出さない・入れない
~ EMC対策 ~
—— ノイズに対する有効な手だてはありますか?
一般にノイズ対策は「シールディング」「グランディング」「フィルタリング」の三つといわれています。シールディングは、シールド板やノイズ吸収シートなどによる放射性ノイズ対策です。ケース無しのオンボード電源の近傍に感度の高い回路を配置しなければならない時になどに必要です。ちなみにノイズの結合は距離を離すことでも回避できます。言い換えると入出力の配線を近づけたり平行に配線したりすることは新たなノイズの経路を作ってしまうことになるので厳に戒めなければなりません。
二番目のグランディングは、シッカリとしたアースを確保することを意味します。太く短い配線が決め手です。グラウンドは電源出力の電流帰還ルートでもあるわけですから、大きなループを作らないようにアースポイントと配線経路を決めてください。
三つ目のフィルタリングは入力や出力にフィルタを挿入してノイズを阻止する方法です。AC/DCコンバータではAC入力側に専用のノイズフィルタ(ラインフィルタ)を必ず使用します。DC/DCでも入力側に大きなノイズが含まれる場合に対応できるフィルタが製品化されています。出力側に対しては、高周波特性の良いコンデンサの挿入、電源ライン用のノイズフィルタ、コモンモードチョーク、フェライトビーズなどのノイズ対策部品が有効です。
ただし、フィルタを使用する際には線間に生じるノーマルモードノイズに対するものなのか出力とグラウンド間に生じるコモンモードノイズに対するものなのかの意識が大切です。例えば、図9の(上)はDC/DC用の入力フィルタ、(下)は雷などの入力サージに対するサージアブソーバの例ですが、図で赤色で囲ったデバイスはノーマルモード、青色はコモンモードに対してのみ作用し、相対するモードに対しては効き目は期待できません。
図9:ノイズフィルタ(上)とサージアブソーバ(下)の効(出典:コーセル株式会社)