** —— 実際にはんだごてを使ってみると、先輩がやるのとは仕上がりがずいぶん違います。**
実験や試作をしたり、自動機では実装できない部品を取り付けたりする際にははんだごてを使うマニュアルはんだ付け、いわゆる「手はんだ」をします。手はんだはエレクトロニクスの基本技ですから、エンジニアであれば必ずマスターしておかなければなりません。
はんだ付け上達のポイントは、ずばり「温度」です。具体的には、はんだの融点、はんだ付け部、こて先の三つの温度関係を知ることです。
まずは、はんだ自身の融点。よく知られているように従来から電気回路に用いられてきたはんだは、錫63%-鉛(Pb)37から成る「共晶はんだ」と呼ばれるもので、その融点は「183℃」です。
いっぽう、最近の鉛フリーのはんだは217℃(Sn-Ag-Cu系)、200℃(Sn-Zu系)、227℃(Sn-Cu系)など共晶はんだより20~30℃も融点が高くなっています。マニュアルはんだ付けでは、はんだの融点の他に「はんだ付けする部分の温度」とはんだごての「こて先温度」との関係を把握しましょう。
はんだは融点に達すれば溶け始めますが、はんだ付けに際しては、融点よりも40℃~60℃高い状態が 「はんだ付け部分の最適温度」になります。これより低くても高くても上手くありません。当然ながら、こて先の温度は最適温度よりもさらに高くなります。