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      • 発行日 2024年3月26日
      • 最終変更日 2024年4月5日
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    IoT向け無線通信規格 LoRaWAN™

    低消費な長距離無線ネットワーク「LoRaWAN」を手軽に実現

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    LoRa / LoRaWAN(ロラワン)とは?

    LoRaは、Long Rangeの略であり、米国半導体大手セムテックが開発し、“LoRa Alliance” (世界のIoT関連480社以上が加盟)で仕様化されました。Sigfoxと異なり、通信事業者に拠らず自身でネットワークを構築することも可能なオープンな通信規格であり、その名の通り、都市部で2km、見通しの良い場合は10km程度の1対1での通信を実現する無線技術です。

    LoRaWAN™は、Long Range(LoRa)Wide Area Network(WAN)の略で、消費電力を抑えつつ、長距離での通信を可能にあする大規模ネットワーク構築を実現するプロトコルです。Wide Area Networkアプリケーションを ターゲットとし、IoTにおけるセキュアなローコストモバイル双方向通信、M2M、スマートシティ、産業アプリケーションなどをサポートするのに必要な機能を備えた低消費電力のWANを提供できるよう設計されています。低消費電力に最適化されており、0.3kbpsから50kbpsのデータレートで数百万ものデバイスとつながった大きなネットワークをサポートします。


    システム

    LoRa

    推進団体

    LoRa Alliance(米)

    標準規格

    LoRaWAN

    使用周波数

    920MHz帯(免許不要の周波数帯)

    通信速度

    上り/下り(250bps~50kbps程度)

    カバレッジ拡張

    数km~十数km

    LoRaWANによるIoTネットワーク

    IoT向けの無線通信として、WiFiやBluetoothがありますが、数キロにおよぶ広範囲ネットワークには適しません。また、4G / 5Gといったセルラー通信にした場合、消費電力や運用コストが導入の妨げとなっています。そこで低消費で広域通信が行える“Low Power, Wide Area(LPWA)””通信として、LoRa無線やその上に構築されたネットワークLoRaWANが注目されています。

    LoRaWANは、センサネットワーク、セキュリティシステム、スマートホーム、スマートメータ、産業用制御、さらにはスマートシティといった用途に最適です。オランダのアムステルダムでは、クラウドファンディングを活用した10台のゲートウェイでLoRaWANによるIoTネットワークを都市として初めて構築。イギリスのカルダーデールでは、河川中に張り巡らせた水位センサとLoRaWANでIoT洪水対策システム:Flood Networkが立ち上げられました。

    LoRaWAN™の特長

    LoRaWAN™には次のような特長があります。

    消費電力量が少ない

    LoRaWAN™には消費電力量が少ない特長があります。エンド端末のクラスにより消費電力量は変わりますが、送受信速度が早いことから、その他の通信規格に比べて少なめとなる傾向で、その分メンテナンス回数も抑えられます。消費電力量が少ないLoRaWAN™は、ランニングコストを抑えるために効果的です。

    長距離通信ができる

    LoRaWAN™は長距離通信が可能であることも大きな特長です。サブギガHz帯域(Sub-GHz:1GHz以下一般的に920MHz帯)での適応スペクトラム拡散方式により、市街地でも2~5km、郊外なら最大15kmの通信距離を実現します。携帯電話のようにエリア設計される通信方式では伝送距離が1~1.5km程度であることからもおわかりいただけるように、LoRaWAN™は長距離通信が可能なネットワークです。 出典:総務省「ワイヤレスブロードバンドの最新事情」(PDF)

    通信が安定している

    LoRaWAN™はノイズに強く、通信が安定しています。920MHz帯を使用しているため、他のネットワークが混在している場所でも電波の干渉が起きにくいためです。そのため、無線設備や2.4GHzの電波を放出する電子レンジなどの電気製品の近くでも使用でき、ゲートウェイを設置すれば室内でもノイズに悩まされることなく、安定した通信を得られます。

    FUOTAをサポートしている

    FUOTA(Firmware Update Over The Air)をサポートしていることもLoRaWAN™の特長と言えます。FUOTAはマルチキャストの遠隔ファームウェアアップデートを可能とし、耐用年数内においてリモートアップデートを保証する機能です。長期間に渡る使用を検討しているケースでは、LoRaWAN™においてFUOTAをサポートしていることは大きなメリットとなるでしょう。

    LPWAのオープンソース化

    国内で紹介されているLoRaWAN™の多くは、「ノードロック」というタイプのものですが、欧州では「オープン」タイプが主流です。

    NPOのボランティア団体である The Things Network(TTN:ザ シングス ネットワーク)

    LoRaWANネットワークの構築に必要なソフトウェアの開発・無償提供し、且つ、ソースコードもオープンに提供しています。

    TTNは、既に世界最大のIoT 向けLoRaWAN サービスを提供しています。

    オランダのアムステルダム市では、市民の協力で、十数万円するLoRaWANのゲートウェイを市民自身が購入し、設置・運用することによって、街全域を覆うLoRaWANネットワークの構築を完了しています(2015年6月)。オランダは今後、このネットワークをどのように活用していくか、また、欧州全土をカバーするLoRaWANネットワークをどのように構築していくかという議論が始まっています。

    TTNを活用することで、通信費負担なく複数のノードを繋いだIoTネットワークを構築でき、Microsoft Azure™や AWS(Amazon Web Service)™ などのクラウド環境でのビッグデータ処理を実現します。

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