• 発行日 2025年7月24日
    • 最終変更日 2025年7月24日
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CNC加工ガイド

CNC加工は、複雑な部品を大量かつ効率的に製造できるため、現代において欠かせない技術です。ここでは、CNC機械の仕組み、主な種類、そして適切なメンテナンス方法について紹介します。

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CNC加工は、エンジニアが複雑な部品を高精度かつ大量に迅速に製造できるようにしたことで、製造に革命をもたらしました。本記事では、CNC加工の利点と、CNC機械の種類について解説します。

CNC加工とは?

CNCは、コンピュータ数値制御(Computer Numerical Control)の略で、コンピュータを使って製造機械のプログラム入力を行う技術を指します。これは、従来の「数値制御(NC)」の進化版です。NCは、パンチカードなどに記録された数値情報を使って機械を制御する方法です。これは、抽象化された言語を使って機械に命令を与える初期の方法でした。NC以前は、オルゴールのような機械装置を手作業でカムを削ってプログラムしていました。これにより、特定の動作や音を出すように設計されていたのです。

CNC加工では、プログラムされた入力を使って、切削工具の選択、3次元空間での切削位置、送り速度、回転速度、切り込み深さ、潤滑剤の流量などの制御された出力行います。

CNC機械の仕組み

CNC機械は、Gコードプログラミングを通じて加工パラメータを受け取って動作します。エンジニアは、(通常はCADで作成)設計済みの部品をもとに、どのように加工するかを指示するGコードを作成します。このGコードの作成には、よくCAM(コンピュータ支援製造)が使われます。

CAMは、加工の様子を視覚的に確認できるわかりやすいインターフェースを提供します。これにより、ユーザーは設計上の欠陥を事前に発見することができ、加工不良、材料の無駄、非効率な工程などを防ぐことができます。CAMを活用することで、CNCの利点を最大限に引き出すことが可能になります。

除去加工とは?

「3Dプリント」という言葉を聞いたことがあるでしょう。これは付加製造という革新的な技術で、材料を少しずつ積み重ねて形を作る方法です。一方、CNC加工は、従来からあり除去加工技術を使用します。

付加製造と除去加工の違い。除去加工:

  • 大量生産に適している一方、付加製造は試作品の製作に適合
  • 厳しい公差を実現
  • 金属部品の製造に最適
  • 部品の形状の複雑さに制限がありますが、付加製造はほぼ無限の形状に対応可能
  • 大幅なセットアップが必要
  • より滑らかな仕上げ
  • より頑丈な部品を製造
  • 高価な機械を使用

「マシニング」という言葉は、高精度な機械を使った除去加工を指します。マシニングはCNCが登場するずっと以前から存在しており、現在ではCNCによってその性能、生産効率、加工品質が大きく向上しています。

CNC加工の用途

CNC加工の利点には、以下のようなものがあります:

高い生産速度: CNC機械は、切削工具の選択や位置決めを、手動の加工機械で行うよりもはるかに速く、かつ高精度で実行できます。

高効率: CNC加工は、たとえ複数の異なる切削工具が必要な部品であっても、同じ部品を高速で大量に生産することができます。また、十分な原材料が自動供給されていれば、CNC機械は夜間でもノンストップで稼働可能です。これらにより、最小限の人手で低コストな生産が実現します。

エラーの削減: CNC加工は、製造作業における人為的ミスを本質的に排除します。これらの機械は、非常に高い精度と正確さで目的の形状を加工するため、製品の品質をより確実に保証することができます。

部品の複雑さ: 多軸加工機を使用すれば、複雑な形状の部品でも、実用的な加工設計とCAMによる適切な加工プログラムがあれば、合理的なコストで容易に製造することが可能です。

迅速な試作: CNC加工機は複雑な形状を短時間で製作できるため、設計のアイデアをすぐに形にすることができ、設計の改善にかかる時間を大幅に短縮できます。その結果、より早く最適な設計にたどり着くことが可能になります。

CNCの応用

CNC加工機は、スチール、アルミニウム、銅、木材、プラスチックなどのCNC加工に適した材料から作れるあらゆるものの製造に使用されます。

CNC加工の用途は以下の通り:

部品の製造: CNCの主な用途は、複雑な機械部品を迅速かつ確実に製造することです。

金型の作成: CNC加工は、鋳造部品や成形部品用の複雑な金型を製造することができます。

仕上げ作業: CNC加工は、やすりがけなどの仕上げ清掃工程を引き受けることで、手作業の労力を削減できます。

自動化された生産ライン: CNC加工は、自動組立ラインに統合され、機械が特定の生産段階に達した時点で、穴あけやフライス加工などの作業を行うことができます。

CNCを使用する業種

以下は、主要な産業がCNCを使用して製造している製品の一部です:

  • 自動車産業: エンジンブロック、車軸、ギアボックス、ダッシュボード
  • 航空宇宙産業: 翼型、着陸装置、タービンブレード
  • 電子機器産業: 基板、ヒートシンク、筐体、コネクタ
  • 医療と歯科: ペースメーカー、義肢、外科用器具、入れ歯、ブリッジ
  • エネルギー産業: 太陽光パネル、バルブ、ベアリング、ピストン、ブッシュ

