IC パッケージ ガイド

半導体パッケージの規格

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半導体パッケージとは?

半導体パッケージ(ICパッケージ)には、用途により様々な形態があります。半導体パッケージの規格には、JEDECやJEITAなどがありますが、これらの規格で分類されない半導体メーカー独自のICパッケージも数多く存在します。また、メーカーのカタログやデータシートでは、必ずしもJEDECやJEITAの規格名称が使われるわけではなく、メーカー間の表記方法も統一されていないのが現状です。

本ガイドでは、RSの半導体パッケージの表記のルールについてご紹介します。

DIL⇒DIP 等、明らかに同一のパッケージを表わすものは、できるだけ一般的な表記に統合しました。PENTAWATT等、メーカー独自で一般呼称がない場合、あるいはよく知られたパッケージについてはメーカーの表記を使いました。DIP24、SOT23-5 等、原則としてパッケージ表記の後にピン数を表わす数字を添付しました。

注意:本記事に記載されている内容と商品の表記が異なってしまうこともございます。商品のご採用にあたってはメーカーのデータシートをご確認くださいますようお願い致します。

DIP系

大分類 小分類
DIP系
DIP系
DILと表記されることもあるが、RSではDIPに統一した。パッケージの二つの側面からリードピンが出ている挿入実装型パッケージの一種。ピンピッチは通常2.54mm(100ミル)だが、1.778mm(70ミル)のものもある。ピン数は6ピン~64ピン。パッケージの幅は通常15.2mm(600ミル)、10.16mm(400ミル)、7.62mm(300ミル)であるが、同一ピン数でも異なることがあるので注意を要する。 DIP
(Dual Inline Package)
プラスチックパッケージのDIPのこと。PDIPと表記されることもあるが、RSではDIPに統一した。
CDIP
(Ceramic DIP)
セラミックパッケージのDIPのこと。CERDIPと表記されることもあるが、RSではCDIPに統一した。
WDIP
(DIP with Window)
UV消去のための透明な窓が付いたDIPのこと。通常はガラス封止のセラミックパッケージ。メーカーにより表記は様々で、ST Microelectronics社の場合はFDIPと表記している。RSではWDIPに統一した。
Power DIP ICが発生する熱をリードピンを通して放熱するようにつくられたDIPのこと。中央付近のリードピンがまとめてグランド(アース)端子になっていることが多い。

SIP系

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SIP系
SIP系
SILと表記されることもあるが、本WebサイトではSIPに統一した。パッケージの片方の側面からリードピンが出ている挿入実装型パッケージの一種。プリント基板に実装するときは、板を立てたような形になる。 SIP
(Single Inline Package)
ピン数は2ピン~23ピンくらい。形状、ピンピッチは様々である。放熱構造を持った特殊形状のものも多いので注意を要する。TO220の多ピンとの区別も明確ではない。
ZIP
(Zigzag Inline Package)
パッケージの側面から出たリードピンを途中で互い違いに折り曲げている。パッケージ側面でのピンピッチは1.27mm(50ミル)だが、プリント基板に挿入するときは2.54mm(100ミル)ピッチになる。ピン数は12ピン~40ピン。

QFP系

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QFP系
QFP系
表面実装型パッケージの一種。パッケージの四つの側面すべてからリードピンが出ている。リードがガルウイング状(L字状)なのが特徴である。ピンピッチは、1.0mm、0.8mm、0.65mm、0.5mm、0.4mm、0.3mmと色々あり名称もいささか混乱している。QFPの欠点は、ピンピッチが狭くなるにつれてリードピンが曲がりやすくなることである。 QFP
(Quad Flat Package)
標準的なQFPについてはこの表記を用いることが多い。
FQFP
(Fine pitch QFP)
ピンピッチが0.65mm未満のQFPを指す。一部のメーカーによる名称。
HQFP
(QFP with Heat Sink)
ヒートシンク(放熱器)付きQFP。
LQFP
(Low profile QFP)
パッケージ本体の厚さが1.4mmの薄型QFP。
MQFP
(Metric QFP)
JEDEC規格によるQFPの分類の一つ。ピンピッチ1.0mm~0.65mm、本体の厚さ3.8mm~2.0mmの標準的なQFPを指す。
TQFP
(Thin QFP)
プリント基板に実装したときの高さが1.27mm(50ミル)以下の薄型QFP。パッケージ本体の厚さは約1.00mm。ピンピッチは0.8mm、0.65mm、0.5mm、0.4mmと幅広い。ピン数は44ピン~120ピンくらい。
VQFP
(Very small QFP)
小型QFPの名称。ピンピッチは0.5mm。パッケージ本体の厚さは1.5mm程度。現在はLQFPの分類に取り込まれているが、一部のメーカーはこの名称を現在でも使用している。

