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    シャント抵抗器についてのガイド
     
      • 発行日 2023年2月17日
      • 最終変更日 2023年11月7日
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    シャント抵抗器についてのガイド

    シャント抵抗器の仕組みや、電気回路における役割について紹介します。

    シャント抵抗器とは

    シャントとは、電流に低抵抗の経路を生成する電気デバイスです。これにより、回路内の別の場所に電流を流すことができます。シャントは、電流計シャントや電流シャント抵抗器と呼ばれることもあります。

    シャント抵抗器は、大電流を低抵抗で測定するためによく使われます。シャントとは、直訳すると、ある力を一定の経路に沿って「迂回させる」、「追従させる」という意味です。

    電流の測定が必要なケースは数多くあります。一般的な用途としては、過電流保護、4-20mAシステム、バッテリー充電、Hブリッジモーター制御などがあります。電圧レベルを測定してオームの法則を適用することで、電流値をアンペアで求めることができます。そのためには、電流計と並列に抵抗器を配置する必要があります。その結果、電流が分流され、電流値の測定が可能となります。

    回路内の電気シャント

    回路を流れる電流を測定するにはさまざまな方法があります。しかし、最も一般的な方法は、精密な抵抗器にかかる電圧を測定し、オームの法則に基づいて間接的に値を求めることです。測定される電圧降下は、回路を流れる電流に直接比例します。この電圧降下を正確に特定することで、流れる電流の大きさを測定することができます。

    回路内のシャントの位置には細心の注意を払う必要があります。回路と測定器のグランドが共通の場合、シャントをできるだけグランドの近くに配置するのが一般的です。そうすることにより、故障や測定誤差の原因となり得るコモンモード電圧から電流計を保護することができます。シャントをグランドから分離するか、非接地の端子の内側に保護のための分圧器を組み込むことが必要になることもあります。

    シャントを構成する各要素については、以下の図を参照してください。

    シャントの構成

    シャントの役割

    電気シャントは、低抵抗の経路を作ることで、電流が回路内の設定されたポイントを通過したり、迂回したりするためのデバイスです。一部の測定器には精密な電流シャントが内蔵されており、直流電流や電力を測定することができます。また、直流電流の値を測定する電気シャントもあります。

    オームの法則の公式は以下のようになります。

    V = I × R

    この式は、抵抗R(オーム)にかかる電圧V(ボルト)は、抵抗とその抵抗を流れる電流I(アンペア)の結果として発生することを示しています。例えば、抵抗値が0.002オーム、電流値が30アンペアの電流シャントの場合、0.002 × 30 = 0.06ボルト、つまり60 mV(ミリボルト)が発生することになります。

    測定用に用意された回路内に電流シャントを組み込むことで、シャント間の電圧降下を評価することができます。電流シャントの抵抗値を評価することで、オームの法則の計算に従って電流測定を行うことができます。オームの法則は、電流シャント抵抗の校正にも使用されます。

    シャント抵抗の一般的な用途は以下の通りです。

    • バッテリーに流れる電流の測定と発電量のモニタリング
    • 信号が回路素子に到達する前に高周波ノイズをリダイレクトする(キャパシターを備えたシャントが必要)
    • バッテリーとインバータ間に負極導線を備えた直流回路筐体に配置
    • バッテリー充電器や電源ユニットなどの制御機器の過負荷保護

    次の表に挙げるようなタイプのシャントがよく使用されます。

    シャントの役割

    DCパネル電流計用シャント

    DCパネル電流計用のシャントは、この種の機器の中でも非常に多く使用されています。電流計だけでは測定できない大きな電流値を正確に測定することができます。これは、少量の電流を電流計に流して測定するという方法です。

    その際、回路の動作に影響を与えずに電圧降下を測定できる抵抗値を設定する必要があります。電流の大きさは、シャントにかかる電圧に直接比例するため、正しい電流値を特定することができます。

    シャントの仕組み

    シャント抵抗器と標準抵抗器の技術的な制約は異なります。シャント抵抗器は、オームの法則に従う最小の抵抗値を基準とすることで、高い精度を実現しています。このような高精度を実現するためには、ケルビン接続を推奨します。この接続により、配線の抵抗や感度などの問題を回避することができます。

    シャント抵抗器の値には、可逆的および不可逆的なさまざまな要因が影響しています。シャントにかかる機械的、電気的、熱的な負荷は、長期的な安定性や不可逆的な抵抗の変化に影響を与えます。TCR(抵抗温度係数)は、周囲の温度変化によって抵抗器が冷却または加熱されることで生じる抵抗値の変化を表し、単位はppm/°Cを用います。抵抗器の自己発熱によって損失する電力レベルは、PCR(定格電力係数)で表され、単位はppm/Wを用います。

