検索キーワード履歴
      • 発行日 2023年5月16日
      • 最終変更日 2024年1月17日
    • 2

    同軸コネクタ基本ガイド~種類や用途・関連商品をご紹介~

    この記事では、同軸コネクタの種類や選び方について解説しています。

    同軸コネクタとは?名前と顔の一致 ~ 同軸コネクタの種類 ~

    —— 似たような名称の同軸コネクタがありますが?

    同軸コネクタとは、同軸ケーブル専用のコネクタです。主に高周波信号の伝送用ケーブルとして無線通信機器や放送機器、ネットワーク機器、電子計測器などに用いられる同軸ケーブルは用途によって多くの種類があります。接続に際しては各ケーブルに合致した同軸コネクタが必要となるため、ケーブルの種類に対応した数の同軸コネクタが存在することになります<図1>。言い換えると、同軸コネクタは、使用する同軸ケーブルに合致したものを使うことが前提です。

    また、接続に際しては接続する側とされる側で2種類の同軸コネクタが要りますし、ケーブルどうしを接続する場合と、ケーブルを機器のパネルやプリント基板に接続する場合とでは使用する同軸コネクタも異なります。製品としてはさらにケーブルをはんだ付けするのか圧着するのかといった部分にも違いがありますので品種も多いわけです。

    同軸コネクタにはBNCSMAといった系列(シリーズ)があります。各名称は例えばNはPaul Neill(個人名)、BNCはBayonet Neill Concelman、SMAはSubminiature type Aなどそれぞれが誕生した背景で異なり統一されていません(異説もある)。

    とはいえ、同軸コネクタの主な電気的機械的仕様はIECやMILなどの公的機関で規格として定められており、接続特性が保証されているので安心して使うことができます。

    主な同軸コネクタ

    BNCコネクタ

    同軸コネクタとして、最も一般的。 バヨネット式で脱着が容易。嵌合後にケーブルの軸回転が可能で扱い易い。

    【結合方式】バヨネットロック(接続リング外径:約14.5mm)

    【特性インピーダンス】50Ω、75Ω

    【使用周波数範囲】4GHz以下

    【定格電圧】500V(実効値)以下

    TNCコネクタ

    BNCコネクタのねじ嵌合タイプ。 容易に外れては困る用途(アンテナなど)に向く。

    【結合方式】ねじ 7/16-28UNEF-2(接続リング外径:約14.5mm)

    【特性インピーダンス】50Ω

    【使用周波数範囲】4GHz 以下

    【定格電圧】500V(実効値)以下

    Nコネクタ

    BNCコネクタのねじ嵌合タイプ。 容易に外れては困る用途(アンテナなど)に向く。

    【結合方式】ねじ 5/8-24NEF-2(接続リング外径:約20.5mm)

    【特性インピーダンス】50Ω、75Ω

    【使用周波数範囲】10GHz以下(50Ω)

    【定格電圧】500V(実効値)以下

    SMAコネクタ

    形状が小さく、ケーブルとの段差が少ないので広帯域まで対応する。 マイクロ波機器にも広く採用されている。

    【結合方式】ねじ 1/4-36UNS-2(接続リング外径:約8mm)

    【特性インピーダンス】50Ω

    【使用周波数範囲】12.4GHz以下

    【定格電圧】335~500V(実効値)以下

    SMBコネクタ

    SMAコネクタより小型。スナップロック式で脱着が容易。 ケーブルの軸回転が可能。

    【結合方式】スナップロック(接続リング外径:約 6mm)

    【特性インピーダンス】50Ω

    【使用周波数範囲】2GHz以下(JIS 500MHz以下)

    【定格電圧】500V(実効値)以下

    SMCコネクタ

    SMBコネクタのねじ嵌合タイプ。耐振動性や気密性に優れる。 締結後のケーブルの軸回転はできない。

    【結合方式】ねじ #10-32UNF-2(接続リング外径:約6mm)

    【特性インピーダンス】50Ω

    【使用周波数範囲】4GHz以下

    【定格電圧】500V(実効値)以下

    同軸コネクタ最適周波数

    同軸コネクタの最適周波数は、同軸コネクタの種類により異なります。 代表的な同軸コネクタの最適周波数は、次のとおりです。

    • 7/16 DINコネクタ:0~6GHz
    • BNCコネクタ:0~2GHz
    • H・BNCコネクタ:0~6GHz
    • MCXコネクタ:0~6GHz
    • Nコネクタ:0~18GHz
    • SMAコネクタ:0~18GHz
    • SMBコネクタ:0~4GHz
    • TNCコネクタ:0~4GHz

