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      • 発行日 2023年8月28日
      • 最終変更日 2024年1月18日
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    なぜ半導体が不足しているの?半導体不足の原因や影響、今後の見通しについて分かりやすく解説

    半導体は、現代社会におけるほとんどの電子機器に使用され、私たちの日常生活に必要不可欠なものとなりました。 しかし、国内事情や海外情勢の影響により半導体不足が依然として問題となっています。なぜこのような状況になったのか、気になる方も多いのではないでしょうか。 この記事では、半導体がなぜ不足しているのか、半導体不足による影響はあるのか、半導体不足に関する今後の見通しについて詳細に解説していきます。

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    半導体とは

    半導体とは、一定の電気的特性を持つ物質で、通常はシリコンを原料としています。

    半導体は、非常に微細な素子を形成することができ、現代の電子機器やコンピューターに欠かせない素材となっています。

    例えば、トランジスタ、ダイオード、LEDなどは、半導体を用いた素子で構成されており、これらの素子を組み合わせることで、回路やチップを作ることができます。

    半導体は、電気信号を処理・保存し、送信するための多くの電子機器に使用されており、現代の情報通信技術の発展に大きく貢献しています。

    半導体の種類

    センサ

    センサとは、半導体素子を用いて物理量を検知する装置のことです。

    半導体素子は、温度、圧力、加速度、照度、音圧など、多くの物理量に対して感度を持っており、これらの特性を利用してセンサとして応用することができます。

    センサは、小型・軽量であり高い感度と信頼性があることから、多様なアプリケーションに応用され、自動車やスマートフォン、医療機器、家電製品、産業機器など、幅広い分野で使用されています。

    センサの種類には、加速度センサ、ジャイロスコープ、磁気センサ、温度センサ、圧力センサ、湿度センサ、光センサ、音圧センサなどがあります。

    半導体メモリ

    半導体メモリは、半導体素子を用いて情報を記憶するためのメモリです。コンピューターやスマートフォンなど、様々なデジタル機器に利用されています。

    SRAM、DRAM、フラッシュメモリ、NVMなどの種類があり、それぞれの特徴によって異なる用途に使用されています。

    小型・軽量で信頼性が高く、消費電力も少ないため、半導体メモリは現代の電子機器の中で欠かせない重要な部品です。

    ダイオード

    ダイオードは、半導体素子を用いた二端子の電子部品の一種です。主な用途は電流の整流です。ダイオードは、p型半導体とn型半導体を接合したp-n接合と呼ばれる構造で構成されています。

    p-n接合は、一方向にのみ電流を通すことができる性質を持ちます。この性質を利用することで、電流が一方向にしか流れないように制御することができます。

    ダイオードは、電気回路において、整流、電源保護、逆電圧保護、発光、光検出などの役割を果たし、トランジスタやICなどの半導体素子の製造にも欠かせない素子です。

    ダイオードには、整流ダイオード、Zenerダイオード、光ダイオードなどの種類があります。

    トランジスタ

    トランジスタは電子部品の一種で、電流を制御するために使用されます。

    半導体素子を用いて作られており、3つの接点を持っているのが特徴です。それぞれの接点は、エミッター、ベース、コレクターと呼ばれ、この3つの接点に電圧をかけることで、トランジスタ内の電流を制御することができます。

    トランジスタは、主にアンプやスイッチング回路などで使用されます。アンプ回路では、小さな電流や電圧を大きな信号に増幅するために使用され、スイッチング回路では、トランジスタのON/OFFを切り替えることで、電源のON/OFFなどを制御することができます。

    トランジスタは、ダイオードと共に、半導体素子の基礎的な部品の一つであり、現代の電子機器やコンピューターに欠かせない部品です。

    半導体が使われている製品

    半導体は身近で使われてしており、主な例は次の3つです。

    自動車

    半導体は、現代の自動車産業に欠かせない部品であり、エンジンやトランスミッション、ブレーキ制御、安全装置、エンターテインメントシステムなどの部分で使用されています。

    自動車に搭載される半導体には、マイコン、センサ、メモリ、アナログICなどがあり、高精度で高速な処理を行い、高い信頼性を持ち、省電力な動作ができるため、自動車の性能や安全性を向上させることができます。

