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      • 発行日 2023年8月28日
      • 最終変更日 2023年11月9日
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    変圧器とは?構造や種類、使われている場所などを解説

    変圧器とは、私たちが電力を使ううえで欠かせない装置です。この記事では、変圧器の構造や種類、使われている場所などについて詳しく解説します。

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    変圧器とは?

    変圧器とは、その名の通り電圧を所定の負荷に変える装置です。

    発電された電気は、電線を通して利用者に届けられます。

    しかし、発電所で作られた電気は非常に高い電圧であるため、そのままでは使えません。

    一般家庭では100V、大規模商業施設や工場などでは6,600V以上のように、各施設で対応できる電圧に変換して、安全に電気を使用できるようにする必要があります。

    それが変圧器を使う理由です。以下で詳しく解説していきます。

    変圧器を使う理由

    発電所で発電された電気は、送電線や変電所、配電線、引き込み線などを通じて施設や家庭、工場に送電します。

    電気を送る送電線には、抵抗があります。電気は抵抗を受けると一部が熱となって失われ、送電損失が生じます。さらに、電流が多いほど送電損失が大きくなるのです。

    一方、電流を少なくして高圧送電をすれば、電力消費は少なくなります。このように、同じ電力の電圧と電流が反比例する原理を活用するために変圧器が用いられます。

    変圧器は高圧送電の電圧を下げ、それぞれの場所で最適に利用できるように調整する役割を担っているのです。そのおかげで、高圧送電された電気でも、施設や家庭、工場で使用可能になります。

    なお、変圧器は電圧の高さによって、以下の3種類に分類されます。

    • 超高圧変圧器:11万V以上
    • 特高変圧器:2万V~11万V
    • 高圧変圧器:6,600V~2万V

    日常的に変圧器が使用される場面は?

    先ほど解説したように変圧器は、発電所から送られてくる電気を適切な電圧に変換することを目的に使われています。

    しかし、私たちの身の回りにも変圧器が使用されています。たとえば、家庭でDIYする際を考えてみてください。

    庭などで電動工具を使う場合、家の中から長い延長コードを使うと定格電圧よりも下がってしまいます。そうなるとパワーが足りなくなるおそれもあるでしょう。そこで、昇圧できる変圧器を使うと下がった電圧を普段使用している100Vに戻せます。

    ほかにも、電気溶接機などは少しでも電圧が下がると十分に機能を発揮しません。このような目的を果たすために変圧器を使うことが一般的です。

    海外での使用

    海外に行った際にも、変圧器を使うことがあります。これは国ごとに定格電圧が異なるため、海外旅行時に日本の電化製品を持っていく場合に取り入れます。

    もし、変圧器を使用せずにそのまま使おうとすると動作しない・故障の原因となってしまうでしょう。このようなトラブルを予防するために、変圧器を電源と電化製品の間に挟むことで電圧を調整します。

    トランスと変圧器に違いはある?

    変圧器をトランスと呼ぶこともありますが、同じものを指しています。英語の「transformer(変化させる人・モノ)」を略して、トランスと呼ばれています。

    また、変圧器以外にも、電流を変化させる「変流器」というものもあり、トランスと呼ぶ場合には、変圧器や変流器を含めた「変成器」を意味することが一般的です。

    トランスは、降圧する変圧器をダウントランス、逆の目的のものをアップトランスのように機能ごとの装置を呼称する際に使われています。

    変圧器の構造

    変圧器の構造

    変圧器の構造はとてもシンプルです。鉄心と呼ばれる「コア」に1次コイルと2次コイルを巻き付けています。コアとコイルの位置関係によって「内鉄形」と「外鉄形」に分けられ、以下のような違いがあります。

