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      • 発行日 2024年2月26日
      • 最終変更日 2024年4月5日
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    電子回路の「マルチプレクサ」とは?仕組みや作り方・応用例について解説!

    マルチプレクサは、電子回路におけるポピュラーな論理回路です。当記事では、マルチプレクサの仕組みや作り方、応用例について解説します。

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    マルチプレクサとは

    マルチプレクサは、その名前が示す通り、多くの信号を一つの信号に合成する能力を持つ装置です。これは、通信やデータ伝送における重要な役割を果たし、伝送路の有効利用やデバイスの効率化に寄与します。 

    具体的には、複数の入力信号を一つの伝送路を通じて送信することが可能となります。これにより、一つ一つの信号に対して個別の伝送路を用意する必要がなくなるため、装置の複雑さや大きさを抑えることができます。 

    この機能は、アナログ回路だけでなくデジタル回路にも適用可能で、様々な状況でのデータ伝送を実現します。マルチプレクサが持つ「選り分ける」能力は、伝送ラインを共有しながらも、入力信号を任意に選択、結合して出力信号を生成することが可能です。 

    このため、信号の送信側に主に搭載されます。逆に、一つの信号を複数の信号に分離する装置をデマルチプレクサと呼んでいます。 

    マルチプレクサを見る

    マルチプレクサの作り方

    マルチプレクサを作る際には、まず必要な入力ラインの数を決定します。2nの形で表されることが一般的です(nは選択ラインの数)。例えば、4つの入力ラインが必要な場合、2つの選択ラインが必要となります。 

    ここでは、マルチプレクサの作り方について詳しく解説します。 

    2入力のマルチプレクサ 

    まず、必要な部品は2つの入力信号、1つの選択信号、それらを制御するためのANDゲートとORゲートです。まず、2つの入力信号をそれぞれANDゲートに接続します。 

    次に、選択信号を逆相器を通して、一方のANDゲートに接続します。一方のANDゲートには選択信号そのものを、他方のANDゲートには逆相した選択信号を接続します。これにより、選択信号の値によって、どちらの入力信号が出力されるかが変わります。 

    最後に、両方のANDゲートの出力をORゲートに接続します。これにより、どちらかの入力信号が選択され、一つの出力信号として出力されます。 

    4入力のマルチプレクサ 

    4入力のマルチプレクサの作り方は、以下のステップで進めます。まず、4つのANDゲートと1つのORゲートを用意します。次に、各ANDゲートの入力端子に4つのデータ入力ラインを接続し、その他の入力端子には選択ラインの組み合わせを接続します。 

    この時、選択ラインの状態により、各ANDゲートが特定のデータ入力ラインを選択できるようにします。最後に、各ANDゲートの出力をORゲートの入力に接続します。 

    これで、選択ラインの組み合わせにより、特定のデータ入力ラインのデータが出力されるマルチプレクサが完成します。 

    マルチプレクサの応用例

    マルチプレクサの応用例は、非常に広範囲にわたり、様々な分野で見受けられます。 

    ここでは、マルチプレクサが実際にどのように利用されているのか、具体的な事例を通じて解説します。

    シフト回路

    マルチプレクサの応用例として、シフト回路が挙げられます。シフト回路は、データのビット列を左右に移動させることで、情報の操作を行うデジタル回路の一種です。 

    特に、8ビットのビット列a7a6a5a4a3a2a1a0を右に論理シフトするシフト回路は、マルチプレクサを使い、S0~S2を操作することで、8種類の論理シフトを可能にします。同様に、左に論理シフトするシフト回路もマルチプレクサを活用します。 

    次に、右に算術シフトするシフト回路についてもマルチプレクサを用いて実現できます。この回路もS0~S2を操作することで、8種類の算術シフトを行うことができます。算術シフトは、論理シフトと比較して、符号付き数のシフトに適しています。 

    最後に、左に算術シフトするシフト回路についてですが、実はこれは左に論理シフトするシフト回路と全く同様の構造をしています。つまり、左に論理シフトするシフト回路をそのまま利用することで、左に算術シフトするシフト回路を実現できます。 

    Enable付きDフリップフロップ

    これは、デジタルロジック回路の一部として広く用いられ、1ビットの情報を保持または書き換える役割を担います。 

    具体的には、Enable信号(EN)がHighのときにマルチプレクサがAを選択し、Dフリップフロップはクロック信号Cの立ち上がりエッジでAの状態を記憶します。これにより、データの更新や保持といった操作が可能になります。 

    一方、ENがLowのときにマルチプレクサがBを選択すると、Dフリップフロップはクロック信号Cの立ち上がりエッジでBの状態を再度記憶します。これにより、既存のデータを保持しながら新たなデータを書き込むことが可能となり、複雑なデータ操作が行えます。 

    シフトレジスタ

    シフトレジスタの応用例として、マルチプレクサが使用されます。マルチプレクサは、複数の入力信号から一つを選択し、出力する役割を果たします。シフトレジスタはその選択肢を時間的に制御することができます。 

    具体的な使用例として、直列入力並列出力のシフトレジスタと並列入力直列出力のシフトレジスタがあります。 

    直列入力並列出力のシフトレジスタでは、1つの入力から複数の出力を得ることができます。入力Aの状態変化が、一定のクロック周期で出力B0~B3に反映されます。これにより、情報を一定のタイミングで並列に出力することが可能になります。 

    一方、並列入力直列出力のシフトレジスタでは、複数の入力から1つの出力を得ることができます。マルチプレクサが入力A1~A3を選択しているときに、各Dフリップフロップに入力の状態がコピーされます。 

    その後、マルチプレクサがQ端子を選択すると、Bの状態がA3からA0へと順番に変化します。これにより、複数の情報を一定のタイミングで直列に出力することが可能になります。 

    これらの応用例より、シフトレジスタとマルチプレクサの組み合わせは、情報を時間的に制御する際に大いに役立つことがわかります。 

    まとめ

    マルチプレクサは、現代の電子技術において不可欠な存在であり、その理解は電子工学、通信工学、コンピュータサイエンスなど、多くの分野で役立つ知識となります。 

    マルチプレクサの基本的な概念や動作原理、その応用例について深く理解しておきましょう。 

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