    同軸コネクタごとの最適周波数は製品や使用目的ごとに変わるため、ご紹介した数値は一般的な中央値であり目安です。実際には対応している周波数帯域よりも低い周波数で使用することがほとんどだと思われます。 しかし、同軸コネクタの種類により周波数帯域は制限を受けることから、使用する際の周波数帯を考慮し、最適周波数内に合致する同軸コネクタを使用することが基本です。代表的な同軸コネクタの最適周波数は、ご紹介したように種類により変わるので選定の際の目安となるでしょう。

    周波数、電力、対環境性 ~ 基本的な同軸コネクタの選択 ~

    —— ケーブルが決まれば、使用する同軸コネクタも決まりますか?

    同軸ケーブルと同軸コネクタは1対1に対応しているわけではありませんが、同軸コネクタは、使用するケーブルに合致したものを使うというのが前提ですから、基本的にはケーブルが決まれば、後は接続方法等で使用する同軸コネクタも決まることになります。では、使用する同軸ケーブルは何で決まるかというと、伝送する信号の周波数と電力(耐電圧)が第一の要素でしょう。これに伝送距離に伴う伝送損失や配線形態(フレシキブル or リジット)などを勘案してケーブルが決まり、使用できる同軸コネクタも絞り込まれます。仕様上の最高周波数は理想的な接続状態で使う場合の値ですので、実際の使用に当たっては十分な余裕を見込んでください。また一見同じ同軸コネクタに見えても、使用できる最高周波数が異なる製品もありますのでよく確認してください。

    反射に逆らわない接続 ~損失とインピーダンス整合 ~

    —— 同軸ケーブルには必ず同軸コネクタを使わないとダメですか?

    高周波信号の接続や伝送に同軸ケーブルを使うのは、送り側と受け側、それに伝送路のインピーダンスを整合させることで反射による伝送ロスを無くすことが主要な目的です。したがって、インピーダンス整合が保たれるのであれば、はんだ付けなどで同軸ケーブルを接続してもかまわないと考えることはできます。しかしながら、例えば二本の同軸の整合を保ちながらはんだ付けで接続するのは現実的には困難です。

    <図2>はインピーダンスの不整合によるVSWR(電圧定在波比)と不整合減衰量、つまり反射によって生じるロス(Return loss)の関係を示したグラフです。

    ◀図2

    ラフな接続ではVSWRが3を超えることも珍しくありませんが、VSWR=3の時の不整合減衰量は6dBで、送り出した電力の25%もがロスになることを示しています。これに対して同軸コネクタを使えばVSWRを1.2程度以下に抑えることができ、1%以下の損失で済みます。

    また、機器間をケーブルで接続する場合などには、取り付け易さと共に取り外し易すいことも必要です。同軸コネクタはインピーダンス整合が保たれるうえ脱着が容易ですから、いずれの要求も満たします。

    ラフな接続ではVSWRが3を超えることも珍しくありませんが、VSWR=3の時の不整合減衰量は6dBで、送り出した電力の25%もがロスになることを示しています。これに対して同軸コネクタを使えばVSWRを1.2程度以下に抑えることができ、1%以下の損失で済みます。

    また、機器間をケーブルで接続する場合などには、取り付け易さと共に取り外し易すいことも必要です。同軸コネクタはインピーダンス整合が保たれるうえ脱着が容易ですから、いずれの要求も満たします。

    50と75の不思議 ~ 構造とインピーダンス ~

    —— 同じコネクタで50Ωと75Ωがあるのは何故ですか?

    同軸円筒状をした構造体の特性インピーダンスは両導体の内外径比と両者間に介在する絶縁物質の誘電率で決まります。同軸コネクタは同軸ケーブルのインピーダンスに合致するように作られているので、同じ形状をしたコネクタでもインピーダンスが50Ωと75Ωのものとでは絶縁体の材料もしくは形状が違うはずです。

    ◀図3:75Ω(写真上)と50Ω(写真下)のBNC

    <図3>にBNCについて50Ω品と75Ω品比較を示しました。中心導体を囲む絶縁体の形状が異なっているのが分かります。BNCの場合、両者は機械的には相互接続できてしまうので、ウッカリして間違わないように注意してください。

