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    io-link

    IO-Link

    センサー、トランスデューサー、アクチュエーターとの通信を簡素化する国際的に標準化されたインターフェース。

    産業オートメーション・コントローラーの基本的な特徴は、入出力(I/O)信号を処理できることです。入力は、圧力トランスミッターや位置スイッチなどのセンサーからコントローラーに送信され、出力は、コントローラーからアナログ・デバイス、個別デバイスに送信されます。

    従来の方法は、PLCの入力カードへの有線接続です。アナログ信号は一般的にDC 24Vで動作し、電流は4~20mAの範囲であるのに対し、ディスクリート信号はAC 120VまたはDC 24Vのオン/オフです。標準的なデバイスでは、有線接続時に信号で送ることができるデータに制約があります。一般的には、ディスクリート信号ならオン/オフのみ、アナログ信号ならプロセス変数測定値といったものに限られます。エンジニアは長年、重畳信号を使用して既存の配線で送信できる情報量を増やそうと、努力を重ねてきました。そして今日、フィールド・デバイスのスマート化は飛躍的に進んでいます。本稿で紹介するIO-Linkテクノロジーにより、IO-Linkスマート・フィールド・デバイスに接続するための重畳信号を追加することで、従来の有線接続センサーおよびアクチュエーター配線の性能が格段に向上しました。IO-Linkを採用すると、複雑な配線なしで機能性を強化し、スマート・センサーを活用できます。

    IO-Linkとは

    IO-Linkは国際的に標準化されたI/O信号処理テクノロジーであり、IEC 61131-9により記述され、150社以上が参加する団体によってサポートされています。加盟企業のオートメーション・コントローラー、センサー、および接続デバイスは、IO-Link規格に準拠しています。IO-Linkテクノロジーは、汎用性がありスマートで使いやすいのが特長です。異なるベンダーの製品が互換性を持ち、接続は標準化されています。

    IO-Linkテクノロジーはポイント・ツー・ポイント通信で、フィールドバスなどのネットワークではありません。IO-Linkの「マスター」は、複数の標準的なI/OまたはIO-Linkフィールド・デバイスと対話できるデバイスです。一般的なIO-Linkアーキテクチャーは、より上位のコントローラーがフィールド・デバイスと対話できるように、マスターを使用して情報をフィールドバスに送ります。一部のベンダーは、複数の標準I/Oデバイスを接続して1つのIO-Link接続に統合するIO-Link I/Oモジュールを提供しています。

    IO-Linkプロトコルのデータ転送レートは、4.8、38.4、または230.4kBaudで、それぞれ双方向通信です。マスター・デバイスはすべての速度をサポートしますが、フィールド・デバイスはいずれか1つの速度でしか動作しません。各デバイスの性能によりますが、デバイス1台あたり最大32バイトの入出力データを転送できます。制限はありますが、IO-Linkでは数十台から数百台のデバイスを接続できます。

    BALLUFF I/Oモジュール

    BALLUFF I/Oモジュール

    ProfiNetネットワーク接続用の分散IO-Link入力 / 出力モジュールを提供します。IO-Linkマスタからの入力 / 出力データにより、接続されているセンサの最新の状態を表示したり、必要な状態のアクチュエータと通信したりします。

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    IO-Linkデバイスの接続は差し込めば配線できるタイプで、ほとんどが標準のM12 5ピン・コネクターを使用します。コンポーネントはIP65、IP67、IP69の定格で提供されており、かなりコンパクトなので、装置の近くまたは装置上に設置できます。

    接続クラス(接続タイプとも言います)は2種類です。接続クラスは一般的に交換できますが、ピン2とピン5のデバイス固有の用途は評価が必要です。フィールド・デバイスには最大200mAを供給できます。

    クラスAデバイスは、3本のピンしか必要ありません。ピン1はDC +24V、ピン3はDC 0V(接地)、ピン4は通信ピンです。

    クラスBデバイスも同じようなピン配列ですが、フィールド・デバイスでより高い出力が必要な場合は、ピン2(DC +24V)とピン5(DC 0V)で独立した出力と接地を提供します。

    有線接続の限界

    標準的な有線信号の性質は限定的です。有線接続の主な利点はシンプルなことと、いずれかのフィールド・デバイスへの配線で障害が発生した場合も、通常他のフィールド・デバイスの信号は影響を受けないことです。しかし、有線接続は、各フィールド・デバイスから最も近いコントローラーまたはリモートI/Oの場所までスター配線する必要があります。さらに、これらの各信号の送受信には、特定のI/Oモジュール、または複数の信号を受け付けたり生成できるより高価な多重モジュールをコントロール・システムに搭載する必要があります。

    IO-Linkを使用する理由

    IO-Linkは多くの利点を提供します。IO-Linkはモジュール方式で拡張性が高く有線システムとの下位互換性に優れています。現在非常に多くのIO-Linkデバイスが出回っているため、ユーザーは新規プロジェクトでIO-Linkシステムを気軽に試すことができます。また、設計、試運転、信頼性、およびメンテナンス面で利点があり、これらすべてにより、IO-Linkを使用したオートメーション・システムの導入で以下のようにコストを削減できます。

    • メーカーに依存しないため、選択肢と利用可能なデータが増える
    • 配線が減るため、費用を節約できダウンタイムを削減
    • モジュール方式で高い拡張性と電気ノイズ耐性を実現
    • アナログ値をデジタルで送信
    • ソフトウェア構成により立ち上げが高速化され、インストール時間を短縮
    • リモートでの構成とモニタリングが可能
    • シンプルなプラグ・アンド・プレイ
    • 予防保守に対応、高度診断の増加

    さらに、ハイブリッドなソリューションは、さらなる利点を得るために追加のデジタル通信を重畳しながら、標準的な産業用の有線接続を維持します。データ・レートはEthernetの足元にも及びませんが、大部分の産業アプリケーションではそれで充分です。

    io-link

    アナログ信号を重畳する方法としては、HART(Highway Addressable Remote Transducer)テクノロジーが長年利用されてきましたが、HARTより新しい類似テクノロジーであるIO-Linkは躍進を遂げています。標準的なI/O配線でデジタル通信を重畳するため、ユーザーは信頼できる高性能I/O接続を経済的に導入できます。さらに、IO-Link接続により、従来のディスクリート・センサーもアナログ情報を送信できるようになります。

    選択時の注意点

    注意事項として、デバイスの品番をしっかり確認することが挙げられます。たった1つの文字や数字でPNPとNPNの違いが決まることがあるだけでなく、両方の機能が組み込まれているデバイスもあるため、慎重な接続と設定が必要です。