• 発行日 2023年2月20日
    • 最終変更日 2026年8月4日
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ロックナットとは?仕組みや種類、使い方と選び方を解説

本記事は、ロックナットの仕組みや種類、使用方法、用途に合った選び方、よくある質問をRSコンポーネンツが整理して解説します。

ロックナットとは、振動やトルクなどによる緩みを防ぐために使われるナットです。

この記事では、ロックナットの仕組みや種類、基本的な使い方、用途に合った選び方、代表的なタイプについて解説します。また、ロックナットに関するよくある質問にもお答えします。

ロックナットとは?

ロックナットとは、締結部の緩みを抑え、固定状態を保つために使われる締結部品です。セルフロックナット、スティフナットと呼ばれることもあります。標準的なナットと同じように、ボルトやねじ棒に取り付けて使用します。ただし、ロックナットは、トルクや振動などの力がかかっても緩みにくい構造になっています。

ロックナットやスティフナットは、1930年代に各種機械の組み立てで使用するナットやワッシャのコストを削減するために発明されました。それ以前は、振動によるナットの緩みを防ぐには、1本のボルトに2個の標準ナットを使用するのが一般的でした。しかし、この方法では、組み立てに使うボルト1本あたりのナットとワッシャのコストが2倍になります。

ナットは1個あたりの製造コストや購入コストが低いため、少量生産であれば、2個使いする方法も比較的低コストな対策です。しかし、生産規模が大きくなるほどコスト負担も大きくなるため、意図しない緩みをより経済的に防ぐ方法として、セルフロックナットが考案されました。

ロックナット自体は、ロック機構のないナットよりも1個あたりの価格は高いものの、標準ナットを2個使用する場合に比べると低コストです。現在では、さまざまな業界や用途で、ねじ棒やスタッドボルトを使った組立部品にロックナットが使われています。

2個のロックナットを並べた製品写真(1個は平置き、1個は側面向き)

ロックナットの仕組み

ロックナットは、ボルトやねじ棒の軸に取り付けたとき、他のねじ式ナットと同じように機能します。しかし、ロックナットは、一度ねじ込むと簡単に外れないように加工されています。

そのため、ボルトやナットの取り付け時に振動やトルクが加わるような用途では、ロックナットが特に有効です。例えば、エンジンなどの自動車部品がその例です。また、他の様々な機械的および工業的な用途で広く使用されています。

ほとんどのロックナットは、以下の方法を採用しています。多くの場合、穴あきまたはフランジ溝を含むねじ切り設計を介して、貼り付け後に増加した摩擦を提供します。例えば、金属製ロックナットは、一度インストールされると内側に圧着することができる小さな金属リップまたは王冠を備えています。これにより、ナットがボルト軸に物理的に密着し、振動で緩むのを防ぐことができます。

ロックナットには、それぞれ様々なサブタイプがあります。その中でも人気の高いモデルについて、以下に詳しく説明します。

ロックナットの種類

ロックナットは、大別すると、プリベリングトルク形ナットと、座面でロックするタイプのロックナットの2系統に分けられます。代表的なロックナットには、以下のようなものがあります。

  • ナイロンインサートロックナット ねじ山の形状に沿って変形するインナースリーブを備えたタイプです。
  • 六角ジャムナット 2つのナットを互いに締め合わせて固定する、ダブルナット方式に近いタイプです。
  • ストーバーロックナット プリベリングトルク形ロックナットの代表例です。
  • センターロックナット(別名:ツーウェイロックナット) 変形ねじ式ナットの一種で、ナットのねじ山がボルトのねじ山に干渉し、締め付けるにつれてかみ合うように設計されています。
  • セレーション付きフランジロックナット フランジ座面のセレーションによって緩みを抑えるタイプです。
  • トップロックナット プリベリングトルク形ロックナットの一種です。
  • ジェットナット/Kロックナット 航空機や高振動環境などで使われることがあるロックナットです。
  • キャッスルナット(溝付きナット) 割ピンなどと組み合わせて回り止めを行い、緩みを防ぐタイプです。

以下では、ロックナットの主な2つの系統である「プリベリングトルク形ナット」と「座面でロックするタイプのロックナット」について説明します。

プリベリングトルク形ナット

プリベリングトルク形ロックナットは、プリベリングトルクの原理を利用して、振動による緩みを抑えます。ここでいうプリベリングトルクとは、ボルトやねじ棒のねじ部にナットをねじ込む際に、ナットを保持し、簡単に緩まないようにするために必要なトルクのことです。

プリベリングトルク形ロックナットの具体例としては、コニカルロックナット、トライロックナット、トップロックナット、ストーバーロックナット、グリプタイトナットなどがあります。多くは全金属製のロックナットで、取り付け後にボルト軸を囲むようにかしめるためのリップやクラウンを備えています。このかしめ加工によって、強い振動が加わる場合でもロックナットを所定の位置に保持するのに十分なプリベリングトルクが生じます。

ただし、すべてのプリベリングトルク形ナットや全金属製ナットに、かしめられる部分があるわけではありません。例えば、コニカルフランジロックナットのように、別の機構によってプリベリングトルクを発生させるものもあります。このようなナットの多くは、取り付け時も取り外し時も、レンチで回す必要があります。

座面でロックするタイプのロックナット

座面でロックするタイプのロックナットは、通常の状態では自由に回転しますが、座面に締め付けることでロック機構が働き、所定の位置に保持されます。プリベリングトルク形ナットがねじ部の摩擦や変形によって緩みを抑えるのに対し、このタイプは座面に締め付けられてからロック効果を発揮します。

