- 発行日 2023年5月16日
- 最終変更日 2025年12月5日
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同軸コネクタの種類・構造と選び方|BNC・SMAなど主要規格を紹介
この記事では、同軸コネクタの種類や選び方について解説しています。

同軸コネクタとは?~ 名前と形状で見る種類の違い ~
—— 似たような名称の同軸コネクタがありますが?
同軸ケーブルコネクタとは、同軸ケーブル専用に設計されたコネクタで、一般には「同軸コネクタ」と呼ばれることもあります。高周波信号の伝送に用いられる同軸ケーブルには多くの種類があり、それに伴って同軸ケーブルコネクタの種類も非常に多様です。無線通信機器や放送機器、ネットワーク機器、電子計測器など用途が幅広いため、接続する際には各ケーブルに適した同軸ケーブルコネクタを選ぶ必要があります<図1>。
また、接続する側とされる側で2種類の同軸ケーブルコネクタ(以下、同軸コネクタ)が必要であり、ケーブル同士を接続する場合と、ケーブルを機器のパネルやプリント基板に接続する場合とでは使用する同軸コネクタも異なります。さらに、ケーブルをはんだ付けするのか圧着するのかといった接続方式の違いによっても品種が多くなります。
同軸コネクタにはBNCやSMAなどの系列(シリーズ)があり、その名称の由来は統一されていません。例えば、NはPaul Neill(個人名)、BNCはBayonet Neill Concelman、SMAはSubminiature type Aなど、開発の背景や構造から名付けられており(諸説あり)、同軸コネクタの名前は必ずしも規則的ではありません。
一方で、このように名称が多様であるのとは対照的に、同軸コネクタの構造や特性は、IEC 60169シリーズや MIL規格などによって標準化されています。これらの規格では、寸法、ねじ形式、電気的特性といった基本要件が詳細に定められており、メーカーが異なっても一定の性能と互換性が確保されます。
さらに、同軸コネクタは用途や形状に応じて多くの種類がありますが、規格に準拠した製品であれば必要な品質を満たしているため、安心して使用できます。
主な同軸コネクタ
BNCコネクタ
同軸コネクタとして最も一般的で、バヨネット式のため脱着が容易です。嵌合後にケーブルを回転させられるので扱いやすい点も特徴です。
【結合方式】バヨネットロック(接続リング外径:約14.5mm)
【特性インピーダンス】50Ω、75Ω
【使用周波数範囲】4GHz以下
【定格電圧】500V(実効値)以下
TNCコネクタ
BNCコネクタのねじ嵌合タイプで、脱落しにくいためアンテナなど確実な固定が求められる用途に適しています。
【結合方式】ねじ 7/16-28UNEF-2(接続リング外径:約14.5mm)
【特性インピーダンス】50Ω
【使用周波数範囲】4GHz以下
【定格電圧】500V(実効値)以下
Nコネクタ
大電力に対応できる構造を備えており、ねじ嵌合のため接続が安定しています。アンテナや計測機器など、耐久性と信頼性が求められる用途で多く使用されています。
【結合方式】ねじ 5/8-24NEF-2(接続リング外径:約20.5mm)
【特性インピーダンス】50Ω、75Ω
【使用周波数範囲】10GHz以下(50Ω)
【定格電圧】500V(実効値)以下
SMAコネクタ
小型で、ケーブルとの段差が少ない構造のため広帯域まで対応できます。マイクロ波帯の機器にも広く採用されています。
【結合方式】ねじ 1/4-36UNS-2(接続リング外径:約8mm)
【特性インピーダンス】50Ω
【使用周波数範囲】12.4GHz以下
【定格電圧】335~500V(実効値)以下
SMBコネクタ
SMAコネクタより小型。スナップロック式で脱着が容易。 ケーブルの軸回転が可能。
【結合方式】スナップロック(接続リング外径:約 6mm)
【特性インピーダンス】50Ω
【使用周波数範囲】2GHz以下(JIS 500MHz以下)
【定格電圧】500V(実効値)以下
SMCコネクタ
SMBコネクタのねじ嵌合タイプで、振動性と気密性に優れています。締結後にケーブルを回転させることはできません。
【結合方式】ねじ #10-32UNF-2(接続リング外径:約6mm)
【特性インピーダンス】50Ω
【使用周波数範囲】4GHz以下
【定格電圧】500V(実効値)以下
同軸コネクタの最適周波数について
同軸コネクタの最適周波数は、種類によって異なります。 代表的な同軸コネクタの最適周波数は次のとおりです。
- 7/16 DINコネクタ:0~6GHz
- BNCコネクタ:0~2GHz
- H・BNCコネクタ:0~6GHz
- MCXコネクタ:0~6GHz
- Nコネクタ:0~18GHz
- SMAコネクタ:0~18GHz
- SMBコネクタ:0~4GHz
- TNCコネクタ:0~4GHz
同軸コネクタごとの最適周波数は製品や用途によって変わるため、ここで挙げた数値は一般的な中央値であり目安です。実際には、対応する周波数帯域よりも低い周波数で使用されることが多い傾向にあります。ただし、同軸コネクタの種類によって周波数帯域には制限があるため、使用する周波数帯に合わせて最適周波数内で選定することが基本です。代表的な同軸コネクタの最適周波数はこのように種類ごとに異なるため、選定時の目安となります。
周波数・電力・環境性能 ~ 同軸コネクタ選定の基本 ~
—— ケーブルが決まれば、使用する同軸コネクタも決まりますか?