    自動運転技術の進化に伴い、車両に搭載される半導体の需要が急増しており、カメラ、レーダー、リダース、LIDARなどのセンサが使用されます。自動車に搭載される半導体は、高い付加価値を持ち、需要が増加していることから、今後も重要な役割を担う部品となるでしょう。

    家電製品

    半導体は、現代の家電製品に広く利用されており、テレビ、スマートフォン、ノートパソコン、タブレットなどの多くの製品には、マイコン、メモリ、センサ、ディスプレイドライバーIC、電源ICなどの半導体が搭載されています。

    これらの半導体は、高速・高精度な処理が可能であり、家庭の省電力化に貢献するため、現代の家電製品に欠かせない部品となっています。

    また、近年では、スマートホームなどのIoTデバイスの普及に伴い、家電製品の半導体需要も加速の一途を見せています。家電製品における半導体の利用は今後も拡大すると予想されています。

    社会インフラ

    半導体は、現代の社会インフラにおいても欠かせない存在です。

    電力系統や鉄道、航空機、医療機器など、様々な分野で半導体が使用されており、近年では、スマートシティの構築や自動運転技術の進化により、社会インフラにおける半導体の需要が急増しています。

    半導体不足が起きた理由

    昨今、半導体不足が深刻化しているといわれています。その理由としては、次の理由が挙げられます。

    新型コロナウイルスの影響

    パンデミックの拡大により、家庭内でのテレワーク需要が高まったことで、スマートフォン、パソコン、ゲーム機、テレビなどの需要が急増し、半導体需要も増加しました。

    その一方で、製造現場では、感染拡大を防ぐために従業員の出勤制限や海外からの部品供給の遅れなどが発生し、生産ラインの停止や生産能力の低下などが発生しています。

    このため、需要と供給のバランスが崩れ、半導体不足が起きたとされています。

    また、自動車産業でも、コロナ禍による需要減少や生産の一時停止などがあり、一部の半導体メーカーが自動車用半導体の生産を縮小したことも半導体不足に拍車をかけることになりました。

    新たな半導体需要の増加

    自動車産業においては、自動運転技術の進化により、カメラ、レーダー、リダース、LIDARなどのセンサが必要になり、これらのセンサに必要な半導体の需要が急増しました。

    また、スマートフォンやノートパソコンのような高性能な電子機器にも、より高速かつ高性能な半導体が必要になっており、これらの需要も増加しています。

    さらに、新しい分野での半導体需要も急速に増加しており、人工知能(AI)やビッグデータ、5G通信などによる需要が伸びています。これらの新たな需要は、従来の半導体メーカーに加え、新規参入企業による需要も生み出し、半導体市場全体の需要増加につながっています。

    工場の生産能力不足

    半導体メーカーは、製造ラインを増設することで生産能力を向上させる必要がありますが、増設には膨大な費用と時間がかかるため、需要の急増に対してすぐに対応できない場合があります。

    また、半導体の製造には高度な技術と設備が必要であり、これらの資源が限られていることも生産能力不足の原因となっています。

    アメリカになどによる対中制裁の影響

    アメリカを筆頭とした欧州などの国々は、中国を含む一部の国々に対して貿易制裁を課しており、これが半導体産業にも影響を与えています。

    中国は、半導体生産の拡大を目指し、国内企業による半導体生産を進めていますが、アメリカや欧州などからの半導体製造装置や部品の輸入が規制されることで、生産能力不足が生じています。

    これを受けて、中国の半導体メーカーは、生産能力を増やすために、海外からの半導体製造装置や部品の調達を強化する必要しなければならなくなりました。

    アメリカなどの国々は、セキュリティ上の理由から、一部の半導体技術の輸出を規制しており、中国の半導体メーカーの技術開発に制限をかけています。このような国際情勢が半導体不足に影響を与えることがあります。

    ロシアによるウクライナ侵攻

    ウクライナは、半導体産業において世界有数の製造国の一つであり、多くの半導体メーカーがウクライナに生産拠点を置いています。

    しかし、ロシアによるウクライナ侵攻により、ウクライナの半導体産業が深刻な影響を受け、生産量が低下したことで、世界的な半導体不足が生じました。

    また、ウクライナ侵攻により、ロシアやウクライナの経済制裁が相互に行われるようになり、輸出入の規制が強化されたことも半導体不足に影響を与えています。

    半導体不足が及ぼす影響

    半導体不足が起こることで、人々の生活にも支障がでてきます。具体的には、次のような事態が想定されます。

    製品の生産が停止する

    多くの製品には、半導体が必要不可欠な部品として使われています。例えば、自動車にはエンジンやタイヤのほかに、多数のセンサやコンピューターが搭載されており、これらには半導体が使われています。