    なお、N型にも50Ωのものと75Ωのものがありますが、両者は機械的にかみ合いません。

    謎の男女関係 ~ 間違いやすい呼称 “オス-メス” の表記 ~

    —— PとかJとか色々あってよく分かりません。

    同軸コネクタは凹と凸の中心導体をかみ合わせることで同軸構造を保ったまま確実な接続を実現しています。したがってコネクタが凹と凸のどちら側であるかを明示する必要があり、そのための表記としてPやJなどの記号が用いられます。

    呼び習わし方としてオスとメス、プラグとジャックなどがありますが、他のコネクタ類でも呼び方は同じですので統一して憶えておくと良いでしょう。<図4>に呼び方を整理しておきました。

    ◀図5:表記の例 

    <図5 A,B>はBNCのジャックとプラグを示しています。図からは分かりにくいのですが、Aが中心導体が尖ったプラグ(P,M,オス)で、Bは中心導体が凹状になったジャック(J,F,メス)です。一方、同図のCは同じBNCのメスですが、機器のパネル面などに取り付けるためのもので、この場合はレセプタクル(Receptacle 記号:R)と呼ばれます。同図はストレートタイプの前側ねじ止め式のレセプタクルですが、他にも取り付け面がフランジ(ねじ穴の空いた四角いツバ状)になったものやプリント基板に直付けするもの、直角方向に取り付けるものなど様々なタイプがあります。

    ちなみに、<図5>のDとEはBNCのT型分岐コネクタとNからBNCへの変換コネクタです。それぞれ各端子のオスとメスの関係を含めて示すと、図のT分岐はジャック-プラグ-ジャックになっているので[BNC J-P-J]、変換コネクタの方は Nのオス(Mail)とBNCのメス(Female)が付いているので[N-M BNC-F]ということになります。

    ◀図6:SMBの中心導体

    左の二つがプラグ(メスコンタクト)

    右の二つがジャック(オスコンタクト)

    オス-メスの関係で注意したいのは、SMBのコネクタです。SMBは<図6>に示したとおりプラグ(オス)の中心導体が凹状(メスコンタクト)となっていて他のコネクタとは逆だからです。

    ◀図7:SMAの中心導体

    左がプラグ(オスコンタクト)、右がジャック(メスコンタクト)

    <図7>にはSMAの場合を示しておきましたので較べてみてください。

    ——ケーブルとの接続は自分でやってもかまいませんか?

    仕組みの上から言うと同軸ケーブルとコネクタは直接的かつシンプルに接続されるようになっていますので、難しいものではありません。ただし、同軸線路としてインピーダンスを乱してはなりませんので、自分でアセンブリする場合は慎重な作業が求められます。

    <図8>は、BNCのプラグをアセンブリする際の手順例です。各部品をケーブルに通す順序を間違わないことはもちろん、ケーブルの外皮、編組、絶縁体、中心導体各部のカット寸法(剥きしろ)はメーカーの指示書に従って正確にカットし、編組は十分に“ほぐす”といったことも厳守してください。

    さらに、コネクタの中心導体をはんだ付けする際は“はんだ”の熱で絶縁体を変形させることの無いよう手早い作業を心がけてください。熱が逃げやすいように中心導体をメスのコネクタに差し込んで作業するのもひとつの方法です。

    同軸ケーブルの編組処理は意外とやっかいで、作業のバラツキがでやすい、数が多い場合は圧着タイプのコネクタを使用することも多くなっています。その場合は、指定した圧着器を使い、圧着強度の管理も忘れないようにしてください。また、アンテナ設備など屋外で使用することもあると思います。その場合、多くのコネクタは自身に防水機能は備えていませんので、接続後は自己融着テープを巻くなどのシール処理を施してください。

    不安定要素を取り払う ~ ケーブルアセンブリ ~

    ——加工に自信が持てません。

    ポータブル機器の内部や通信機のボード間接続などではSMKやMMCXといった極小のコネクタと極細のケーブルを組み合わせることも多くなってきました。また、通過する信号の周波数もGHz~数十GHzと高くなってきています。

    場合によってはリジット(Rigid:硬質)やセミリジットのケーブルも使われます。これらのケーブルアセンブリには精密さが要求されるほか専用の工具が必要だったりしますので、アセンブリ済みのケーブルを購入するかアセンブリ作業をコネクタメーカに委ねることで不安定要素を取り払うのが妥当です。

