パスコン(バイパスコンデンサ)を設置するときのポイント
コンデンサをパスコンとして利用するためには、回路内の適切な場所に設置することが重要です。この章ではパスコンを設置するときのポイントについて解説します。
ICの電源ピンの近くに設置する
パスコンは、なるべくICの電源ピンの近くに設置する必要があります。その理由はICとコンデンサが離れていると、その間の配線のインダクタンス成分が大きくなってしまうからです。
パスコンを設置する理論的な背景には電源線とグラウンドのインピーダンスを下げることがあります。ですので、なるべく電源ピンの近くに設置することでパスコンとしての効果を得られやすくします。
また、パスコンをICの近くに設置することでノイズが流れる回路が小さくなります。これによって、他の配線に伝導してしまう可能性を低くできます。
容量が小さいものから電源ピンに近づけて設置
複数のコンデンサをパスコンとして用いることもあります。この場合には、静電容量が小さいコンデンサから順に、ICの電源ピンに近くなるように設置します。
徐々に静電容量が大きくなるようにコンデンサを配置することで、効率的なパスコンの設置が可能となります。
ノイズの周波数帯から静電容量を決める
ノイズを除去したい場合、そのノイズの周波数がどのくらいであるかによって適切なコンデンサの静電容量は変わります。
パスコンに使用するコンデンサの静電容量は、除去したいノイズの周波数帯から決めましょう。
高周波ノイズの除去には静電容量の小さいコンデンサが適しています。一方で、低周波ノイズの除去には、静電容量の大きいコンデンサでないと対応できません。
ノイズの周波数帯が広い場合には、複数のコンデンサを用いることで柔軟に対応することができます。
グラウンドのパターンを確認する
回路の配線パターンによっては、パスコンの効果が十分に得られないこともあります。
これはパスコンの配置によって解決できる問題ではなく、そもそもの回路設計を見直す必要があるかもしれません。
パスコンは適切に設計された回路に投入することで、効果を発揮するということを念頭に置いておきましょう。