    また、スマートフォンやノートパソコンなどの情報機器にも、半導体が使われており、これらの製品の生産がストップすることは、市場に大きな影響を与えます。

    半導体不足により、製品の生産ラインが停止し、出荷量が減少した場合、企業は収益が減少することになり、さらには顧客からの信頼を失う可能性があります。

    また、半導体不足が長期化すると、需要がピークを過ぎている製品でも生産がストップすることがあり、市場において需要と供給のバランスが乱れ、経済活動に悪影響を与えることがあります。

    質の悪い製品や偽物が市場に出回る

    半導体は、高度な技術と設備が必要なため、製造には高いコストと時間がかかります。しかし、半導体不足により、一部の製品メーカーは、製造に必要な高品質の半導体を調達できず、代替品を使用することがあります。

    また、半導体不足により、需要と供給のバランスが乱れ、市場に質の悪い製品や偽物が出回ることもあります。質の悪い製品や偽物は、製品の性能低下や安全性の低下を引き起こし、消費者に損害を与えることがあります。

    さらに、質の悪い製品や偽物が市場に多数流通すると、正規品の販売が減少し、製造元に損害を与える可能性があります。

    健康や安全に不安要素をもたらす

    半導体は、医療機器や航空機、防衛関連など、極めて重要な分野にも使用されています。これらの製品には、高品質の半導体が必要不可欠であり、半導体不足により、これらの分野において製品の安全性や品質が低下する可能性があります。

    例えば、医療機器においては、半導体の精度や信頼性が必要不可欠であり、不適切な半導体を使用することが健康被害を引き起こす可能性があります。

    また、航空機や防衛関連においても、半導体の品質が重要であり、安全性の低下や機能不全が生じる可能性があります。

    これらの分野においては、半導体不足に対する対策が必要であり、国や企業が協力して、安全性や品質を確保することが必要です。

    半導体不足の今後の見通し

    半導体不足の今後の見通しについて、短期的な視点から見ると、半導体不足は今後数ヶ月間続く見通しです。需要の急増に対する供給面の追い付きの遅れや、新型コロナウイルス感染症の影響などが、継続的な半導体不足を引き起こす可能性があります。

    また、一部の地域における感染拡大や、自然災害の発生など、予期せぬ事象が生じることで、生産活動に影響が及ぶ可能性があります。

    このような状況下では、需要と供給のバランスを維持するため、企業は生産計画の見直しや、在庫管理の改善など、迅速な対応が求められます。

    これを受けて、半導体メーカーは生産能力の増強や、新たな生産拠点の設立など、長期的な視野に立った対策を打ち出すことが必要です。

    一方、長期的な視点から見ると、半導体需要の拡大は今後も続くことが予想されます。

    特に、AIやIoTなどの新技術の発展に伴い、半導体需要は飛躍的に増加しています。その一方で、半導体の生産は高度な技術と設備が必要であり、新規参入が難しいことから供給量の増加は限られています。

    このような状況下では、半導体メーカーは生産能力の増強や、新たな生産拠点の設立など、積極的な投資が求められます。

    素材や製造技術の革新により、より高品質かつ高性能な半導体が生み出される可能性はありますが、それでも半導体不足の解消は長期的な課題となることが予想されるため、産業界や政府は、半導体産業の発展に向けた支援を継続的に行うことが必要です。

    まとめ

    半導体不足は、新型コロナウイルス感染症の影響や、地域の感染拡大や自然災害の発生、需要の急増に対する供給面の追い付きの遅れなど、さまざまな要因が重なり発生しています。

    半導体は、自動車や情報機器、医療機器などの製品に必要不可欠な部品であり、不足により製品の生産がストップすることで市場に大きな影響を与えます。また、質の悪い製品や偽物が市場に出回る可能性や、健康や安全に脅威を与える可能性もあります。

    今後も半導体需要の拡大が続くことが予想されるため、半導体メーカーは生産能力の増強や新たな生産拠点の設立など、積極的な投資が必要です。産業界や政府は、半導体産業の発展に向けた支援を継続的に行うことが求められます。

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