    • 内鉄形:高電圧・大容量に適している
    • 外鉄形:低電圧:大電流に適している

    しかし、最近では技術が発展しており、この区分は薄れつつあるようです。また、変圧器にはコアとコイル以外にも、絶縁(電流が流れない物質)が使用されています。

    変圧器の種類には、以下の2つが挙げられます。

    1. 油入式
    2. 乾式

    変圧器には、発生する熱を冷やす冷却装置が備えられており、取り入れられている冷媒ごとに分類されています。ここではそれぞれの種類の違いや特徴について解説しますので、詳しく見ていきましょう。

    1.油入式

    油入式の変圧器は、油に浸して熱を冷却する仕組みです。主に以下の3種類があります。

    • 自冷式:油の対流を利用して放熱する
    • 風冷式:外部ファンを使い強制冷却する
    • 水冷式:油中に冷却水を循環させて冷やす

    油入式の変圧器のメリットとデメリットは、以下の通りです。

    【メリット】

    • 価格が安い
    • 設置条件が柔軟
    • 耐負荷性能が高い

    【デメリット】

    • 火災に注意が必要
    • 重量がある
    • 絶縁油のメンテナンスが必須

    2.乾式

    乾式の変圧器は、油を使用せずに熱を冷却する仕組みです。同じように以下の3種類に分けられます。

    • 自冷式:空気の対流を利用して放熱する
    • 風冷式:外部ファンで強制冷却
    • 水冷式:冷却水を循環させて冷やす

    乾式の変圧器のメリットとデメリットは、以下の通りです。

    【メリット】

    • 安全性が高い
    • コンパクトサイズ
    • 湿気やホコリに強い

    【デメリット】

    • 価格が高い
    • 感電や過負荷に弱い
    • 駆動音が大きい

    また、これらの冷媒に使われるものの種類以外にも、以下のような構造ごとに変圧器は分類されています。

    • タップ切換方式:負荷時タップ切換・無電圧タップ切換
    • 油劣化防止方式:油中水分吸着材内蔵・材無圧密封式・窒素封入

    変圧器の原理

    変圧器の基本的な仕組みとしては、入力側(1次コイル)に交流電圧が流れると、出力側(2次コイル)に電圧が発生します。

    それぞれのコイルの「巻数」ごとに「電圧」を自由に変える仕組みです。これは、ファラデーの法則で説明することができます。巻数と電圧は「V1/V2=N1/N2」の公式で表されています。

    変圧される流れは、以下の通りです。

    1. 1次コイルに電圧を加えると、交流電流が流れる
    2. 鉄心の中に磁束が発生し、2次コイルに交わる(このことを「鎖交」と言います。)
    3. コイルにはファラデーの法則が働き、電圧が発生する
    4. 2次コイルへ電圧が誘導されて、もう一度、交流電流に変換されて出力される

    この原理によって変圧器で電圧が調整され、各電気の使用場所に適切な電圧で電気が供給されるのです。

    具体例

    1次コイル→巻き数:1,000 電圧:1,000V

    2次コイル→巻き数:100

    発生する電圧→100V

    変圧器はどこで使われている?

    変圧器はどこで使われている?

    変圧器は、電力を使う場所で欠かせないものであるため、電気機器の中でもごく一般的なものとして扱われています。送配電用の変圧器は、以下のような場所に設置されています。

    • 発電所
    • 変電所
    • ビル
    • 工場
    • キュービクル(適切な電圧に変換する設備)
    • 柱上変圧器

    また、特殊な例を挙げると産業用変圧器や高電圧試験用の変圧器、船舶用変圧器などもあります。さらに、家庭では先ほど解説したように、昇圧・降圧することを目的とした変圧器が日常的に使われています。

    まとめ

    変圧器に関することを解説しました。

    変圧器は発電所で作られた電気を施設や家庭ごとに適した電圧に変換するための装置や機器です。基本的に発電所で作られた電気はロスを減らすため、非常に高圧・低電流で電線を使って送電されています。

    その電気をそれぞれの施設・家庭が個別に最適化して利用するために、変圧器が取り入れられているのです。ほかにも、変圧器の種類や原理についても解説しましたので、この記事を参考にして理解を深めてみてはいかがでしょうか。

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