同軸ケーブルと同軸コネクタは1対1で対応しているわけではありませんが、同軸コネクタは、使用するケーブルに合ったものを使うというのが前提であるため、基本的にはケーブルが決まれば、接続方法などの条件によって使用できる同軸コネクタが絞られます。つまり、どのケーブルを選ぶかが、使用できる同軸コネクタの選択に大きく影響します。
では、使用する同軸ケーブルは何を基準に選ばれるのでしょうか。
一般的には、伝送する信号の周波数と電力(耐電圧)が第一の要素となります。これに加えて、伝送距離に伴う伝送損失や配線形態(フレキシブル/リジッド)などを勘案してケーブルが決まり、使用できる同軸コネクタも絞り込まれます。
仕様上の最高周波数は、理想的な接続状態で使用する場合の値ですので、実際の使用にあたっては十分な余裕を見込むことが重要です。また、一見同じ同軸コネクタに見えても、使用できる最高周波数が異なる製品もありますので、事前の確認を忘れないようにしてください。
反射を抑える接続 ~ 損失とインピーダンス整合 ~
同軸ケーブルには必ず同軸コネクタを使わないとダメですか?
高周波信号の接続や伝送に同軸ケーブルを使用する目的の一つは、送り側・受け側・伝送路のインピーダンスを整合させ、反射による伝送ロスをなくすことにあります。したがって、インピーダンス整合が保たれるのであれば、はんだ付けなどで同軸ケーブル同士を接続することも理論上は可能です。しかし、2本の同軸ケーブルを整合状態のままはんだ付けで接続することは、実際には非常に困難です。
<図2>は、インピーダンスの不整合によるVSWR(電圧定在波比)と不整合減衰量、つまり反射によって生じるロス(Return loss)の関係を示したグラフです。
◀図2
ラフな接続ではVSWRが3を超えることも珍しくありませんが、VSWR=3の時の不整合減衰量は6dBで、送り出した電力の25%がロスになることを示しています。これに対して同軸コネクタを使用すれば、VSWRを1.2程度以下に抑えることができ、1%以下に収められます。
また、機器間をケーブルで接続する場合には、取り付けやすさと同時に、取り外しやすさも重要です。同軸コネクタはインピーダンス整合が保たれるうえ脱着が容易であり、これらの要求を満たします。
50と75の不思議 ~ 構造とインピーダンス ~
同じコネクタで50Ωと75Ωがあるのは何故ですか?
