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      • 発行日 2024年2月26日
      • 最終変更日 2024年2月26日
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    LCRメータとは?正しい使い方と測定誤差の補正方法について解説!

    LCRメータは、回路のさまざまな特性を調べる上で重要な測定装置です。当記事では、LCRメータの概要から使い方、誤差の補正方法について解説します。

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    LCRメータとは

    LCRメータとは、電子回路の詳細な解析や制作に必要不可欠な測定機器です。この名前は、インダクタンス(L)、コンデンサ(C)、抵抗(R)、それぞれを表すアルファベットを繋げたもので、これら三つの受動素子の電気的特性を直接測定することができます。

    受動素子とは、電力の消費、蓄積、放出いずれかをして一定の動作を行う電子部品のことで、これらの素子の特性はその構造や精度、使用される素材によって大きく異なります。このため、特定の電子回路を制作する際には、各受動素子の特性を正確に理解し、適切な素子を選択することが不可欠です。

    LCRメータは、このような受動素子の特性を詳細に測定し、電子回路の設計や製作に活用するための重要なツールです。それぞれの素子が持つ抵抗値、容量、インダクタンスの値を精密に測定することで、期待する性能を発揮する電子回路を設計し、製作することが可能です。

    このため、エレクトロニクスの分野では、LCRメータは欠かせない存在となっています。

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    LCRメータの使い方

    LCRメータの使い方を理解するためには、まずその操作方法と基本的な測定手順を把握することが必要です。

    ここでは、LCRメータの4つの代表的な接続方法と、それぞれの特徴について説明します。

    2端子法

    接続自体は非常に容易で、テストリードを使用してデバイスの2つの端子に接続するだけです。しかし、この方法では接触抵抗やケーブルの直列インピーダンス、さらにケーブルや端子間の浮遊容量などによる影響が無視できない程度に大きくなります。

    これらの要因は測定値を歪め、結果的に誤差が大きくなる可能性があります。

    3端子法

    特に高インピーダンスの測定誤差を低減するために役立ちます。ケーブルや試料に静電シールドを施すことにより、浮遊容量を抑えることが可能です。この浮遊容量の抑制は、高インピーダンスの測定誤差を低減する重要な要素となります。

    また、3端子法は主に小さな容量の測定で用いられます。大容量の測定には他の方法が適しているため、その点を理解しておくことが重要です。小さな容量の測定においては、3端子法の利用が効果的であると言えるでしょう。

    4端子法

    電圧検出ケーブルを独立させることで、直列インピーダンスによる電圧降下や接触抵抗の影響を排除し、測定誤差を最小限に抑えることが可能になります。また、ケーブル間の相互インダクタンス(M)による影響も考慮に入れる必要があります。

    この方法の実施には、ケルビンクリップという特殊なクリップが必要です。このクリップは、一つのクリップに二つの絶縁された電極が備えられています。これにより、二つのクリップを使用するだけで簡単に4端子接続が可能です。

    5端子法

    4端子法の各ケーブルをシールドすることで、幅広いインピーダンスの範囲に対して測定誤差を大幅に軽減することが可能になります。

    シールドとは、電磁波から機器を保護するために用いられる特別なカバーのことを指します。このカバーは、外部からの電磁干渉(EMI)を防ぎ、電磁放射(EMR)を制限する役割を果たします。これにより、信号の誤解釈やデータの損失を防ぐことができます。

    LCRメータにおける測定誤差の補正

    LCRメータの精度を最大限に引き出すためには、測定誤差の補正が欠かせません。

    そこで、ここでは、LCRメータの測定誤差の補正方法を具体的に解説します。

    オープン/ショート補正

    オープン補正は、テストフィクスチャやテストリードの浮遊容量や漏れ抵抗を補正するために行われます。これらの値は配線の配置によって変動するため、補正は試料を測定する場合と同じ状態で行われます。

    また、テストリードを使用する場合、補正を行うためには先端での特定の接続が必要です。

    ショート補正は、テストフィクスチャやテストリードの接触抵抗や接続ケーブルのインピーダンスを補正するために行われます。残留抵抗を最小限にするために、太い電線や金属板を使用して短絡を行います。

    また、ケーブル間の結合による変動を抑えるため、ショート補正もまた試料を測定する場合と同じ状態で行われます。

    ロード補正

    ロード補正は、特に複雑な残留成分が存在し、オープンまたはショート補正だけでは誤差を無視できない場合に適用されます。具体的には、標準器など、正確な値が既知の部品を使って補正を行います。

    一部の測定器メーカーは、自社が提供するテストフィクスチャやテストリードを使う場合、ロード補正の必要がないと主張しています。しかし、実際のところ、ロード補正の必要性は測定器の性能や、測定する周波数範囲などにより異なります。

    ロード補正は、周波数、信号レベル、測定レンジなどの特定の条件下で発生する微細な誤差を軽減する効果を持ちます。

    例えば、浮遊容量が起因する誤差などを軽減することが可能です。したがって、補正を行うべきか否かを決定する際には、使用する測定器の取扱説明書や、メーカーが提供する技術資料を参考にすることが重要です。

    ケーブル長補正

    ケーブル長補正は、LCRメータを装置に組み込んで使用する場合や、測定対象の試料が大きいために長いケーブルを接続する必要があるときに使用される補正方法です。

    長いケーブルを使用することで、ケーブル自体の配線抵抗や浮遊容量の影響を受けてしまい、試料に印加される信号の振幅や位相に誤差が生じてしまう可能性があります。

    しかし、LCRメータにはこのような誤差を補正する機能が備わっています。具体的には、ケーブルの長さを設定することで、信号の振幅や位相の誤差を補正することが可能です。これにより、ケーブル長が原因で生じる測定誤差を最小限に抑えることができます。

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    まとめ

    LCRメータは、電子部品の「L(インダクタンス)」、「C(コンデンサ)」、「R(抵抗)」を測定するための器具です。

    これらの値は、電子回路の設計や製造、メンテナンスなどにおいて重要な要素であり、それらを正確に測定することは電子機器の品質や性能を保つために不可欠です。

    LCRメータは一般的に交流で動作し、異なる周波数での測定が可能であり、材料の特性やコンポーネントの性能を詳細に解析することができます。

    また、一部の高性能なLCRメータでは、D(損失因数)やQ(品質因数)などのパラメータも測定可能です。そのため、電子部品の研究開発や品質管理などに広く使用されています。

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