同軸ケーブルコネクタ・同軸コネクタ

同軸ケーブルコネクタとは？

同軸ケーブルコネクタは、同軸ケーブル同士やケーブルと機器の間を接続するための専用コネクタです。信号の損失や外部ノイズを最小限に抑える設計がなされており、通信、放送、測定器、セキュリティ機器など幅広い分野で使用されています。高周波信号に対応する特性から、日本国内では5G、IoT、再生可能エネルギー設備でも注目されています。

同軸ケーブルコネクタの仕組み

同軸ケーブルは、中心導体、絶縁体、外部導体（シールド）、外被の4層構造になっており、外部からの電磁波の影響を受けにくく、高周波信号の伝送に適しています。同軸ケーブルコネクタは、これらの層構造を崩さずに正確に嵌合し、電気的・機械的な接続を実現します。

コネクタ内部には中心コンタクトと外部コンタクトがあり、それぞれ同軸ケーブルの中心導体とシールド導体と接続されます。この設計によって、信号とグラウンドが正確に接続され、インピーダンス整合を維持しながら信号の反射や減衰を抑えることができます。特にSMAコネクタやN型コネクタなどの高周波対応タイプでは、50Ωや75Ωなどの規格インピーダンスを厳密に守ることが重要です。

同軸ケーブルコネクタの主な機能は、安定した高周波信号の伝送と、確実な接続維持です。屋外環境や移動体通信機器など、接続部に機械的ストレスがかかる状況でも接触不良が起こらないよう、ラッチ機構やねじ固定式の構造が採用されることが多くあります。

同軸ケーブル延長コネクタは、既存のケーブル長が不足する場合に活躍します。延長コネクタによって、2本の同軸ケーブルを簡単に接続・延長でき、信号の伝送品質を維持しつつ柔軟なシステム設計が可能になります。

BNCコネクタとの違い

BNCコネクタは、同軸ケーブルコネクタの一種で、特に映像信号や測定器で広く利用されています。バヨネット方式のロック機構により、工具を使わずに素早く着脱できるのが特徴です。50Ωまたは75Ωのインピーダンス仕様があり、用途に応じて選定されます。

一方、同軸ケーブルコネクタ全体にはBNC以外にも多くの形式があり、用途・周波数帯・耐環境性能に応じて適切な種類を選ぶ必要があります。たとえば、SMAコネクタは高周波対応、F型コネクタは家庭用テレビアンテナ、N型コネクタは屋外用無線装置に適しています。BNCは使いやすさで優れていますが、周波数性能や耐候性では他の形式に軍配が上がる場合もあります。

同軸ケーブルコネクタの種類

同軸ケーブルコネクタには、形状や接続方式、周波数特性によって多くの種類があります。以下に代表的な種類を紹介します。

BNCコネクタ：バヨネット方式のロックで、迅速な着脱が可能。主に測定器や映像機器で使用されます。
SMAコネクタ：小型で高周波対応。マイクロ波帯域（最大18GHz）まで対応可能で、通信機器やレーダーなどに使用されます。
F型コネクタ：ねじ式構造で、主にテレビやBS/CSアンテナなどの家庭用途に使われます。
N型コネクタ：中型サイズで高周波かつ高耐久。基地局や屋外無線装置などに適しています。
TNCコネクタ：BNCと似た構造でねじ式を採用し、振動環境に強い特性を持ちます。
MCXコネクタ：超小型で、GPS機器や無線LANモジュールなど小型機器に最適です。

同軸ケーブルコネクタの利点

同軸ケーブルコネクタには、伝送品質の高さや信頼性といった多くの利点があります。これにより、高速通信や安定性が求められる多様なシーンで活用されています。

優れた高周波特性：テレビ放送の安定した映像伝送、レーダーシステムの正確な信号処理。
着脱のしやすさ：BNCコネクタによる工具不要の交換、F型コネクタの簡単なねじ固定。
種類の多さによる柔軟性：ナイロンコネクタハウジングとの併用による筐体設計の最適化、SMAやN型を用途に応じて選択可能。
高い耐久性：屋外設備での耐候性、振動の多い鉄道車両での接続安定性。
小型化への対応：ドローンやウェアラブル機器へのMCXコネクタの活用、小型IoTモジュールでの省スペース実装。

