海底資源の未来を切り拓く"Tuna-Sand"だが、その開発には長い歴史がある。1984年、自律型海中ロボットは開発中のものを含め世界にわずか3台しかなかった。「私たちが今からトライすれば、必ず世界のトップに立てる。」そんな浦教授の強い信念のもと、数々のトライ&エラーを繰り返してきた。そしてその成果は15年という歳月を経て、生産技術研究所内に「海中工学研究センター」を設立するまでに発展を遂げる。現在は"Tuna-Sand"をはじめ、6台の自律型海中ロボットが活躍を続け、その技術に国内では並ぶものはないという。
「ハードウエアの完成がロボットの完成ではありません。一番大切なのは、ソフトウエア開発。まずは、どんどんチャレンジすること。グレードはそこから上げていけばいいのです。」浦教授のこの積極果敢な姿勢は、ソフトウエア開発にも活かされている。失敗がゆるされない海の中では、そのほとんどが危機管理。たとえばプロペラが故障した際にはバラストを捨てて浮上したり、圧力容器の中の温度が上昇した際はシャットダウンして浮上するなど、何年もかけて積み上げてきた対策が山のように講じられている。また、万一のトラブルに備えて、潜航する際には"Tuna-Sand"をもう1台分つくれるほどの部品を船に準備する。実は、そんなトラブル対策を支えているのが、豊富な取り揃えを誇るRSのサービスだ。
「RSで購入するのは、DC-DCコンバータやコンデンサ、制御部品が多いですね。即日出荷はもちろん、ロボット開発は改良の繰り返しですから、古い部品がストックされている点も助かっています。学生たちには、3D設計ができるDesignSparkが人気ですね。」と浦教授。
数々の知能を備えた自律型海中ロボット"Tuna-Sand"。しかし、驚くことにこの技術は人間に例えるとまだ小学校1~3年生レベルだという。「まず高校生のレベルまで上げたいと思います。人間に役立つロボットは常に進化しなければなりません。それを実現することが、我々エンジニアの使命でもあるのですから。」"Tuna-Sand"、この名前が世界の共通言語になる日も、そう遠くはないかもしれない。