ソレノイドバルブについてのガイド

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この記事では、ソレノイドバルブとは何か、ソレノイドバルブの用途、市場に出回っている様々な種類についてご紹介します。

ソレノイドバルブ(電磁弁)とは

ソレノイドバルブとは、液体もしくは空気で駆動する機構における流量を制御するために用いられる電気機械的なバルブ部品です。単に「ソレノイド」と呼ばれることも多く、水、空気、油、ガスなどの流体の制御によく使われています。

ソレノイドバルブは、自動操作が可能なことからエンジニアにとって、またエンドユーザーにとって非常に使いやすいバルブです。ガスや液体の流量を自動的に制御し、監視が必要なあらゆる場所に設置して使用することができるので、ソレノイドバルブを使えば、エンジニアが現場でバルブを操作する必要がなくなります。

この記事では、ソレノイドの動作原理やソレノイドバルブを購入するにあたって考慮する点、バルブがよく用いられている用途、使用環境を解説します。

ソレノイドバルブの用途

産業用途、生産現場、研究室の大半の環境を網羅する専門的な構成を含む、あらゆる液体やガスの制御を目的に利用することができます。ソレノイドバルブには豊富な種類があり、以下のような様々な物質を使用することができます。
  • 温/冷液体
  • 圧縮空気
  • 蒸気
  • 添加物を含む/含まない鉱物油、天然油、その他油
  • 水溶液
  • 腐食性、可燃性ガス

ソレノイドバルブは、洗濯機のすすぎ、排水運転時の水の流量を制御するといった、家庭向けの用途にも用いられています。ソレノイドバルブのさまざまな場面で使われており、このバルブを使用することで多くのシステムを高速化することができます。例えば、以下のような普段目にするものが挙げられます。

  • 給湯および水流システム
  • 芝生用スプリンクラーと灌漑ネットワーク
  • 洗車
  • プールの排水および注水制御
  • 医療および歯科治療機器
  • 冷蔵および空調設備
  • ペイントボールガン、圧力ポンプおよびその他の圧縮空気を使用する工具
  • 校正および検査装置

ソレノイドバルブの構造

ソレノイドバルブの構造は、次のとおりに主に2つに分けられます。

ソレノイド部
ソレノイド部とは、電気で生み出した力を動力として変換するための部分です。ソレノイド部を構成する要素はコイル・ヨーク・可動鉄心もしくはプランジャー・プラグナット・スリーブ。主に電磁弁の丈夫に位置しており、機械を動かすための動力源となります。

弁部(バルブ)
弁部(バルブ)とは、電磁弁を動かすために必要な部分です。弁部(バルブ)はディスクとオリフィスにより構成されます。ソレノイド部のコイルに電気が流れると、可動コアをとおしてオリフィスが開いたり閉じたりして制御を行うため、電磁弁を動かすためには弁部(バルブ)の働きが欠かせません。

弁部(バルブ)の種類
弁部(バルブ)には「ポペット」「スプール」「スライド」などの種類があり、それぞれの
種類によって特徴が異なります。

  • ポペット:単純な構造をしており長寿命で漏れにくい構造
  • スプール:円筒状をしていて流体圧力の影響を受けにくくバランスが良い
  • スライド:弁体が左右に動きながら流路を切り替えることが特徴

以上のように3種類の弁部(バルブ)は特徴が異なるため、特徴を把握してからソレノイドバルブを用いることが大切です。

ソレノイドバルブの動作原理

ソレノイドバルブは、バルブの種類に応じて、また、ある時点で作動している(通電している)かどうかによって、メディアの流れを開閉することのできる流量制御ユニットです。では、実際にソレノイドバルブはどのように動作するのでしょうか。

標準的なスプール式、ポペット式のソレノイドバルブでは、バルブ本体はプランジャー、旋回軸に取り付けられた電機子もしくはその他類似の機器に直接接続されており、ほとんどのモデルでは何らかの構成においてスプリングで固定されています。プランジャーは中空の管(ソレノイドコアとも呼ばれます)の内部にあります。
コアの外側に巻かれたコイルが通電すると、チューブ内に磁界が発生します。これがプランジャーの動きに影響を与え、プランジャーはバルブを特定方向に押したり、引いたりすることで、流路の開閉を行います。バルブの開閉を自動的に行うソレノイドの機能の正確性は、バルブとソレノイドコントローラーの種類と構成、そしてバルブの「ノーマル」の状態に左右されます。