一方で、同軸ケーブルコネクタには以下のような注意点もあります。

周波数帯域に制限がある：特定の用途に特化して設計されているため、他用途への流用が難しい場合があります。
接触不良のリスク：低品質な製品や長期使用による摩耗で、信号劣化が起こることがあります。

同軸ケーブルコネクタの選び方

同軸ケーブルコネクタを選定する際には、以下のような観点が重要です。

コネクタの性別（オス／メス）：中心ピンがあるものがオス、受け口がメスです。接続相手と正しく一致させる必要があります。
嵌合方向：ストレート型、ライトアングル型、基板対基板、ケーブル対基板など、物理的な配置に応じた選択が求められます。
取り付け方式：パネルマウント、ケーブルマウント、スルーホールタイプなど、筐体や基板との整合性が必要です。
インピーダンス：主に50Ωまたは75Ω。無線通信機器では50Ω、テレビアンテナでは75Ωが一般的です。
ライネージ（耐電力）：使用する周波数や出力に応じた耐電力性能を考慮する必要があります。
コネクタの種類：使用目的に応じて、SMA、BNC、F型、N型などから適切な形式を選びます。

同軸ケーブルコネクタの用途

同軸ケーブルコネクタは、産業用、商業用、ホビー用途を問わず、多くの分野で利用されています。特に高周波を扱う装置や長距離伝送が必要な場面で、その性能が発揮されます。

再生可能エネルギー装置：風力タービンの監視システム、太陽光発電の通信装置でのデータ送信。
半導体製造装置：高精度の計測器や検査装置での信号接続に使用。
鉄道や輸送機器：車両間の無線通信や監視カメラシステムにおける耐振動対応のコネクタ接続。
放送・映像設備：スタジオや中継車における高品質な映像・音声伝送。
ホビー・DIY：無線機やアンテナ工作において、同軸ケーブル延長コネクタなどが使われています。

同軸ケーブルコネクタの主なメーカー

同軸ケーブルコネクタは、多数の信頼性あるメーカーから供給されています。高周波特性、耐久性、取り付け性などの観点から、用途に応じてブランドを選ぶことが重要です。

RS PRO：世界中の多様な産業用途に向けた、コストパフォーマンスに優れた製品を提供。
Amphenol RF：高周波コネクタ市場での豊富な実績を持ち、SMAやBNCを中心に幅広い製品ラインアップ。
Molex：小型高密度接続に強みを持ち、民生機器から産業用まで広く対応。
TE Connectivity：信号整合性と堅牢性に優れ、基地局や自動車向けに多くの実績があります。
Radiall：航空宇宙や防衛分野で信頼される高品質コネクタを開発。
Wurth Elektronik：ヨーロッパを中心に展開し、堅牢かつ取り扱いやすいコネクタで定評があります。

同軸ケーブルコネクタは、安定した通信と高周波信号の信頼性を支える基礎部品です。日本国内においても、5G・再生可能エネルギー・スマート交通システムなどの分野で、その重要性は今後さらに高まると考えられます。

同軸ケーブルコネクタ用RSコンポーネントのご紹介

RSは、日本全国で使用される同軸ケーブルコネクタの世界的なサプライヤーとして認知されています。当社は、日本の高い性能・信頼性基準を満たす同軸ケーブルコネクタを提供しており、産業用途から革新的なプロジェクトまで対応する幅広い同軸ケーブルコネクタを卸売価格で取り扱っています。おすすめ品や交換部品も低価格でご用意しています。配送については、配送ページをご確認ください。