ジャンパスイッチと同じく、電子回路の各設定に頻繁に使用されるスイッチにディップスイッチ(DIPスイッチ)があります。
ディップスイッチのディップ(DIP)とは、集積回路などで広く採用されているパッケージ方式を指します。セラミックやプラスチックなどの素材で作られた本体外装から、複数のピンが両端に並んで配置されている点が特徴です。
ディップスイッチはプリント基板や筐体などに配置された専用のソケットに直接取り付けられますが、ジャンパスイッチとは違って、プラグ部分自身にスイッチが既に組み込まれています。
そのため、精密ドライバーなどの工具を使ってスイッチを操作するだけで接続と切断が即座にできるので、ジャンパスイッチと異なりわざわざプラグを抜く手間がありません。
ディップスイッチにはロッカー型やスライド型など、スイッチ操作の方法によってさまざまなバリエーションがありますが、基本的な性能は同じです。
ディップスイッチのメリットは何と言ってもその小ささと薄さです。標準的なサイズでは高さが3.5mm、ディップスイッチの端子間の距離が2.54mm程度なので、一度設置してしまえば固定されるため、ジャンパスイッチと専有面積は同じでもば、紛失の心配はほぼ無くなります。
これはあくまで標準であり、製品によってはさらにミリ単位で小さくしたディップスイッチも存在します。この大きさにより基板上の専有面積を非常に少なくすることができ素早いスイッチングが可能 となり、しかも基板に固定されるため紛失のリスクが大幅に減ります。
また、設置が容易であること、目で設定を確認できることなども、利用者にとっては便利な点です。
ディップスイッチは拡張や設定変更などで使われるものの、一度設置すれば何度もオンオフを繰り返す部品ではありません。
しかし、長期間放置されることにより、部品が経年変化を起こしたり異物が入り込んだりする可能性もあります。
そのため、製品によりますが、接触部に金メッキを施したり、自己清掃機能を搭載させたりといった工夫が行われています。こういった工夫により、機器の信頼性とより高めることができます。