「ノーマルオープン」および「ノーマルクローズ」ソレノイドバルブ

ソレノイドバルブが、「ノーマルオープン」タイプの場合、
  • ソレノイドが入力信号を受信していないときは、バルブは開いたままです。このバルブを流れる物質の量は、通常の状況下での管路もしくは給排水管(およびメディアの種類)の最大流量に保たれます。
  • 「ノーマルオープン」のソレノイドは、電気的な入力信号により、バルブを自動的に(コイルで発生した電磁力を使って)閉じます。つまり、「ノーマルオープン」ソレノイド内部のコイルが通電すると、バルブが閉じる方向に押され、これによって物質の流量が自動的に制御されます。
  • 電気的な入力信号がコイルに送られなくなると、バルブはすぐに通常の状態に戻ります。物質の流量は、それに従って制限されたり解放されたりします。

一方、「ノーマルクローズ」ソレノイドバルブは、上で説明したのと全く逆の動きをします。

複合ソレノイドバルブ

ソレノイドバルブコントローラーには、高度な回路技術などの部品を採用し、より複雑な機能や高い応答性を備えているものもあります。コイル感度をより幅広い入力信号強度に対応させることにより、比例した流量や圧力に制御することも可能になります。

流体力学用語では、「ノーマルオープン」(すなわち流れあり)バルブは、電気システムの「ノーマルオープン」ゲートとは完全に逆のことを意味していることに注意してください。



ソレノイドバルブの材質

現在市場で販売されているソレノイドバルブの大部分は、当然ながら耐久性が高く、比較的腐食に強い素材を用いて製造されています。使用目的によって、以下のような素材のバルブがあります。
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真鍮製ソレノイドバルブ

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ステンレススチール製ソレノイドバルブ

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アルミ製ソレノイドバルブ

ソレノイドバルブの外観

ソレノイドバルブは、一般的なモデルとしてポペット式もしくはスプール式がありますが、流量、メディア、機能、使用環境に応じて、特殊なモデルも用意されています。ほとんどのソレノイドは、以下の主要部品を基本的に配置したモジュール構造になっています。

バルブ本体- ソレノイドバルブの主要な機能部品で、入力/出力、弁座、流量を制御するオリフィスがあります。

電気ソレノイドコイル-銅の巻線から作られた電磁石で、通電するとプランジャーを動かします。

コイル部ハウジング、チューブアッセンブリー-多くの場合、非鉄金属の円筒で、一端が密閉されており、プランジャーが電磁力に従って動く通路となるパーツです。


より複雑なシステムでは、様々なDIN端子やコネクターが使われることもあります。これらの部品は、後続する出力信号やシステム内の各種動作の制御を行うための多くのオプションが用意されていることもあります。

2方向ソレノイドバルブ

2方向もしくは2ポートソレノイドバルブは最も基本的なバルブで、入力側と出力側のポートのみを持っており、電気的な信号を受け取った時にバルブを開閉するものです。

そのため、2方向ソレノイドバルブは「シャットオフ」ソレノイドとしても知られています。前述のように、通常の条件下で流れを制限する必要があるか、あるいは可能にする必要があるかによって、「ノーマルオープン」および「ノーマルクローズ」どちらの種類も入手できます。

3方向ソレノイドバルブ

3方向もしくは3ポートソレノイドバルブは、供給/排気ポートおよび2つのバルブシールを持っており、通常時(非通電時)は、バルブシールの1つは常に開いており、もう1つは常に閉じています。

電気信号の入力により、それらの2つのポートの開/閉状態が切り替わり、それによって様々なバルブ制御が可能になります。従って、より大きなパイプラインシステムにおいて、ポートの接続方法により、必要に応じてチャンネル間で流れを切り替えることができます。

直動式ソレノイドバルブ

先ほど述べた基本的なソレノイドバルブのカテゴリーの中にも、様々な動作方式、機能を持つものがあります。直動式ソレノイドバルブもその一つです。

直動式ソレノイドバルブでは、通電したソレノイドはバルブシールピストンや電機子に直接作用します。従って、バルブの開閉能力は構成部品の定格電力(つまり物理的な強さ)に左右されます。