    電気シャントは、接続されているモーターの回転速度を制限する負荷による過電流からスピードコントローラーを保護するためによく使用されます。シャントをセンスラインから切り離すことで、コントローラーは速度を上げることが可能になります。その場合、センスラインは、グランドに接続する必要があります。電圧降下がなくなるため、スピードコントローラーは可能な限りの電力を供給します。しかし、コントローラーのトランジスターへの過負荷は危険なことです。

    また、高精度の電流シャントは、機器のベンチテストにも使われることがあります。このタイプの電流シャントは、回路を流れる電流レベルを評価するために、電圧計と組み合わせて使用されます。高感度の電圧計を使用することで、十分な安全性を確保したうえで、標準的なマルチメーターでは実現できないような大電流の測定が可能になります。

    シャントの配線方法

    まず、メーカーの指示に従ってください。電流計とシャントに同じmVレベルの測定能力があることを確認する必要があります。次に、バッテリーと電気回路をつなぐ負極の配線にシャントを取り付けます。これは、バッテリーから回路やヒューズボックスまでの負極のリード線をたどることで確認できます。

    オルタネーターから供給され、接続された機器で消費される電流を測定したい場合は、オルタネーターの整流された負極側に、対応するバッテリーとシャントに接続する必要があります。シャントの反対側には、適切な太さのケーブルを接続し、バッテリーの負極端子に接続します。

    シャントは、ケーブルをショートさせる危険性のない場所に取り付ける必要があります。負極側のケーブルは、取り付け時の作業性を考慮して、カットする場合があります。また、電流計をパネルに取り付けるために、適切な穴を開ける必要もあります。メーターをしっかりと固定するためには、穴はちょうどよい大きさに開けます。直流電流や直流電圧に対するリード線の接続では、正極と負極の端子に間違いなく取り付けられなければなりません。また、メーターが正しく設定されていることも確認してください。(電流はAC、DC、Ωなどで測定されます)。

    配線作業は、シャントが負荷と直列になっていることを確認する基本的なチェックから始めます。また、適切なバッテリーパックを配線し、それがシャントの正しい側に接続されていることを確認します。そして、配線はシャントから負荷へと接続します。電流計とグランドの間には何も接続しないでください。ただし、電流計はシャントと並列に配線し、シャントは負荷と直列に配線します。

    電流または電圧の測定は、回路に電源を投入した状態で行います。そして、メーターの値を読み取ります。ただし、抵抗値を測定する場合は、電源を入れてはいけません。

    ローサイド検出とハイサイド検出

    シャント抵抗器にはシャント抵抗の配置位置の違いにより「ローサイド検出」と「ハイサイド検出」の2種類があります。それぞれの特徴について見ていきましょう。

    ①ローサイド検出

    ローサイド検出とは、シャント抵抗の配置位置がグラウンド側となるタイプです。シングルエンドのように使い方が簡易なことや、コモンモード電圧がないことから高電圧の取り扱い、サージやスパークの可能性が高い場合によく用いられることが特徴です。 しかし、地面に接する負荷は検出できないため使用シーンを考えて選ぶようにしましょう。ローサイド検出タイプはグラウンドに近いことからメリットもありますが、地面に接する検出には使えないというデメリットもあるシャンと抵抗器です。

    ②ハイサイド検出

    ハイサイド検出とは、シャント抵抗の配置が電源側となるタイプです。ローサイド検出と違い地面に接する負荷も検出でき、回路と接続しやすく、コモンモード電圧が高いという特徴を持ちますが、コストがかかることがデメリットとなります。 しかし、コモンモード電圧が加わることで差動電圧の検出が可能となるため、一般的にローサイド検出のほうが用いられやすい傾向があります。

    シャントを使った電流の計算方法

    すでに述べたように、シャントの抵抗値は発生した電圧降下の値を、流れた電流値で割ることで算出できます。シャントは回路に流れる電流が許容内であるかどうかを確認するために使用されます。そのためには、計算機、およびシャント抵抗にかかる電流と電圧の値が必要になります。

    電流の値は以下のように計算します。

    ステップ1:オームの法則を書き出す

    まず、 V = I × Rというオームの法則を書きます。 V はシャント抵抗に生じる電圧降下、 I は流れる電流、 R はシャント抵抗を表しています。

    ステップ2:電圧と電流を代入する

    電圧(V)と電流(I)の値を入れて計算します。例えば、シャントにかかる電圧が10であれば、流れる電流は1アンペアとなり、式は10 = 100 × Rとなります。

    ステップ3:オームの法則の計算を行う

    オームの法則の式の積を100で割り、 R の値を算出します。この例での R の値は、シャント抵抗器の値に対応する0.1オームになります。

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