Jリード系

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Jリード系
Jリード系
表面実装型パッケージの一種。リードがJの形をしているのが特徴。J形のリードは変形しにくく、QFPなどに比べて取り扱いは楽である。 SOJ
(Small Outline J-leaded package)
パッケージの二つの側面からリードピンが出ている。リードがJのような形をしてるのでこの名称がある。通常はプラスチック製。DRAMやSRAMなどのメモリLSIに多く使われている。ピンピッチは1.27mm(50ミル)。ピン数は20~40ピンくらい。
PLCC
(Plastic Leaded Chip Carrier)
パッケージの四つの側面すべてからJ字状のリードピンが出ているプラスチックパッケージ。ピンピッチは1.27mm(50ミル)、ピン数は18ピン~84ピン。QFJとJEITAの規格で呼ばれることもある。
CLCC
(Ceramic Leaded Chip Carrier)
パッケージの四つの側面すべてからJ字状のリードピンが出ているセラミックパッケージ。窓付きのパッケージは紫外線消去型EPROMやEPROM内臓マイコンなどに使われる。
TSOC SOJの少ピン数版。ピンピッチは1.27mm(50ミル)でSOJと同じだがボディサイズが小型になっている。

グリッドアレー系

大分類 小分類
グリッドアレー系
グリッドアレー系
リードがパッケージの片方の面に格子状に配列されているパッケージ。挿入実装型のPGAと表面実装型のBGAの二つのタイプがある。 PGA
(Pin Grid Array)
挿入実装型パッケージの一種。パッケージ底面に垂直にアレイ状のリードピンを取り付けた剣山のようなパッケージ。材料名を特に示さないときは、セラミックPGAのことが多い。高速かつ大規模な論理LSIに使っている。ピンピッチは通常2.54mm(100ミル)。ピン数は64ピン~447ピンと多い。パッケージの基材をガラスエポキシ樹脂製プリント基板に替えてコストの低減を図った、プラスチックPGAもある。
BGA
(Ball Grid Array)
表面実装型パッケージの一種。プリント配線基板の裏面に球形のハンダをアレイ状に並べリードの代わりにする。プリント基板の表面にLSIチップを載せ、モールド樹脂あるいはポッティングで封止する。200ピンを超える、多ピンのLSI用パッケージである。パッケージ本体の大きさは、QFPよりも小さくでき、リードの変形の恐れがない。またリードインダクタンスがQFPよりも小さいので、高速LSIのパッケージに向く。現在では論理LSI(225ピン~350ピンくらい)や高速SRAM(119ピンなど)などに使われている。
Micro SMD National Semiconductor社の小型BGAパッケージ。4ピン~42ピンのタイプがある。

