博物館など展示施設の未来を拓く新技術
子どもの頃と比べると、博物館や美術館から足が遠のいている方も多いのではないだろうか。そうした展示施設は、年齢を問わずインフォーマルな学習の場としての役割は重要なものの、来館者数やリピート率の増加につながる魅力付けや、利用者の満足度の向上が大きな課題となっている。その解決策として今注目を集めているのが、"超臨場感コミュニケーションシステム"だ。
「私たちは印刷で培ってきた技術を活用したさまざまなデジタルコンテンツを提供していますが、すべてに共通するテーマは人の五感に着目してそのクオリティーを向上させることです。今回のシステムもその一環で、超臨場感と3Dをキーワードに開発に取り組みました。」と説明くださるのは、開発の中心メンバーの一人である小黒様。
超臨場感コミュニケーションシステム
同システムの最大の特長は、高臨場感映像と高臨場感音響、そしてロボットを活用する実空間コミュニケーション技術という、これまでなかった3つの組み合わせにある。そしてこのシステムを融合させ、利用者の状況に応じた知的シナリオを追加することで、学習効果や満足度を高めることができる。たとえばこの技術を活用すると、ミケランジェロで有名なシスティーナ礼拝堂も、大迫力の3次元映像と音響に包まれながら実際では難しい縦横無尽なバーチャル体験ができたり、また自分が興味を持った事柄についても、視線や動きなどから感知して、ガイドロボットが細かな解説を加えて盛り上げることも可能になるという。「美術館もキュレーターに案内してもらうと全然違います。人それぞれに合わせたおもてなしができれば楽しさも増しますし、その可能性もますます広がっていくと思います。」