電解コンデンサとは、アルミニウムなどの酸化皮膜を誘電体として使用しているコンデンサです。コンデンサとは、電気・電子回路の「受動素子」の1つで、電気を蓄えたり放出したりする電子部品です。 コンデンサの形状にはあらゆるものがあり、表面実装タイプやリードタイプがあります。電荷を大量にストックできるとの特徴から、デジタルカメラのストロボ発光の仕組みにも採用されています。 大容量化を実現できるコンデンサですが、過電圧をかける・逆向きに電流を流してしまうと、破裂や基盤の破損につながるおそれがあるため、注意が必要です。
1.容量が大きい電解コンデンサの特徴には、容量が大きいことが挙げられます。また、サイズに応じて容量・耐圧には違いがあります。そのため、電源の基板にはあらゆるサイズの電解コンデンサが搭載されていることが一般的です。 また、サイズごとにデジタル製品の回路向けの製品や、パワーエレクトロニクス向けのものなどが幅広く流通しています。
2.極性がある電解コンデンサには極性があることも特徴です。極性とは「+とー」の区別があることとなり、正しく使用すれば漏れ電流を最小限に抑えることができます。 しかし、電解コンデンサを反対に装着してしまうと、漏れ電流が増加してしまいます。このことからコンデンサ内の電解液が蒸発し、故障などのトラブルにつながるおそれがあります。
電解コンデンサの極性を見分けるには、リード部品の場合、リードが長い方が「+」短い方が「ー」です。 また、極性を見間違えないように、色やマークで判別できるようにされています。例を挙げると以下のようなものがあります。 リード部品:色が薄く、マイナスマークが付いている方が「ー」 実装部品:パッケージが黒く塗りつぶされている方が「ー」 電解コンデンサは、誤って取り付けてしまうと危険な事態に陥るおそれがあるため、極性を把握する識別子が付帯されていることが一般的です。電解コンデンサを取り付ける場合、確認を怠らないように注意してください。
電解コンデンサの極性を逆にした場合に起こる問題には、以下の3つが挙げられます。 コンデンサ容量が低下する コンデンサが発熱・破裂する 損失角の正接(tanδ)が増加する ここではそれぞれに分けて解説しますので、詳しく見ていきましょう。
1.コンデンサ容量が低下するコンデンサに逆電圧を印加してしまうと、陰極箔と電解液に含まれている水分が電気分解されてしまいます。また、電気分解されたことによって発生した酸素と陰極箔が反応することによって、陰極箔の表面に酸化皮膜が生成されます。 その結果として、陰極箔の容量が低下するのです。コンデンサの最大容量は、陽極箔と陰極箔を合わせた数値となるため、コンデンサの容量が低下してしまいます。
2.コンデンサが発熱・破裂する逆電圧を印加すると、電力損失が発生します。また、陰極箔と電解液中の水分の電気分解が起こることによって、コンデンサ内部にガスが発生し、圧力が上昇するおそれがあります。 圧力弁などが実装されていないコンデンサの場合、高圧に耐えきれず破裂するリスクを否定できません。そのため、極性を逆に接続したり、逆電圧が印加されたりするような回路での使用は避けるようにしてください。
3.損失角の正接(TANΔ)が増加するアルミ電解コンデンサの陰極部に電圧を印加することによって、電解液が消費されます。そのため、損失角の正接(tanδ)が増加します。状況によって損失角には違いがありますが、以下の要素が影響を及ぼします。 逆電圧が高い コンデンサ周囲の温度が高い 電流密度が高い これらの要素に関連して静電容量は減少し、損失角は増加します。このことから、漏れ電流の増加につながります。
コンデンサの極性にミスがないかを確認する方法には、取り付け時の目視確認が必要です。先ほど解説したように、電解コンデンサには極性を一目で見分けられるように識別子が付帯されています。 もしも、コンデンサの極性を間違えてしまうと、時間の経過とともに機器へダメージが蓄積します。その結果として、性能低下や低寿命につながるおそれがある点に注意が必要です。 しかし、多くの場合において即座に不具合につながることは少ないため、品質検査時や取り付け時には見逃してしまうことが多いかもしれません。コンデンサの取り付けに誤りがないかを常に目視確認することが重要です。
電解コンデンサに関することを解説しました。電解コンデンサは電源回路などに使われており、容量が大きな電気を扱えることが特徴です。しかし、極性の取り扱い方を間違えてしまうと、機器の劣化や故障につながるおそれがあるため、注意しなければなりません。 また、最悪の場合、破裂して事故の原因となるリスクもあります。電解コンデンサの正しい使い方を理解して安全に利用しましょう。