活かすも殺すも
~ 電源の設置と配線 ~
—— 入手したらスグに使えるので便利ですね。
組込みやオンボードなどのモジュール電源は、電源をブラックボックスとして扱え、専門的な設計が不要なことが一番のメリットです。とはいえ、ブラックボックスの外側の扱い、具体的には電源の設置(配置)や配線には、気を配る必要があります。
前項とも関連しますが、設置では放熱に対する配慮が必要です。図2の右側を見ても分かるとおり、取り付け方法によっても放熱効率は異なります。周囲のエアフロー(空気の流れ)にも気を配ってください。搭載機器にファンが取り付けられている場合は、ファンからの気流を遮らず電源の周囲を通る様にし、自然空冷の場合は対流の循環がスムーズになる位置に配置します。何れの場合も電源の周囲には空間を設け、熱がこもらないようにしてください。最低限確保すべきスペース条件はそれぞれの説明書に記されています。
いっぽう、配線の善し悪しはEMC性能、つまりノイズを出さない、ノイズの影響を受けないという能力に大きく影響します。
ほとんどのモジュール電源はスイッチング電源であり、ノイズ源となる要素を含んでいます。その意味では、グラウンドの配線を短くする、オープンタイプのものはシールドを施すといった対策は必要です。
もう一つ考えなければいけないのは、電源はノイズの流入経路・流出経路に置かれるアイテムであるということです。例えば、AC/DCコンバータの入力は機器外部のコンセントからのACラインですから、様々なノイズが重畳していると考えられます。電源には、機器の入り口でこれを阻止し、ノイズを機器の内部に取り込まないようにする働きもあるわけです。ところが、電源の入力と出力の配線を近づけたり束ねてしまったりすると、この間でノイズが乗り移り、電源を素通りして出力に現れてしまいます。
また、近くにノイズ源がある場合、入力や出力の配線で大きなループができると、ループがノイズを結合するアンテナやサーチコイルの働きをします。電源の出力は回路の各部につながれるので、結果的にノイズをばら撒いてしまうことになります。
こうした影響をできるだけ小さくするためには、入力と出力の配線をできるだけ離す(入出力分離)、出力のプラスとマイナスなど、ペアになる配線はループとならないように並行に密接して(できればツイストして)配線する、グランドは太く短く大面積の部分へ接続、などの基本的な配線ルールをシッカリ守ることが大切です。リモートセンシング(外部電圧検出)などを利用する場合も同様の注意を払ってください(図3)。
図3:入出力配線の注意
(上が良い例、下の3つは悪い例)