とする例が多くなっています。

履歴がものを言う
~ 設計上の留意点 ~

—— 回路設計上のポイントは何ですか?

リレーの1次(入力)側は電磁石、2次(出力)側はスイッチですので、使う上でも各々の側で留意すべき点があります。2次側から先に言うと、一般のスイッチと同様に電流・電圧定格に余裕を持たせること、そして設計に際し投入時のラッシュや遮断時の逆起電圧に対する突入防止やサージ保護など、負荷側での回路的な対策を予め織り込んでおくことです。

一方、1次側の電圧定格は駆動回路に合わせます。ただし、リレーはその原理上、ヒステリシス(磁気履歴)特性を持っており、オンするとき(感動時)とオフするとき(開放時)では電圧が異なることを頭に入れておいてください(図8)。

   
  図8:コイルの電圧とリレー動作   


ちなみに、パルス状に電圧を加えただけで動作が保持されるラッチングタイプのリレーもあります。切り換え時だけしか電力を消費しないことから、省エネ部品として見直されています(図9)。


 図9:ラッチング リレーの一例   

頭も冷やして考えよう
~ 発熱と動作特性 ~

—— 最近のリレーはずいぶん小さくなりましたね。

機器の小型化・高密度実装化に伴い、リレーも小型化が進んでいます。低背のものや細型のものなど選択肢が増えました。ただ、リレーの小型化に伴い使用上気をつけたい事柄があります。それは温度特性、具体的にはリレーの発熱に伴う動作特性の理解です。

リレーの1次側は電磁石ですから、コイルに流れる電流によって発熱しコイルの温度は周囲よりも高くなります。リレーは発熱部品であり、発熱することで動作に制限を生じるという認識を持ってください。

図10は、使用電圧と周囲温度の関係を示したグラフです。コイルにかかる電圧が高いほど電流が多く流れるので、発熱量が増します。コイルの発熱は周囲温度に加算されるので、周囲温度が高くなるほど許容できる最大電圧は小さくなります。図の右下がりの直線による制限がそれで、一般電子部品のディレーティングと同じです。リレーの場合はそれに加えて、感動電圧(最小動作電圧)も温度に比例して高くなるという特性を持っています。これは、コイルの巻き線抵抗に起因する現象です。コイルの磁力は電流と巻線数の積(アンペア・ターン)で決まりますが、通常は電圧源で駆動されるため、オームの法則 [電圧=電流×抵抗] から、巻き線の抵抗変化が動作電圧の変化に反映されることになるからです。銅の抵抗温度係数は0.4%/℃ですので、感動電圧もそれに対応し、図の右上がりの直線がそれを表しています。結果として、周囲温度が高くなるにしたがって使用できる電圧範囲は狭くなりますので、放熱に気を配った部品配置など、周囲温度が高くならない実装を心がけてください。

   
  図10:周囲温度とコイル電圧   

働き過ぎはケガの元
~ 寿命と信頼性 ~

—— 寿命があるってホントですか?

リレーは電子部品の中にあって信頼性の高いアイテムです。とはいえ永遠の命を持っているわけではありません。リレーは接点が機械的な動きをするため、接続と切断を繰り返すにつれて接点が摩耗し、やがて寿命を迎える有限寿命部品なのです。いつ寿命に達するかは、負荷の軽重など使用条件によって変わってきますが、接点定格負荷使用で妥当な使用状態であれば、おおよそ10万回が目安です。図11は、寿命曲線の一例です。

   
 図11:寿命曲線の一例  


なお、ストレスの大きな直流回路に繰り返し使用すると、プラス側の接点が窪んでくるのと同時にマイナス側接点に突起を生じる「転移現象」を起こすことが知られています(図12)。その様子を示しました。

   

図12:耐久試験による接点劣化例

メカの心得
~ その他の注意点 ~

—— 他に気をつける点はありますか?

例えば、リレーを使う目的のひとつに1次側と2次側の絶縁があるわけで、リレーが持つ、1次2次間の絶縁や耐圧を低下させないパターンレイアウトや配線も大切です。

他は、リレーが可動部を持った機械的部品であることを念頭に置けば、対処できるでしょう。例えば、振動や衝撃で接点が動いてしまう可能性が無いわけではありません。そのため、例えばクルマのドア内部に組み込むといったように、大きな振動や衝撃が加わりやすい機器では取り付け方向にも配慮します。

なお、図13のように、リレーの応答時間は動作(感動)と復帰で異なり、動作に要する時間の方が長くなります。動作には接点が移動する時間が含まれるので、サイズの大きなリレーや接点電圧を高めるために、接点間のギャップを広くしたリレーほど時間が長くなります。

また、微視的には接点がバウンドするチャタリングも起こります。これらはパワー回路ではほとんど問題になりませんが、信号回路に使用する場合は、時間方向に対するリレーの動作理解とチャタリング除去など回路側での対処を忘れないでください。

   
 図13:コイル電圧と応答時間 

リレーの仕様


接点構成
ひとつのリレー内に組み込まれている接点の回路構成と、コイルに電圧(電流)を印加した時の接点の動作方式

【例】
接点定格電流

定格通電電流:
閉じているリレーの接点に連続して通電できる電流

定格開閉電流:
接点に負荷を接続して開閉をすることができる電流

接点定格負荷
接点が開閉できる電圧・電流の性能を定める基準。通常は抵抗を負荷したとした場合の値で表される。
コイル定格電圧

該当するリレーが、標準としてそろえているコイル定格電圧の系列(範囲)を示す。
コイル定格消費電力 コイルに定格電圧を印加した際、消費される電力
直流印加:定格消費電力(W)=定格電圧(V)×定格電流(A)
交流印加:定格消費電力(VA)=定格電圧(V)×定格電流(A)
耐電圧 コイル-接点間や開放接点間に高電圧を1分間加えたとき、絶縁破壊を起こさない電圧の限界値
寿命 機械的寿命:
リレーの接点(開閉部)には通電しない状態(無負荷状態)でコイルに定格電圧(電流)を加えてリレーを動作させた時の寿命

電気的寿命:
リレーの開閉接点部に接点定格負荷を接続しコイルに定格電圧(電流)を加えて動作させた時の寿命

安全規格 電気機器に対する感電・火災を防止する為の規格。国によってそれぞれ内容が異なる。

主要な規格名とマーク:
  

接点材質 稼動ばねと固定ばねに取り付けられて電気的に接触性能を保つ為の材質。通常は導電率、熱伝導率のよい銀が主材料として使われる。微小電流負荷では銀の表面に金を被覆処理するのが一般的。
接点接触抵抗 リレーの接点が接触している状態における接触部の抵抗。測定方法としては電流を流した時に接触部で生じる電圧降下を読み取り抵抗値に換算。
接点定格 開閉部の性能を定める基準となる値。接点電圧と接点電流、負荷の種類で表現。
動作時間 コイルに電圧を印加してからa接点が閉じるまで、またはb接点が離れるまでに要する時間
復帰時間 動作しているリレーのコイル印加電圧を切ってからa接点が開くまで、またはb接点が閉じるまでの時間

絶縁抵抗
端子相互間の絶縁性能を規定する抵抗値。通常は直流の高電圧(一般的にDC500V程度)を非導通端子相互間に加え、そこでリークする電流値を測定し抵抗値に換算。

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