    ◀図9:ケーブルアセンブリの製品例

    さらに、コネクタの中心導体をはんだ付けする際は“はんだ”の熱で絶縁体を変形させることの無いよう手早い作業を心がけてください。熱が逃げやすいように中心導体をメスのコネクタに差し込んで作業するのもひとつの方法です。

    同軸ケーブルの編組処理は意外とやっかいで、作業のバラツキがでやすい、数が多い場合は圧着タイプのコネクタを使用することも多くなっています。その場合は、指定した圧着器を使い、圧着強度の管理も忘れないようにしてください。また、アンテナ設備など屋外で使用することもあると思います。その場合、多くのコネクタは自身に防水機能は備えていませんので、接続後は自己融着テープを巻くなどのシール処理を施してください。

    過信は禁物 ~ 応用製品の注意事項 ~

    ——コネクタに終端抵抗が付いているのとかもありますね。

    同軸コネクタの応用製品として整合された抵抗器を取り付けた無反射終端器(Termination)や減衰量が定められた固定減衰器(Attenuator)、さらに分配器や合成器、サージプロテクタなどがあります。これらのうち無反射終端器と固定減衰器は内部に抵抗器が入っているため、それぞれについて使用できる最大電力が規定されています。最大電力を超えて使用すると内部の抵抗が焼損しますので注意してください。

    なお、電子計測などでは先に<図5のD>で示したようなT型の分岐コネクタを使うことがよくあります。その場合、同軸線路としての形状から外れることになるので、インピーダンス等は保証されないことも頭に入れておくとよいでしょう。

    ◀図10:無反射終端器の製品例

    同軸コネクタ Q&A

    Q. 同軸コネクタのMMCXとMCXのインピーダンスは何Ωですか?

    A. MMCX:50Ω MCX:50、75Ωの両方があります。

    Q. PALコネクタ(PALシステム)とは?

    A.カラーテレビの放送方式で使用するコネクタ(システム)です。 PAL:イギリス・イタリアなどヨーロッパやアジア、アフリカで主流 NTSC:日本・韓国・台湾、アメリカ大陸で主流 SECAM:フランスなどヨーロッパ一部、アフリカで主流

    Q. SMAコネクタを選ぶ際、RG402とRG405とありますが何か違うのでしょうか?

    A. RG402は、外径φ3.58mmのケーブルに、RG405は、外径φ2.19mmのケーブルに使用します。

    Q. BNC基板実装レセプタクルにある、“ロープロファイル”とは何ですか?

    A. 通常タイプよりも高さが低いという意味です。

    Q. コネクタとケーブルの組立ては対応していますか?

    A. 対応しておりません。組立て品は、“ケーブルアセンブリ”として各種取り揃えています。

    Q. BNCとSMAなどの変換プラグの取扱いはありますか?

    A. 各種変換アダプタを取り揃えています。検索画面にて、コネクタ規格を入力し、検索して下さい。

    Q. SMCコネクタのL型のフタの取り付け方法を教えてください。

    A. 通常、圧入します。

    Q. SMAとSMBのプラグとジャックとは何ですか?

    A. SMA、SMBなどはコネクタ形状が特殊な為、基本的には、プラグとジャックという概念はありませんが、中心コンタクトが出っ張っているほうがオス/プラグ、穴が開いているほうがメス/ジャックという解釈をする場合もあります。

    Q. SMAコネクタの拘束、非拘束とは何ですか?

    A. コネクタを回すとケーブルも一緒に回るタイプが拘束で、ケーブルが回らないタイプが非拘束です。

    Q. 高周波同軸を探しています。片側がSMBのLプラグ、もう片側はSMAストレートプラグ、5mを探しています。変換アダプタがよいのか、それとも作成した方がよいですか?

    A. この場合、変換アダプタ等で中継するより、SMAプラグとSMBのLプラグでケーブルを作成したほうが、伝達ロスが少なくなります。

    Q. 一般的にジャックと呼ばれるコネクタはレセプタクル、いわゆるメス側と考えていいでしょうか?

    A. ジャック、レセプタクルはメス側として一般的に呼ばれている名称です。メーカーによって異なる場合もあります。

    Q. プラグとソケットについて、オスはどちらでしょうか?

    A.プラグがオス、ソケットがメスになります。ピンが出ているのが、プラグ。受ける方(穴開き)がソケットです。

    関連ガイド