これらは、大量生産において高い精度が求められ、人の安全も大きな懸念事項であるため、CNC加工は優れた選択肢となります。

CNC機械の種類

CNCルーター、プラズマカッター、レーザーカッターなどの種類がありますが、以下は、CNC機械の中でも代表的な種類のいくつかを紹介します。

CNC旋盤

旋盤は、加工する材料を回転させながら、切削工具を当てて材料を削り取る機械です。手動の旋盤は何世紀にもわたって使われており、操作も比較的簡単ですが、CNC旋盤はその速度や仕上がりの品質において、手動旋盤をはるかに上回ります。

旋盤は、ドライブシャフト、ポンプ、タービンなどの回転用途に使われる円形部品の加工に最も適しています。

CNCフライス盤

CNCフライス盤は、完全な3次元空間での加工が可能であり、汎用性が高い機械です。加工物は、しっかりと固定されたベッドの上に静止した状態で置かれ、切削工具がその周囲を動きながら材料を削り取ります。

これらの機械は、少なくとも3つの軸を持っており、切削工具は(通常は垂直または水平に配置され)3つの直線方向に自由に動くことができます。さらに軸が追加されることで、より多彩な加工を行う事ができるようになります。

CNCフライス盤は、ドリルビットのほか、リーマーやフェイスミルなどの切削工具を使用することができます。これらの工具は、エンジニアがCAMを使って入力したGコードに基づいて、自動的に交換されます。また、CNCフライス盤は加工物を密閉された空間に入れ、加工中の切り屑やスプレーされた潤滑剤を封じ込めます。

これらの機械は、加工できる形状や実行可能な操作の面で、高い汎用性を持っています。具体的には、穴あけ、ねじ切り、平面加工、角度加工、輪郭加工、仕上げ加工などが可能です。

CNC放電加工機

CNC放電加工機(EDM)は、物理的な切削工具ではなく電気火花を使って材料を切断します。被加工物は電気反応における一方の電極となり、機械側の電極と隣接して配置されます。これらの電極を誘電性の液体に浸され、機械はその中で制御された電気放電を発生させ、一連の強力な火花によって被加工物を焼き切るように除去していきます。

放電加工の場合、被加工物が導電性である必要があるため、木材やプラスチックの加工には適していません。放電加工は、チタンや焼き入れ鋼など、フライス加工が困難な硬い材料に最適です。また、放電加工は複雑で高精度な加工面を、材料への残留表面応力を最小限に抑えて加工することができます。さらに、循環と濾過が行われる誘電体液は、システムの冷却と金属くずの洗浄にも効果があります。

何軸のCNC機械が必要ですか?

これまでにCNC機械の「軸数」について触れてきましたが、それは具体的に何を意味するのでしょうか?CNC機械における「軸」とは、切削工具または加工物が、直線的に移動したり、ある方向に回転したりして位置を変える能力のことを指します。CNCフライス盤や放電加工機は通常、3軸から始まり、工具や電極の高さ、幅、深さの位置を制御できます。一方、旋盤は通常2軸から始まり、切削工具が回転する加工物の長さ方向と、中心軸から外径方向に移動するだけです。

CNCフライス盤が5軸機のように加工物側に軸を追加すると、加工物を載せるベッドが回転テーブルの上で回転し、さらにそのテーブル自体が軸を中心に前後に傾くことができるようになります。これにより、加工物と切削工具が高度に同期した回転を行い、工具が加工物の内部や複雑な形状にも届くようになります。

CNC機械には、さらに多くの軸を持つものも存在します。それぞれの軸が新たな動作を与え、複数の切削工具を同時に使用できる機種もあります。その分、機械のコストも上昇します。エンジニアや企業は、初期投資のコストと、製作する部品の複雑さを考慮して、自分たちの作業に最適なCNC機械を選ぶ必要があります。

CNC機械のメンテナンス

優れたCNC機械とは、丁寧にメンテナンスされている機械のことです。企業がCNC機械に投資すると、その機械は製品の品質や生産量に直結する重要な存在となります。もし機械の性能が落ちたり故障したりすれば、企業の利益に大きな影響を与えることになります。そのため、CNC機械の多くの可動部や高精度な構造を維持するには、予防保全が不可欠です。

CNC機械のメンテナンスには以下の内容が含まれます:

  • 必要に応じて切削工具ヘッドを交換する
  • 針金ブラシで部品を清掃する
  • 可動部に潤滑油を差す
  • 冷却液、油圧、空圧システムの清掃と補充
  • 過度な振動の診断と対処
  • システム温度の監視と冷却ファンとラジエーターの清掃
  • 校正

CNC機械は連続稼働が可能ですが、故障によるコスト超過を防ぐためには、定期的なメンテナンス停止が必要です。作業員にこの点をしっかり教育し、メンテナンス記録を管理し、予備部品を常に用意しておくことが重要です。

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