図2及び同図に示した式は、二つの入力端子のインピーダンス条件が等しければ、コモンモードノイズはノーマルモードに変換されないことを意味していました。この条件を満たすのが差動(デファレンシャル)入力です。差動アンプの二つの入力は極性が異なるだけで他の条件は同じです。したがって差動性を満足している限り差動回路はコモンモードノイズの影響を受けません。なお、図2の式は入力インピーダンスが大きいほどコモンモードの影響が少ないことも示しています。つまり、入力インピーダンスが高い差動回路ほどコモンモードノイズの影響を受けにくいと言えます。なお、差動性を活かすためには信号源側もバランス(平衡)している必要があります。
図2の式ではR2とR4がゼロの場合にもVinがゼロになります。これは、システム上の全ての接地(グラウンド)が完全であればコモンモードノイズは発生しないことを意味します。ですが、現実にその様な状態を作り出すことは不可能です。
反対にノイズ源と信号入力のグラウンドを切り離してしまうことでコモンモードノイズから逃れるのが絶縁(アイソレーション)のアイデアです。絶縁はデジタル回路から発生するコモンモードを避ける場合などに使われます。絶縁はトランスを使うことで実現できますが、直流が通らず広帯域化するのも難しい欠点があります。そうした場合は、信号を光に変換して絶縁するオプトアイソレータやフォトカップラなどが使われるほか、測定システムなどではアイソレーションアンプが用いられます。