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    産業機材等の通信販売事業を展開するグローバル企業 アールエスコンポーネンツが解説 さらに高まるESGの重要性 企業はどのように取り組むべき?

    ESGの重要性はかつてないほど高まっています。英国では、2022年の夏に起こった異常気象を受けて、気候変動問題に取り組むためにCO2排出量を削減する必要性への注目が集まっています。また企業にとって、環境・社会・ガバナンス(ESG)問題への取り組みは、これまで以上に避けて通れない責務となっています。 本ニュースレターでは、ますます関心が高まるESGの取り組みについて当社で取り組んでいる事例を紹介しながら、ESGがなぜ重要であり、企業はどのように取り組んでいくべきかについて解説します。

    ESG

    約半数の投資家が充分なESG対策を講じていない企業から投資を引き揚げるとする調査結果も

    当社と英国購買部協会(CIPS)が共同で作成した2022年版間接材調達報告書(Indirect Procurement Report)によると、間接材調達物(MRO)の担当者にとって、持続可能なエシカル調達は引き続き重要事項となっています。同報告書の調査対象者のうち、ESGを事業上の重要課題と答えた人は半数以上(52%)にのぼり、最大の懸念事項である「事業予算の削減」をわずか1%下回りました。また38%の回答者が、自身の組織のESG目標を実現することは重要であると答え、57%の回答者がそれらの計画の実行に自信を示しました。

    ESGはなぜ重要なのか

    サスティナビリティはESG基準の要であり、ESG基準は、2030年までに世界をより平等で、よりクリーンな、より安全な場所にすることを目指す国連の17項目から成る持続可能な開発目標(UNSDGs)の上に成り立っています。当社調達部門担当シニア・ディレクターのKevin Parkeは次のように述べています。 「我々は地球が抱える問題について話しているのであり、すべての企業が脱炭素化に向けて行動を起こし、リスクを削減し、低炭素経済への移行を後押しする機会に投資する必要があります」

    PwCの調査※1によれば、投資家の49%は、ESGに関して十分な対策を講じていない企業から投資を引き揚げると答え、また投資家の59%は、そうした企業の年次株主総会において役員報酬に関する決議案に反対票を投じると答えました。また同調査では、投資に関する意思決定を下す上で、企業がESGに関するリスクと機会をどのように管理しているかは重要な要因であると答えた投資家は79%にのぼりました。 当社の最高変革責任者(Chief Transformation Officer/CTO)であるBernhard Raschkeは、「企業は、ESGという価値観への献身姿勢を示し、それを実践することがますます強く求められています」と指摘し、機関投資家にとってはESG格付けが特に重要だと述べています。

    ※1 https://www.pwc.com/lt/en/about/press-room/pwc-global-investor-esg-survey.html

    レジリエンス改善のためのサスティナビリティ

    Raschkeは、ESGは士気や金銭面だけでなく、レジリエンスの構築にも関わると言います。 「レジリエンスを重視して地元からの仕入れを拡大する場合、カーボン・フットプリントは改善します。しかしサプライヤ企業がサスティナビリティを確保するために価格を上乗せする場合、仕入れはより困難となります」 「商業面から判断を下し、測定可能な尺度、つまり仕入れ価格を考慮しながら、サスティナビリティをどこまで重視するかを決定する必要があります。多くの企業は今もこの点で苦戦しているようです。多くの企業は、判断に迷った場合、目先のコスト節減を優先しようとします。ですから、調達チームがコスト節減目標を達成できなくても罰せられることがないよう、サスティナビリティを重視する方針を定めておくことは重要です」

    当社の取り組み事例

    当社では、顧客からの受注に使用するリサイクル包装材や、リサイクル可能な包装材の比率を高めつつあります。英国・ナニートンの配送センターにAutopack包装機を導入した結果、2018年10月~2019年8月までの期間に紙製包装材の使用量を7,280万トン削減しました。包装の中に無駄な空間を残したまま発送することをやめ、その代わり、包装がより効率良くフィットするよう改良を行いました。また余分な包装を可能な限り減らし、顧客が配送に用いた箱や小包をリサイクルしやすくなるよう工夫しています。