同軸円筒状をした構造体の特性インピーダンスは、内導体と外導体の寸法比と、その間にある絶縁体の誘電率によって決まります。同軸コネクタは同軸ケーブルのインピーダンスに合うように設計されているため、同じ形状のコネクタであっても50Ω品と75Ω品では、絶縁体の材料や形状が異なります。
◀図3:75Ω(写真上)と50Ω(写真下)のBNC
<図3>でBNCの50Ω品と75Ω品の比較を示しました。BNCコネクタの場合は中心導体を囲む絶縁体の形状が異なっています。BNCでは両者が接続できてしまうため、誤って混在させないよう注意が必要です。
なお、N型コネクタにも50Ω品と75Ω品がありますが、こちらは機械的に嵌合しない構造になっています。
オス/メス表記の基本 ~ 間違えやすい呼称を整理 ~
PとかJとか色々あってよく分かりません
同軸コネクタは、中心導体の凹凸を組み合わせることで同軸構造を維持しつつ確実に接続できるよう設計されています。そのため、コネクタが凹側か凸側かを明確に区別する必要があり、PやJといった記号が用いられています。
呼び方には、オス/メス、プラグ/ジャックなどがありますが、これは他のコネクタ類とも共通ですので、統一して覚えておくと便利です。<図4>に呼び方を整理しておきました。
◀図5:表記の例
<図5 A,B>はBNCのプラグとジャックの例です。図では分かりにくいものの、Aは中心導体が尖ったプラグ(P/M/オス)で、Bは中心導体が凹状のジャック(J/F/メス)です。一方、同図のCは同じBNCのメスで、機器のパネル面などに取り付けるためのレセプタクル(Receptacle、記号:R)です。同図はストレートタイプの前側ねじ止め式レセプタクルですが、他にも、取り付け面がフランジ状(ねじ穴の空いた四角いツバ状)になったタイプや、プリント基板に直接取り付けるタイプ、直角方向に取り付けるタイプなど、さまざまな形状があります。
<図5 D,E>では、Dはジャック-プラグ-ジャック構成のBNC T型分岐コネクタ、EはNのオスとBNCのメスを持つ変換コネクタを示しています。これらのように、各端子のオス/メス構成に基づいて[BNC J-P-J]や[N-M BNC-F]のように表記します。
◀図6:SMBの中心導体
左の二つがプラグで、中心導体が凹状(メスコンタクト)
右の二つがジャックで、中心導体が突出したピン(オスコンタクト)
<図6>に示すSMBコネクタは注意が必要です。SMBではプラグ側の中心導体が凹状(メスコンタクト)になっており、他の多くの同軸コネクタとは逆の構造になっています。
◀図7:SMAの中心導体
左がプラグ(オスコンタクト)、右がジャック(メスコンタクト)
SMAの場合は<図7>のように、プラグは中心導体が突出したオスコンタクト、ジャックは凹状のメスコンタクトとなっており、一般的な構造です。
ケーブルとの接続は自分でやってもかまいませんか?
仕組みとして、同軸ケーブルとコネクタは直接かつシンプルに接続できる構造になっているため、難しいものではありません。ただし、同軸線路としてインピーダンスを乱さないことが重要であり、自分でアセンブリする場合は慎重な作業が求められます。
<図8>は、BNCプラグをアセンブリする際の手順例です。ケーブルを指定の寸法でカットした後、クランプ・ガスケット・座金の順に通します。その後、外皮・編組・絶縁体・中心導体などを指示書どおりの寸法で加工します。編組は十分にほぐしてクランプ上に折り返し、クランプのつばからはみ出す部分はカットします。
さらに、中心導体をはんだ付けする際は、熱で絶縁体を変形させないよう手早く作業してください。熱を逃がしやすくするために、中心導体をメス側のコネクタに差し込んでから作業する方法もあります。
同軸ケーブルの編組処理は意外と手間がかかり、作業のバラツキも出やすいため、数量が多い場合は圧着タイプのコネクタを使うことも一般的です。その場合は、指定の圧着器を使用し、圧着強度を管理することを忘れないようにしてください。また、アンテナ設備など屋外で使用する場合、多くのコネクタは防水機能を備えていません。接続後は、自己融着テープなどで防水処理(シール処理)を施す必要があります。
安定した接続のために ~ ケーブルアセンブリの注意点 ~
加工に自信が持てません。
ポータブル機器の内部や通信機のボード間接続などでは、SMKやMMCXといった極小コネクタと極細ケーブルを組み合わせる場合も増えてきました。さらに、伝送する信号の周波数もGHz~数十GHzと高くなっています。
