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      • 発行日 2023年12月21日
      • 最終変更日 2023年12月21日
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    コイルとは?概要や特徴、用途について詳しく解説!

    コイルは、インダクタとも呼ばれコンデンサーや抵抗と並ぶ電子回路の核心をなす部品です。コンデンサー、抵抗、コイルを直列に配置された回路は、「RLC回路」とも呼ばれます。当記事では、コイルの概要や特徴、用途について詳しく解説します。

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    コイルとは

    コイルは、電子部品の一種で、細い導線 (金属)をらせん状に巻いた形状をしています。導線の両端には端子が取り付けられています。 導線に電流を通すとその周りに磁界が発生し、この磁界を利用して起電力を発生させます。起電力が発生してすぐには電流を通そうとはしませんが、電流を止めると逆に電流が流れ始めます。

    「右ねじの法則」とは、導体や電流を流した時に、発生する磁界がどの向きになるかを示す法則です。右ねじとは右方向(時計方向)に回すと前に進むねじのことです。ねじが進む方向へ電流を流すと、右ねじの回転方向に磁界が生じます。そしてコイルでは、この磁界が導線の周囲の磁界に影響を与え、磁束の変化を引き起こします。

    コイルは、この磁束の変化を打ち消す方向に作用し、その方向へ起電力を生み出します。これが電圧が生じる原理です。この現象を誘導起電力、または電磁誘導と呼びます。

    磁束の変化は、磁石をコイルに近づけたり離したりすることでも生じます。また、導線の巻き数が多いほど、また直径が小さいほど磁力が高まり、これに伴い電流も増大していきます。

    コイルの仕組み

    コイルに電流が流れる理由は、導線が関係しています。電流が金属の導線を流れるとき、その導線を中心として同心円状に磁界が発生します。その結果、磁界が束ねられて同じ方向に強化されます。  コイルの導線の中心に芯が入っており、この芯は強磁性体と呼ばれる磁性を帯びやすい素材で作られています。  導線を巻いた形状の中に強磁性体を入れることで、磁力がさらに強まり、またその磁力を保持できる特性があります。これは、強磁性体が磁界に触れると磁石の性質を示すためで、この現象を磁気誘導と呼びます。  芯の素材には、セラミック素材であるフェライトが用いられますが、導線自体はエナメルなどで覆われていて芯と導線の間には電気を通していません。 

    このような原理で、コイルは電流が流れると磁石のように働き、磁界を発生させます。 

    コイルの役割 

    コイルには以下のような役割があります。 

    電源回路用

    家庭に設置されている電源から供給されるのは交流電流ですが、多くの電子回路は直流電流で動作します。そのため、ノイズの少ない安定した直流電流が、精密な電子機器をスムーズに駆動させるのに有用です。 

    ここで重要な役割を果たすのがコイルです。コイルは交流電流を通しにくく、一方で直流電流は容易に通す性質を持っています。そして、周波数が高くなるほど誘導リアクタンスも増大します。 

    この特性を利用して、電源用の回路にコイルを組み込むことで、より直流に近い安定した電流を次の回路へと供給することが可能です。これにより高周波ノイズを防ぎ、余分な雑音を除去することもできます。 

    高周波回路用

    一部の特殊なコイルには高周波を通さないという特徴があるため、精密機器の正確な動作に非常に有用です。  たとえば、携帯電話や無線LANなどの通信回路は超高周波数帯で動作しますが、一般的なコイルは周囲の環境から影響を受けやすく、電波障害の原因になる可能性があります。 

    そこで注目されるのが、ドーナツ形状の強磁性体に導線を巻いたトロイダルコイルです。  強磁性体を芯に使用すると、一方の端から飛び出した磁力線が反対側の端に接続し、漏れ磁束が生じます。この漏れ磁束は、周囲の電子部品に悪影響を与える可能性があります。  トロイダルコイルを使うと、磁界の大部分が芯の内部に閉じ込められ、漏れ磁束を抑制することができるため、インダクタンスを高効率かつ安定して得ることができます。 

    電源変圧用

    海外への旅行に欠かせないものといえば変圧器です。 

    変圧器の動作原理はコイルの使用に基づいており、一つの強磁性体に二つ以上のコイルを巻き付ける形状をしています。電力が供給される側のコイルを一次側、逆に電力が出力される側を二次側と称します。 

    交流電流が一次側のコイルに与えられると、電磁誘導により磁界が生成されます。その後、この磁界によって二次側のコイルに電流が流れ始めます。 

    一次側の巻き数に比べて二次側の巻き数が少なければ少ないほど、出力電圧は低くなります。ただ、コイルに磁界を発生させるためには交流が必要で、直流電圧を調整することはできません。 

    コイルの種類

    コイルには以下のような種類があります。 

    巻線コイル

    巻線コイルは、導線を螺旋状に巻き上げた形状をしています。コイルは中心部が空洞のものも存在しますが、ミシンのボビンのように芯の部分に導線を巻きつけたものもあります。用途や必要なインダクタンス値により、形状やサイズはさまざまです。 

    大きな電流を必要とする回路や、高インダクタンス値が求められる場合には、これらのコイルが適しています。 

    積層コイル

    積層コイルとは、フェライトやセラミックという材質と、コイルのパターンを交互に重ねたもののことを指します。このコイルパターンは、導線を巻くのではなく、フェライト等の表面に導体をスクリーン印刷する方法で作られます。 

    これを多層に積み重ねることで、コイル同様の特性を持つようになりますが、その構造上、内部にはコンデンサー成分が含まれています。 

    薄膜コイル

    積層コイルがスクリーン印刷を用いて導体を形成するのとは異なり、スパッタリングや蒸着といった技術により、印刷よりもさらに薄い金属膜でコイルパターンを作るものを薄膜コイルといいます。 

    この技術は、半導体の製造技術を応用したもので、小型かつ高精度なコイルを製造することが可能です。 

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    まとめ

    コイルとは、紐のようなものを渦巻き状に巻いたものの総称です。中でも電子機器や電気装置で使われるコイルは、導線を用いて作られ、インダクタとも呼ばれています。  電子回路においてコイルは非常に重要な役割を果たし、抵抗器、コンデンサとともに三大受動素子の一つです。 

    代表的な特性として、コイルは電流により周囲に磁界を発生させます。永久磁石とは異なり、電流を流す際のみ磁石となるため、この便利な特性を活用してモーターリレーなどの部品にコイルが利用されています。  磁石をコイルに近づけたり遠ざけたりすることでコイル内の磁界が変化し、電磁誘導という現象が生じます。 電磁誘導で発生する電流を誘導電流、発生する電圧を誘導起電力と呼びます。 電磁誘導はうまく活用することで、電流を持続的に生成することが可能であり、発電機等にも活用されています。  また、コイルの巻き数を増やしたり、磁石の磁力を強化したり、磁石を速く動かしたりすることで誘導起電力は大きくなります。 

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