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      • 発行日 2024年4月26日
      • 最終変更日 2024年4月26日
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    パスコン(バイパスコンデンサ)とは?役割や設置の方法について解説

    パスコンとはバイパスコンデンサの略で、電気回路においてノイズを除去する目的で用いられます。この記事ではパスコンの概要と役割について解説し、パスコンを設置するときのポイントと静電容量の決め方について紹介します。

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    パスコン(バイパスコンデンサ)とは?

    バスコンとは、電気回路において電源や信号線とグラウンドの間に設置されるコンデンサのことを指します。パスコンという部品があるのではなく、コンデンサの使い方を意味する単語です。

    パスコンはデカップリングコンデンサと呼ばれることもあります。

    ノイズをグラウンドにバイパス(迂回)することがパスコンを設置する目的であり、パスコンを設置することで安定した電源を回路に供給することが可能となります。

    パスコンは回路によって、適切な静電容量を持つコンデンサを選択する必要があります。

    パスコン(バイパスコンデンサ)の役割

    パスコンの役割は大きく分けて3つあります。パスコンの役割についてそれぞれ解説します。

    ノイズの除去

    電源や信号線には、外部からのノイズや、電源スイッチの切り替えによって発生する鋭い波形のノイズ(スパイク)が混入しやすいです。

    この電源からの電力をそのまま回路に入力してしまうと、回路の挙動がおかしくなったり、故障の原因となったりします。

    そこで、パスコンを回路に投入することでノイズの除去をすることができます。

    パスコンは電源や信号線とグラウンドのインピーダンスを下げて、電源ラインに入ってくるノイズをグラウンドにバイパスすることによって除去します。

    電源電圧の変動を防ぐ

    パスコンは電源電圧の変動を防ぐ役割も担っています。具体的には、パスコン内に貯まっている電荷を放出することで電源電圧の変動を軽減します。

    パスコンがない回路では、電源線に存在する抵抗やインダクタンス成分によって、電圧の変動が生じてしまいます。この変動は回路の誤作動や新たなノイズを発生させる原因となります。

    パスコンを設置することで、パスコンからの電荷放出を行い、電源電圧の変動を抑えることが可能となります。

    一時的な補助電源

    デジタル回路においては、パスコンはICへの電力供給を補助する役割も持っています。

    ICの消費電力が大きくなると、十分な電流がICに供給されない問題が発生します。このようなシーンにおいては、パスコンによって放出された電荷を補助電源として利用できます。

    ただし、放出できる電荷の量は限りがあるため、補助電源用途としてパスコンを利用する場合には十分な静電容量を持ったパスコンを選択する必要があります。

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    パスコン(バイパスコンデンサ)を設置するときのポイント

    コンデンサをパスコンとして利用するためには、回路内の適切な場所に設置することが重要です。この章ではパスコンを設置するときのポイントについて解説します。

    ICの電源ピンの近くに設置する

    パスコンは、なるべくICの電源ピンの近くに設置する必要があります。その理由はICとコンデンサが離れていると、その間の配線のインダクタンス成分が大きくなってしまうからです。

    パスコンを設置する理論的な背景には電源線とグラウンドのインピーダンスを下げることがあります。ですので、なるべく電源ピンの近くに設置することでパスコンとしての効果を得られやすくします。

    また、パスコンをICの近くに設置することでノイズが流れる回路が小さくなります。これによって、他の配線に伝導してしまう可能性を低くできます。

    容量が小さいものから電源ピンに近づけて設置

    複数のコンデンサをパスコンとして用いることもあります。この場合には、静電容量が小さいコンデンサから順に、ICの電源ピンに近くなるように設置します。

    徐々に静電容量が大きくなるようにコンデンサを配置することで、効率的なパスコンの設置が可能となります。

    ノイズの周波数帯から静電容量を決める

    ノイズを除去したい場合、そのノイズの周波数がどのくらいであるかによって適切なコンデンサの静電容量は変わります。

    パスコンに使用するコンデンサの静電容量は、除去したいノイズの周波数帯から決めましょう。

    高周波ノイズの除去には静電容量の小さいコンデンサが適しています。一方で、低周波ノイズの除去には、静電容量の大きいコンデンサでないと対応できません。

    ノイズの周波数帯が広い場合には、複数のコンデンサを用いることで柔軟に対応することができます。

    グラウンドのパターンを確認する

    回路の配線パターンによっては、パスコンの効果が十分に得られないこともあります。

    これはパスコンの配置によって解決できる問題ではなく、そもそもの回路設計を見直す必要があるかもしれません。

    パスコンは適切に設計された回路に投入することで、効果を発揮するということを念頭に置いておきましょう。

    設置するパスコン(バイパスコンデンサ)の静電容量の決め方

    コンデンサをパスコンとして適切に回路に組み込むためには、配置する場所も大事ですが、コンデンサの静電容量の選定も重要な意味を持ちます。

    適切な静電容量のコンデンサを用いなければパスコンとしての効果が薄れてしまいます。

    コンデンサは静電容量が小さいほどインピーダンスが低くなり、高周波ノイズの除去に効果があります。具体的な数値としては、100pF〜0.01μFほどが静電容量が小さいといえます。

    逆に、低周波ノイズを除去したい場合には数10μF〜数100μFほどの静電容量が大きいコンデンサを用いましょう。

    適切な静電容量については、電源ICやコンデンサのデータシートに記載されていることがあります。

    データシートによっては複数個のバイパスコンデンサを組み合わせた回路が推奨されていることもあるため、この情報を元に回路設計するケースも多くあります。

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    まとめ

    この記事ではパスコンについて解説しました。

    パスコンは、回路のノイズ除去や電源電圧の安定化のために用いられます。実体はコンデンサであり、電源とグラウンドを接続するものです。

    ICの近くに設置しなければならないなど、いくつかのポイントがあります。今回ご紹介したポイントを押さえてパスコンを設置することで、回路全体の安定を確保することができます。

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