    当社の安全・衛生部門グローバル環境担当バイスプレジデント、John Barnacle-Bowdは次のように述べています。
    「箱の大きさや形状を改善すれば、より多くの荷物をより少ない環境フットプリントで発送することが可能になります。そうすることで効率性とコスト効率を高め、CO2を削減することができます。これは、小さいけれども重要な変化です」

    ESG32

    手近な支援

    B2Bセクターでは、環境への意識が高まりつつあり、間接材調達物(MRO)の調達においても同じ傾向が見られます。しかし当社のようなサプライヤやパートナーが忘れてはならないのは、どれだけ多くの変更を加えようと、顧客はそれに対応する準備ができているはずだ、とただ期待するのではなく、顧客を教育し、背中を押す必要があるということです。顧客の現場にリサイクル設備が存在しない場合、包装材を正しく分別して廃棄しやすいようにするだけでは不十分です。ですが、当社が顧客に代わって製品の包装を解き、リサイクルの処理を行うことは可能です。 当社が提供する在庫管理サービスである、RS ScanStock®※2のようなサービスを活用すれば、必要に応じた廃棄処分も含め、顧客の在庫ニーズをはじめから終わりまで管理することができます。正しい製品を正しいタイミングと価格で供給するだけにとどまらず、それ以上のサービスを提供できれば、真に付加価値を提供すること、つまり行動やアドバイスを通じて顧客の問題解決を支援することが可能になります。 「当社の重要な差別化要因の一つは、顧客企業の誰もがなるべく簡単に調達を管理できるようにすることにより、調達の管理能力を高めることです」とJohn Barnacle-Bowdは述べています。

    ※2 日本未導入

    全社的な取り組み

    当社は職員全員を対象に、サスティナビリティに関するアイデアを幅広く募り、最も多くの職員が提案したアイデアや、当社が実行可能と考えたアイデアのリストを作成しました。その上で職員に対し、リストの中から自分にとって最も重要な項目に投票するよう依頼しました。その結果を基に、英国やその他の部門において、カーボン・フットプリントを削減し、エネルギー効率を高め、サスティナビリティ実現への道を歩み続けるためのいくつかのイニシアティブを導入しました。当社は以下を含む幅広い対策に力を入れています。

    • ・ゴミの埋立処分ゼロ化に取り組む
    • ・顧客からのフィードバックを分析・審査する
    • ・職員を巻き込み、アイデアを募る
    • ・引き続き包装用充填材の使用量を削減する

    効果的な戦略を立てる

    エシカル調達は必ずしも割高でなくてもよいはずです。当社の間接材調達部門グローバル責任者Kate Daviesは、「倫理面に配慮して発注した場合、割高になると思われがち」だと指摘します。「調達担当者の立場から見れば、ESGのためには他の要因にも配慮する必要があることから、より多くのイノベーションが生まれるはずです。また、ゴミを削減できたり、需要の管理方法を変えることで仕入れの量を減らせたりする可能性があるため、必ずしも割高になるとは限りません」

    Kevin Parkeは、他の組織から学ぶことが重要だと述べています。 「他の組織から多くのアドバイスを得ることができます。サプライヤと話をして、どのような取り組みを行っているか学ぶとよいでしょう。ESGを従業員の目標や業務計画に組み込み、組織のトップがそれを支援する必要があります。どこから着手すればよいのか分からなければ、80対20の法則を適用し、どのような対策がESGに関して最大のインパクトをもたらすか自問してみるとよいでしょう」 「より多くの企業が同じ課題に取り組み、サプライヤに同じ要求をすれば、サプライチェーンのESG、より具体的にはサスティナビリティの改善が容易になることを忘れないでください」

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