VCXO発振器(電圧制御水晶発振器)は、外部デジタルPLLを介して出力周波数を制御する必要がある設計で使用されます。VCXO周波数は、印加された制御電圧(Vc)によってプルされます。この機能は、所望の出力周波数を長期間維持して、ドリフトの原因となる水晶振動子の経年劣化を相殺するためのものです。設計者 / エンジニアは、選択したVCXOのプル範囲がどのようになっているかを把握する必要があります。
総プル範囲は、最小制御電圧から最大制御電圧への周波数シフトに等しく、通常は50 → 200 ppm (最大)です。
絶対プル範囲(APR)
VCXOを指定する際に使用されるもう1つの一般的なパラメータは、絶対プル範囲(APR)で、VCXOでは±35 → ±50 ppm (最小)です。
APRは、周波数に影響するその他の側面として、 温度、 エージング、 電源の変動、 負荷の変動などを考慮した後の最小プル範囲として定義されます。
APRは、総プル範囲から温度、 エージング、 電源の変動、 及び負荷の変動の予想される変化を差し引いたものです。
設計者は、製品の寿命にわたるすべてのドリフトに対応すると期待されるAPRを選択します。
VCXOの設計には3種類あり、 基本波水晶振動子を使用するタイプ、 3次高調波水晶振動子を使用するタイプ、 内部PLLで周波数を逓倍して出力周波数を拡張するタイプがあります。
基本波水晶振動子のタイプは、80 MHz以下に制限されており、 3次高調波設計では、200 MHz以下の高周波数と最高の位相ノイズ / ジッター性能を実現できます。PLLタイプは、周波数範囲が最大2100 MHzと最も広く、プログラマブル発振器を使用して利用できます。