可変容量ダイオードは、逆方向電圧を印加することで静電容量が変化するダイオードです。バリキャップ、バラクタ、バラクタダイオードとも呼ばれています。印可電圧によって静電容量が非直線的に変化するため、周波数変調や自動周波数制御などに用いられます。
このダイオードは、PN接合によって構成され、空乏層の容量特性を利用したデバイスです。ダイオードのPN接合部分に逆電圧を印加すると空乏層が発生し、絶縁体と同じ働きをします。さらに、空乏層の厚みは、印加する逆電圧に応じて連続的に変化させることができます。このため、逆電圧を大きくすると空乏層も厚くなり、静電容量(接合容量)は減少します。反対に逆電圧が低くなると静電容量は増加します。
逆バイアスを使用しているため直流電流は流れないが、静電容量を電圧によって制御できるコンデンサとして使われています。例えば、共振回路のコンデンサとして使用すると、発振周波数は逆バイアス電圧を変化させることで制御することができます。つまり、発振周波数が直流電圧で制御できることになります。これは移動体通信機器などの電圧制御発振器(VCO)にも使われています。同様に、この特性を利用して、TV、ラジオ、通信機器などにおける電子同調回路、FM変調に応用されることもあります。この他、マイクロ波領域では周波数逓倍にも利用されています。