場合によっては、リジッド(Rigid:硬質)やセミリジッドのケーブルが使用されることもあります。これらのケーブルアセンブリには精密さが求められ、専用工具が必要となる場合もあるため、完成品のケーブルアセンブリを購入するか、アセンブリ作業をコネクタメーカーに依頼することで、作業のバラつきや不具合のリスクを減らすことができます。
◀図9:ケーブルアセンブリの製品例
さらに、コネクタの中心導体をはんだ付けする際は“はんだ”の熱で絶縁体を変形させることの無いよう手早い作業を心がけてください。熱が逃げやすいように中心導体をメスのコネクタに差し込んで作業するのもひとつの方法です。
同軸ケーブルの編組処理は意外とやっかいで、作業のバラツキがでやすい、数が多い場合は圧着タイプのコネクタを使用することも多くなっています。その場合は、指定した圧着器を使い、圧着強度の管理も忘れないようにしてください。また、アンテナ設備など屋外で使用することもあると思います。その場合、多くのコネクタは自身に防水機能は備えていませんので、接続後は自己融着テープを巻くなどのシール処理を施してください。
応用製品の取り扱い注意点 ~ 終端器・減衰器・分岐器など ~
コネクタに終端抵抗が付いているのとかもありますね。
同軸コネクタの応用製品として、無反射終端器(Termination)や固定減衰器(Attenuator)、さらに分配器や合成器、サージプロテクタなどがあります。これらのうち、無反射終端器と固定減衰器には内部に抵抗器が入っているため、使用できる最大電力が規定されています。最大電力を超えて使用すると内部の抵抗が焼損する恐れがあるので注意してください。
また、電子計測などでは、前述の<図5 D>で示したようなT型の分岐コネクタを使用する場合があります。ただし、T型分岐コネクタは同軸線路としての形状から外れるため、インピーダンス特性が保証されない点に注意してください。。
◀図10:無反射終端器の製品例
同軸コネクタ Q&A
Q. 同軸コネクタのMMCXとMCXのインピーダンスは何Ωですか?
A. MMCX:50Ω、MCX:50Ωと75Ωの両方があります。
Q. PALコネクタ(PALシステム)とは?
A. カラーテレビの映像信号方式で使用するコネクタ(システム)です。
PAL:イギリス・イタリアなどヨーロッパやアジア、アフリカで主流
NTSC:日本・韓国・台湾、アメリカ大陸で主流
SECAM:フランスなどヨーロッパ一部、アフリカで主流
Q. SMAコネクタを選ぶ際、RG402とRG405とありますが何か違うのでしょうか?
A. RG402は外径φ3.58mmのケーブルに、RG405は外径φ2.19mmのケーブルに使用します。
Q. BNC基板実装レセプタクルにある、「ロープロファイル」とは何ですか?
A. 通常タイプより高さが低い構造であることを意味します。
Q. コネクタとケーブルの組立ては対応していますか?
A. 対応しておりません。組立て済みの製品は、「ケーブルアセンブリ」として各種取り揃えています。
Q. BNCとSMAなどの変換プラグの取扱いはありますか?
A. 各種変換アダプタをご用意しています。検索画面にてコネクタ規格を入力して検索してください。
Q. SMCコネクタのL型のフタの取り付け方法を教えてください。
A. 通常、圧入して取り付けます。
Q. SMAとSMBのプラグとジャックとは何ですか?
A. SMAやSMBはコネクタ構造が特殊なため、厳密にはプラグ/ジャックという区別が明確でない場合があります。ただし、一般的には、中心コンタクトが突出している側をオス/プラグ、穴が開いている側をメス/ジャックと呼ぶことがあります。
Q. SMAコネクタの拘束・非拘束とは何ですか?
A. コネクタを回したときにケーブルも一緒に回るタイプが拘束、ケーブルが回らないタイプが非拘束です。
Q. 高周波同軸を探しています。片側がSMBのLプラグ、もう片側はSMAストレートプラグ、5mを探しています。変換アダプタがよいのか、それとも作成した方がよいですか?
A. この場合、変換アダプタで中継するよりも、SMBのLプラグとSMAプラグでケーブルを作成した方が伝達ロスを抑えられます。
Q. 一般的にジャックと呼ばれるコネクタはレセプタクル、いわゆるメス側と考えていいでしょうか?
A. ジャックやレセプタクルは一般的にメス側の名称として使用されますが、メーカーによって異なる場合もあります。
Q. プラグとソケットについて、オスはどちらでしょうか?
A. プラグがオス、ソケットがメスになります。ピンが出ているのが、プラグ。受ける方(穴開き)がソケットです。



