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    シフトレジスタとは?接続方式や種類について詳しく解説
     
      • 発行日 2024年1月18日
      • 最終変更日 2024年4月5日
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    シフトレジスタとは?接続方式や種類について詳しく解説

    シフトレジスタとは、入力されたデータをレジスタ(記憶装置)内で移動するように作られた回路です。当記事では、シフトレジスタの接続方式や種類について解説します。

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    シフトレジスタとは

    シフトレジスタは、複数の信号を整理・変換し、単一の配線を通じて多数の信号を効率的に伝送するデバイスで、デジタル回路設計において広く使用される重要な要素です。 

     これは、一連のフリップフロップを連結して構成され、各フリップフロップが1ビットの情報を保持することで、複数ビットのデータを一時的に保存し処理します。クロック信号の影響を受けて、データは一つのフリップフロップから次へと順次移動(シフト)します。 

     シフトレジスタの主な機能は、データの一時保存と順次的な転送であり、特にシリアルデータとパラレルデータの変換で重要な役割を果たします。これにより、データの形式を効率的に変換し、限られた数の物理的接続を介して多数のデータビットを転送することが可能になります。この性質は、システム設計においてデータ伝送ラインの数を削減し、回路の複雑さを低減するのに役立ちます。 

    シフトレジスタの用途

    シフトレジスタは、主にシリアル信号とパラレル信号の変換での接点として活用されています。シリアル信号伝送方式は速度が速いため、デジタル回路でよく使われています。 

    データの一時保存や信号処理だけでなく、データの時間的な遅延や順序変更、さらには特定のデータパターンの生成など、様々な用途に使用されます。例えば、データストリーム内のビット列の順序を逆転させたり、特定のパターンを生成してデータストリーム内に挿入したりする際に利用されます。 

    その汎用性の高さから、通信システム、コンピューターネットワーク、データ処理装置、さらには電子楽器や表示装置など、多岐にわたる電子デバイスに組み込まれています。 

    シフトレジスタの接続方式

    シフトレジスタは入力・出力それぞれの接続方式によって、大きく4つに分類できます。

    直列入力直列出力形

    直列入力直列出力形(SISO)のシフトレジスタは、シフトレジスタの基本形態の一つです。この形式では、データはシリアル(直列)形式で入力され、クロック信号のたびに1ビットずつ順次シフトされます。シフトの方向は左または右に設定することが可能で、この動作はクロック信号によって制御されます。 

    SISOシフトレジスタの構造において、フリップフロップは1ビットのデータを保持する役割を担っています。フリップフロップを複数連結させることで、たとえば4つのフリップフロップを使うことにより、4ビットのデータを扱うシフトレジスタを構成することができます。これにより、入力されたデータはシフトレジスタを通過し、最終的に出力されます。 

    通常のSISOシフトレジスタでは、最後のフリップフロップに保持されているデータは、新しいデータの入力時に消去されます。しかし、特定の状況では、データを保持し続けるような設計を採用することも可能です。これにより、必要に応じてデータの一時的な保持や再利用が可能となります。 

    このようなSISOシフトレジスタは、デジタル信号処理やデータ転送において、単純ながらも重要な役割を担います。特に、シンプルな構造と一定の動作原理により、電子回路の基本的な要素として広く利用されています。 

    直列入力並列出力形

    直列入力並列出力形(SIPO)のシフトレジスタは、シリアルデータを受信し、それをパラレル形式で出力する特性を持ちます。このタイプでは、入力データは1ビットずつ順次受け入れられ、各ビットはフリップフロップに保存されます。データがフリップフロップを通過する際、各ビットは順次的に移動し、最終的には並列形式で一斉に出力されます。 

     SIPOシフトレジスタの主な機能は、シリアルからパラレルへのデータ形式変換です。この変換プロセスにより、データはシリアル入力として受け取られ、フリップフロップを介して保存された後、一度にパラレル出力されます。これにより、データの並列処理が可能となり、データ伝送の効率が向上します。 

     特に、データ通信やデジタル信号処理の分野でSIPOシフトレジスタは重要な役割を果たします。シリアル入力を効率的にパラレル出力へ変換することで、複数のデータラインを使わずに多くの情報を伝達することが可能になります。この特性は、データ処理の速度を向上させると同時に、回路の複雑さを低減させる効果があります。 

    並列入力直列出力形

    並列入力直列出力型(PISO)のシフトレジスタは、パラレル形式で伝送される複数の入力信号を一度に受け取り、それをシリアル形式で出力する機能を持ちます。この形式では、一度に複数のビットがロードされ、その後、クロック信号に従って順次シリアル形式で出力されます。 

    このタイプのシフトレジスタには、データの書き込みとビットのシフトを制御するための適切なメカニズムが必要です。制御はクロック信号によって行われ、これによりデータは効率的に処理されます。また、PISOシフトレジスタは、その最初のフリップフロップに入力を制限することで、直列入力直列出力形(SISO)としても機能する柔軟性を持っています。 

    このシフトレジスタのタイプは、パラレル信号をシリアル信号に変換する際に重要な役割を果たします。特に、データ通信やデジタル処理において、大量のデータを効率的に一つのシリアルストリームに変換し、送信することが可能になります。この機能は、データの処理と伝送の効率を向上させるために広く用いられています。

    並列入力並列出力形

    並列入力並列出力型(PIPO)のシフトレジスタは、入力と出力が両方ともパラレル形式を使用する特性を持ちます。この方式では、複数のビットが同時にシフトレジスタにロードされ、クロック信号が与えられた時に、すべてのデータが同時にシフトされます。このタイプのシフトレジスタは、特定の情報を同時に保持し、必要に応じて一斉に出力するために利用されます。 

    PIPOシフトレジスタは、例えばデータ履歴の保存や一時的なデータバッファリングなど、複数のデータを同時に処理する必要がある場面で重宝されます。これにより、データの集約や一時保持が容易になり、データの整合性や処理効率が向上します。また、このタイプのシフトレジスタは、情報の一括処理や複数の信号の同期処理にも有効で、データの集中的な管理や処理を実現します。 

    このように、PIPOシフトレジスタは、同時に多くのデータを扱う必要があるデジタルシステムにおいて、効率的なデータ処理と管理のための重要なツールとして機能します。

    シフトレジスタの人気ブランド

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    まとめ

    シフトレジスタは信号の並べ替えや変換を行うことで、一つの配線で膨大な信号を伝送できるデバイスです。 

    シフトレジスタは、シリアル・パラレル信号の変換におけるインターフェースとして主に利用されます。その他にも、遅延回路やシフト演算にも使用されます。 

    シフトレジスタは入出力それぞれの接続方式によって、直列入力直列出力形・直列入力並列出力形・並列入力直列出力形・並列入力並列出力形の大きく4つに分類できます。 

    これらの接続方式によって、シフトレジスタは様々なアプリケーションで活躍し、デジタル回路の信号処理において効率的かつ柔軟な機能を提供しています。 

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