SO系

大分類 小分類
SO系
SO系
SOとはSmall Outlineのことで、パッケージの二つの側面からガルウイング状(L字状)のリードが出ている表面実装用のパッケージ。色々な表記があり混乱している。同一名のものが違った形状だったりするので注意を要する。 SOP
(Small Outline Package)
ピンピッチが1.27mm(50ミル)でJEITA規格によっているものをSOPと称している。JEDEC規格のものとはパッケージの幅が異なるので注意を要する。
SOIC
(Small Outline Integrated Circuit)
SOあるいはSOLと表記されることもあるが、RSではSOICに統一した。ピンピッチが1.27mm(50ミル)でJEDEC規格によっているものをSOICと称している。JEITA規格のものとはパッケージの幅が異なるので注意を要する。
MSOP
(Mini / Micro SOP)
ピンピッチが0.65mm、0.5mmの小型のSOP。Analog Devices社はmicroSOIC、Maxim社はSO/uMAX、National Semiconductor社はMiniSOと表記することもある。
SSOPあるいはTSSOPと見ることもできる。
QSOP
(Quarter SOP)
ピンピッチが0.635mm(25ミル)の小型のSOP。
SSOP
(Shrink SOP)
ピンピッチを1.27mm(50ミル)未満と狭くした小型のSOP。ピンピッチは1.0mm、0.8mm、0.65mm、0.5mmがある。ピン数は5ピン~80ピン。小型の表面実装型パッケージとして幅広く使われている。
TSOP
(Thin SOP)
薄型スモールアウトラインパッケージ。実装時の高さが1.27mm(50ミル)以下、ピンピッチが1.27mm以下のSOP。ピン数は24ピン~64ピン。TSOPには2種類ある。パッケージ本体の短辺にリード端子を取り付けたもの(ピンピッチは0.6mm、0.55mm、0.5mm)と、長辺にリード端子を取り付けたもの(通常ピンピッチ1.27mm)である。JEITA規格では前者をタイプI、後者をタイプIIと呼ぶ。
TSSOP
(Thin Shrink SOP)
パッケージ本体の厚さが1.0mmの薄型SSOP。ピンピッチは0.65mm、0.5mm、ピン数は8ピン~56ピンがある。
HTSSOP
(TSSOP with Heat slug)
TSSOPの基板実装側の面に、サーマルパッドと呼ばれる放熱面が設けてある。
CERPAC

セラミック封止のパッケージ。ピンピッチは1.27mm(50ミル)。
DMP

新日本無線(RSではNJRと表記)のパッケージ。ピンピッチが1.27mm(50ミル)でSOPやSOICに近いが、パッケージの幅が異なる。
SC70

SSOPの一つと見ることもできる。ピンピッチが0.65mmの表面実装小型パッケージでピン数は5ピンが多いが6ピンもある。メーカーによって、USVCMPAKと表記されることもある。

SOT系

大分類 小分類
SOT系
SOT系
SOTとはSmall OutlineTransistorのことで、元はトランジスタの表面実装用の小型パッケージ。メーカーによっては、SOTと同一形状であっても別の名称を用いることもある。 SOT23

ピンピッチが0.95mmの表面実装小型パッケージでピン数は3ピン~6ピン。メーカーによって、SC74AMTP5MPAKSMVと表記されることもある。
SOT89

ピンピッチが1.5mmの表面実装小型パッケージで放熱用のタブを持つ。ピン数は通常3ピンであるが5ピンのものもある。メーカーによってUPAKと表記されることもある。
SOT143

ピンピッチが1.9mmの表面実装小型パッケージでピン数は4ピン。一つのピンだけ他のピンより幅広になっている。
SOT223

ピンピッチが2.3mmの表面実装小型パッケージで放熱用のタブを持つ。ピン数は3ピン。

TO(プラスチック)系

大分類 小分類
TO(プラスチック)系
TO(プラスチック)系
TOとはTransistor Outlineのことで、元はトランジスタのパッケージ。リードをフォーミングして表面実装に使用できるようにしたものもある。メーカーによっては、TOと同一形状であっても別の名称を用いることもある。 TO3P

電圧レギュレータなどに使うパッケージ。元はトランジスタ用のパッケージ。
TO92

電圧レギュレータや電圧レファレンスなどに使うパッケージ。元はトランジスタ用のパッケージ。ミニサイズやロングボディなどのバリエーションもある。TO226AAとJEDECの規格で表記されることもある。
TO220

電圧レギュレータなどに使うパッケージ。元はトランジスタ用のパッケージ。放熱器に付けるタブを持つ。タブの部分もプラスチックで覆われたフルモールドタイプもある。アンプなどに使われる多ピンのものもあり、ST Microelectronics社のPENTAWATT(5ピン)、HEPTAWATT(7ピン)、MULTIWATT(多ピン)などはTO220に分類されるがSIP系の一部と見ることもできる。
TO252 電圧レギュレータなどに使うパッケージ。元はトランジスタ用のパッケージ。ロングリード品をSC64と表記するメーカーもある。リードをフォーミングし表面実装できるようにしたものをDPAKPPAKあるいはSC63、と表記するメーカーもある。
TO263

TO220のタブを小さくした形をしている。通常はリードをフォーミングし、表面実装できるようにしてある。3ピンの他に5ピン、7ピンのものもある。D2PAKDDPAK)と表記されることもある。