そのため、座面に達するまでは比較的スムーズにねじ込むことができ、座面に締め付けられた段階で緩み止めとして機能します。ねじ込み時から抵抗が生じるプリベリングトルク形ナットとは、ロック効果が働くタイミングが異なります。

ロックナットには複数の種類があり、特定用途向けのモデルもあります。以下では、代表的なタイプについて説明します。

2個のエアロタイトナットのクローズアップ写真

エアロタイトナット

エアロタイトナットは、ステンレス製の全金属製スティフナットを指すブランド名で、ベントビームナットと呼ばれることもあります。セルフロック機構を内蔵しているため、繰り返し使用できます。追加部品を必要とせず、完全に締め付けられているかどうかにかかわらず、所定の位置に保持される構造です。

Knurled Nut

ローレットナット

ローレットナットは、外周にローレット加工を施し、指でつかみやすくしたナットです。サムナットやインサートナットと同様に、手で締めたり緩めたりできるタイプのナットです。つまり、レンチで締めるタイプではなく、手で操作するタイプのナットです。ただし、ドライバーで回せるように溝が設けられたタイプもあります。

主に手で締め付けることを目的としているため、ねじ棒やボルトに対して非常に強く締め付ける必要がある用途では、あまり選ばれません。ロックナットを定期的に取り外して交換する必要がある場合や、締め付けすぎによるねじ山の損傷を避けたい場合に便利です。

ウェッジロックナットのクローズアップ写真

ウェッジロックナット

ウェッジロックナットは、ナット本体とウェッジロックワッシャを組み合わせたロックナットです。ウェッジロックワッシャには、ボルトのねじピッチよりも大きな傾斜を持つカムが設けられています。組み立て済みの状態で供給されることが多く、1つの締結部品として扱えます。ボルト接合部で繰り返し使用でき、大きな荷重や振動を伴う過酷な用途にも適しています。

ナイロンインサートロックナットのクローズアップ写真

ナイロンインサートロックナット

ナイロンインサートロックナットは、比較的安価で、幅広い使用環境で扱いやすいため、広く使用されているロックナットです。ナイロン樹脂製のインナースリーブを備えており、スリーブがボルトのねじ山に沿って変形することで、ねじ山を締め付ける摩擦抵抗を生じさせます。

ナイロンインサートロックナットは、取り付け時にスリーブが変形するため、他のタイプに比べて繰り返し使用しにくい場合があります。一方で、木材やプラスチックなどの柔らかい素材をしっかり接合しやすく、締め付けすぎによって素材の表面を傷つけるリスクも抑えられます。振動による緩みにも強く、家電製品や自動車修理などの用途でよく使用されます。

ナイロンインサートロックナットのスリーブの色は、通常、黒、グレー、白ですが、その他にもさまざまな色のプラスチック製インナースリーブがあります。ナット本体の材質には、一般的にステンレス鋼、亜鉛めっき鋼、真鍮などが使われます。

ロックナットの選び方

用途に適したロックナットは、作業内容や使用条件によって異なります。選定時に考慮すべき主なポイントは、以下のとおりです。

  • ねじの向き 時計回りに締める右ねじタイプか、反時計回りに締める左ねじタイプかを確認します。
  • 必要なロックナットのサイズ メートルねじ規格とインチねじ規格のどちらに対応するかを把握しておきます。
  • 使用する組立部品と使用環境 使用する組立部品の種類や、ロックナットがさらされる環境を考慮して選定します。
  • 補助部品の有無 選択したナットを正しく機能させるために、ワッシャなどの補助部品が必要か確認します。
  • ロックナットの材質 使用環境や求められる強度に適した材質を選びます。

ロックナットの使い方

ボルトにロックナットを取り付ける方法は、使用するロックナットの種類によって少し異なります。ただし、多くの場合、最初のねじ込みと手締めは、標準的な六角ナットと同じように行います。その後、必要な締め付け力やロック効果が得られるまで、スパナなどの工具を使ってロックナットをさらに締め付けます。

摩擦やプリベリングトルクによってロックするタイプの中には、決まった向きで取り付けた場合にのみ正しく機能するものがあります。そのため、ロックナットの形状を見れば、どちら側を先に取り付けるべきか判断しやすい場合があります。ただし、使用するロックナットが時計回りに締める右ねじタイプなのか、反時計回りに締める左ねじタイプなのかを確認する必要があります。

設計やメーカーによっては、十分なロック効果を得るために、ロックナット本体とあわせてロックワッシャを使用する場合があります。

よくあるご質問

ロックナットのねじサイズとは?

一般的なロックナットのねじサイズには、M3、M4、M5、M6、M8、M10、M12、M16、M20などがあります。これらのサイズは、一般的な家庭用途の多くに対応します。また、M25〜M50、M60、さらにはM85までの大型サイズのロックナットも、オンラインで取り扱われています。

標準的なロックナットの幅は?

10mmのロックナットは、多くの作業や用途で一般的に使われる幅ですが、利用できる幅は10mmだけではありません。ロックナットの幅は通常mm単位で表され、標準的なサイズには5.5mm、6mm、7mm、8mm、11mm、12mm、13mmなどがあります。

ロックナットは何でできているのか?

高荷重用途や産業用途では、ステンレス鋼、軟鋼、亜鉛めっき鋼、真鍮などを使用した全金属製のロックナットが好まれます。一方で、大きなトルクを受けない用途では、ナイロンを一部に使用したロックナットや、全プラスチック製のロックナットもよく使われます。

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