パイロット式ソレノイドバルブ

パイロット式ソレノイドバルブでは、バルブの開閉は加圧された流体または気体が蓄積されることで得られるエネルギーによって行われます。これは、アクチュエーター(パイロット式システムでは、多くの場合ダイヤフラム)の両側にかかる圧力の差に反応する異なる直動式ソレノイドバルブによって行われます。

パイロット式ソレノイドには、「内部パイロット式」と「外部パイロット式」があります。内部パイロット式ソレノイドバルブは、より高圧になるシステムで利用される傾向があります。大口径のオリフィス間の圧力差がバルブの開閉の大部分を担うことになる大規模なパイプラインによく使われています。

外部パイロット式ソレノイドは、バルブ/ダイヤフラムを適切な方向に押したり引いたりするため、スプリングや電機子といった「サードパーティー」構成部品に依存しています。この方式のソレノイドは、小規模のパイプライン、小径のオリフィスに対応した小さな圧力差で動作します。

ソレノイドバルブの活用事例

基本的なメディアの互換性および基礎的な動作の点では、以下のリストに挙げるソレノイドは一般的なものです。現在購入可能なソレノイドの多くのモデルは、以下の一分野もしくは複数分野における特定の機能を有しています。

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水用ソレノイドバルブ

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ソレノイドガスバルブ

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ソレノイドエアバルブ

ソレノイドバルブ購入にあたって検討するべきこと

現在、世界中のメーカー、サプライヤーから様々なソレノイドバルブが販売されています。これは、ソレノイドバルブの汎用性が持つ本質的な利点です。様々な設計、機能を持ったソレノイドがあるということは、自分の求める使用用途、導入環境、発揮すべき性能に的確に対応するバルブを選ぶことができるということです。その代わり、種類が多いことで、選択に困ってしまうかもしれません。

パイプライン、流動系にソレノイドバルブを導入する場合、考慮すべき主要なスペックは以下の通りです。


  • 流量-システムに必要な流量に対して大きすぎる、性能の高すぎるバルブは費用対効果が悪く、メディアを無駄にするリスクもあります。一方、必要な流量に対して小さすぎる、性能の低すぎるバルブは、正確で適切なアクチュエーター機能を果たすことができません。
  • メディアの互換性-水、空気、蒸気、オイル、燃料、その他使用するメディアに適したバルブを選ぶことが非常に重要です。
  • 圧力- 動作圧力は、そのバルブの全体の流量に対して最も影響を与えます。そのため、最適な性能を得るためには、システム要件とのバランスが必要です。
  • 温度
  • プロセス最適化またはマウントタイプ

上記の基準に対するメーカーのガイドラインには、多くの場合、それぞれのケースでの最大安全定格が記載されています。そのため、すべてのケースで動作パラメーターが指定された定格を下回っていることを確認する必要があります。

また、利用可能なソレノイドバルブアダプターおよびマウントについても検討する必要があるかもしれません。アダプターやマウントは、設置されるパイプラインの種類に合わせて検討するのが一般的です。

  • ガス管・水道管用圧縮継手
  • 押し込み式またはホーステール式のホース用継手
  • PVCコンジット用PVC継手
  • ソケット、径違い継手用ブッシング、ニップルなどの各種アダプター

利用可能なそれぞれのソレノイドバルブについて、適切なサイズと必要な電力を考慮する必要があります。的確な使用ニーズ/使用条件とバルブの各分野における定格性能使用との対応を計算しなければなりません。このため、メーカーのガイドラインは以下の分野にまたがって検討する必要があります。


液体ソレノイドバルブ(一般に液体は圧縮できないと考えられます)については、次のことを考慮しなければなりません。

  • バルブの定格流量性能
  • 流量(通常1分あたりの体積で表現されます)
  • 入力側と出力側の圧力
  • バルブの圧力低下
  • 対象となる流体の比重

ガスソレノイドバルブについては、ガスは圧縮可能な物質であると考えられるため、もう少し複雑なことも考慮に入れる必要があります。例えば、パイプラインの各所におけるガス温度、立方フィート/時で表されるシフト流量、その結果としての入口と出口の両ポートでの絶対圧などです。

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