TO(CAN)系

大分類 小分類
TO(CAN)系
TO(CAN)系
金属のケース(CAN)のパッケージ。表面実装品はなく、リードがプリント基板を貫通して接続される。現在ではほとんど使われなくなった。 TO3

パワートランジスタ初期のパッケージ。2本のビスで放熱器に固定する構造になっている。
TO5

直径8mm、高さ4mm程度の円筒型の金属パッケージ。TO39に類似している。
TO39

直径8mm、高さ4mm程度の円筒型の金属パッケージ。TO5に類似している。
TO46 直径5mm、高さ2.5mm程度の円筒型の金属パッケージ。TO52よりわずかに高さが低い。
TO52 直径5mm、高さ3.5mm程度の円筒型の金属パッケージ。TO46よりわずかに高さが高い。
TO99 直径8mm、高さ4mm程度の円筒型の金属パッケージ。底面には8本のピンが円周状に配置され、その中央には底面をプリント基板から浮かせるための1mm程度の突起がある。外形はTO100に類似している。
TO100

直径8mm、高さ4mm程度の円筒型の金属パッケージ。底面には10本のピンが円周状に配置され、その中央には底面をプリント基板から浮かせるための1mm程度の突起がある。外形はTO99に類似している。

半導体パッケージの役割

半導体パッケージにはさまざまな規格がありますが、半導体パッケージにはどのような役割があるのでしょうか。半導体パッケージが持つ5つの役割について解説します。


半導体チップを保護すること

半導体パッケージには、半導体チップの保護をするという役割があります。半導体チップや電子回路は非常に繊細で、水分や湿気、塵、衝撃、光、磁気などの外部からの影響により損傷したり、不具合を起こしたりする可能性も否定できません。半導体チップや電子回路が不具合を引き起こせば電気製品の故障につながるため、樹脂製パッケージに入れることにより外部環境からのさまざまな影響から半導体チップを守り、正常に作動できるようにしています。


外部との接続や通信を可能とすること

半導体パッケージの大きな役割として、外部との接続や通信を可能にすることが挙げられます。半導体パッケージにはんだボールやリードフレームなどの端子が設けられており、外部との接続や通信ができる仕様です。半導体チップや電子回路は半導体パッケージの端子を通じて外部からの接続や通信に対応し、処理をした結果を信号として外部へと送り出します。もちろん、電源供給や電気の入出力も半導体パッケージを通じて行われます。半導体パッケージは内部と外部の接続・通信を容易にするためにも役立つパーツです。


半導体チップの放熱させること

半導体パッケージはシリコンチップの放熱にも役立っています。シリコンチップは作動する際に発熱しますが、あまりに高温になると不具合を起こすことがあります。半導体パッケージはヒートスプレッダーにより内部にこもった熱を外部に排出し、動作保証温度範囲内に保持する働きを持つことから、シリコンチップが発した熱を逃して正常に作動させるために欠かせません。


実装性を高めること

回路の実装性を高めることも半導体パッケージの役割です。実装する際に回路のカバーがなくそのままの状態であれば扱いにくく実装性が低くなってしまうため、樹脂製パッケージの中に入れて取り扱いやすい形状を実現させています。また、端子が設けられているためプリント基板への実装もしやすく、電子回路の実用性を考える際に半導体パッケージはなくてはならないものだと言えるでしょう。パッケージがなければ非常に精細に作られた回路を傷つけてしまったり、損傷させてしまったりすることもあるかもしれません。半導体パッケージは保護や安全性を高めるだけでなく、実装性を高めるための役割も果たしています。

性能の高いデバイスに低コストで対応すること

性能の高いデバイスへの実装に低コストで対応することも役割のひとつ。半導体パッケージを活用すれば機能の異なる半導体チップをひとつにまとめることができるため、さまざまなデバイスに対応できる性能の高さを実現できるようになります。通常、複数の半導体チップをまとめるとコストが格段に高くなる傾向がありますが、複数の半導体チップをパッケージにより単一チップとして取り扱えるようになれば低コストでの実装も可能。複数の半導体チップを用いた性能の高いチップを低コストで提供するためには、単一チップのように半導体チップをまとめるための半導体パッケージが必要です。

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