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半導体・電子部品 ガイド
今さら聞けない あんな質問・こんな質問にお答えします!
省エネの一方で機器の発熱量は増加傾向~ 冷却ファンの種類と使われ方 ~
—— 機器の発熱を冷却ファンで抑えることになったのですが、どこから手を付ければよいのか分かりません。
冷却ファン(クーリングファン)による冷却を考える場合、最初の判断事項は、機器全体を冷やすのか、内部の特定の発熱部分を冷やすのか、ということです。機器の内部全体を満遍なく冷やしたい場合は、筐体に冷却ファンを取り付け、筐体内部全体を換気します。機器内の特定の部分を冷やしたい場合は、その部分に冷却ファン出口からの空気流を直接あてる工夫をしたり、CPUクーラーを使ったりします。また、内部発熱がそれほど大きくなく、風量はあまり必要ないけれども、空気の流れる空間(通風路)がほとんどないような通風抵抗の大きな装置を冷やす場合には、ブロワ型のファンも使用されます。
次に、冷却ファンには、大きく分けて交流電源(100V等の商用電源)で回るACファンと、機器内部で作り出された直流で駆動するDCファンがあり、どちらにするかを決めます。ACファンに用いられるモータには、「くまとり(隈取り)型」と「コンデンサ移相型」とがあります。いずれも商用電源をそのまま接続しますが、「くまとり(隈取り)型」の方が効率は悪いものの、コスト的に有利です。
DC駆動のファンには、ブラシレスモータが使われます。ブラシレスモータは、DCモータの電流切り換えブラシ(電機子)を半導体回路に置き換えたもので、ACファンに比べ低消費電力である、制御しやすいなどのメリットがあります。温度センサを内蔵し、温度によって回転速度が変わるものなども多く使われており、最近では装置側からPWM制御によりファンの回転速度を精度よくコントロールできるタイプも増えています。
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熱が機器のパフォーマンスに与える影響
熱は機器のパフォーマンスに大きな影響を与えます。機器は稼働する際に熱を発しますが、電子機器の内部に使用されている半導体やコンデンサーは、大変熱に弱いという特徴を持つためです。
たとえば半導体は高い熱にさらされると、電子が原子・分子と勢いよく衝突することでさらに電子が増え、増えた電子の分だけ衝突する回数が増加。
すると、繰り返される衝突により半導体の構造が壊れてしまうことも考えられます。
そのため、冷却ファンを使用していないなどあまりに高い発熱が起こる環境下では、機器のパフォーマンスが低下したり、場合によっては機器が故障してしまったりする可能性もあるのです。
特に最近の機器はコンパクト化が進んでいるうえに、半導体には高速・大容量の性能が求められるようになっているため、発生した熱を逃がしにくい狭く密度の高い機器内の空間で、フル稼働する部品は高い熱を持ちがちになります。
電気の供給は電子の移動であり、電子にエネルギーを与えると熱を発することは道理なので、電気を活用する機器の稼働において発熱を避けることは難しいことです。
しかし、あまりに高すぎる熱は機器のパフォーマンスを低下させたり、機器を故障させたりする原因となります。
WEBでの簡単設計も有効~ 装置冷却設計と機種選定フロー ~
—— 電気でも機械でもない設計にとまどっています。設計の手順を教えてください。
装置冷却設計方法の詳しい説明は他の専門書に譲るとして、ここでは筐体全体を冷やす場合における、冷却ファン選定方法の例を紹介します。おおまかな手順を図2に示しました。
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まず、対象となる機器の発熱量と装置に許容される温度上昇とから、冷却に必要な風量を計算します。この場合の熱量とは、筐体内に熱として放出される電力のことですから、アンプのように出力を持つ機器では、機器の消費電力から出力電力を差し引いた値とみなせます。求めた風量を1.5~2倍した値の、最大風量を有する冷却ファンを選びます。その際、駆動方法やファンのサイズなどの条件と照合すれば、機種を決定できます。必要風量、最大風量を計算して求め、メーカーのウェブサイト等を参照して機種の選定をします。
このような選定方法は、通風路が十分に確保されていることを前提にしているため、筐体内部の実装密度が高い装置(通風抵抗の大きな装置)などでは、より多くの風量を確保したり、局部冷却を併用したりするといった工夫が必要になります。
使用環境を考慮すべし~ 使用環境とファン寿命 ~
—— 寿命とか交換とか考えないといけないですよね。使う環境とかにもよるのでしょうけど。
冷却ファンは、長時間の高速運転に耐える製品ですが、当然寿命があります。その寿命は使用環境によって異なりますが、特に温度の影響が大きく、仕様書等で記載される数値には、必ず何℃における値、といった表現がされています。もちろん、塵芥の多い環境などで使用すれば寿命は短くはなりますが、大雑把に言って、通常のACファンで25,000時間、DCファンでは40,000時間はあります。さらに長寿命タイプの製品の中には20万時間を達成している特殊な製品もあります。この場合、20年間以上も連続運転できるわけで、機器本体の寿命よりも長いかもしれません。こうなると、ファンの交換は考える必要がありません。なお、FA機器など悪条件下での使用に対しては、防油仕様や防水仕様のファンがあります。取り付けとオプションの知識 ~ 使用上の注意 ~
—— 取り付け場所や取り付け方法で注意する事項はありますか?
露出して取り付ける場合は、安全対策としてフィンガーガードを使用してください。また、塵芥対策が必要な場合はフィルタの併用を推奨します。また、ファンを取り付けるとその開口部は、電磁波が自由に行き来できる通り道になるため、電磁ノイズの出入り口が設けられたとも言えます。ファン単体でできる対策はファンの接地やシールドをしっかり採ることですが、装置としての対策も講じる必要があります(図3参照)。
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実際の取り付け上の注意としては、フランジの取り付け穴にリブの無い製品を、長いネジで貫通して固定することは強度に問題があるので避けてください(図4参照)。稀に、タッピングビスで取り付けようとする例も見受けますが、これもやってはいけません。
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