- 発行日 2025年9月2日
- 最終変更日 2025年9月2日
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モーションセンサIC ガイド
スマートフォンを傾けると画面が回転し、ゲーム機では身体の動きがそのまま操作に反映されます。こうした機能の裏側には「モーションセンサIC」があります。この記事では、モーションセンサICの仕組みや用途などについて紹介します。

モーションセンサICとは
モーションセンサICは、対象物の動作を感知して測定するセンサICです。 スマートフォン、ウェアラブルデバイス、ドローン、ロボット、自動車など、さまざまな分野で活用されています。 これらのICは、加速度、角速度、地磁気、気圧などの物理量を測定するセンサを内蔵しており、動きの検知や位置推定、姿勢制御などに利用されます。
モーションセンサICには、主に以下のセンサーが含まれています:
加速度センサー
加速度センサーは、物体の加速度を検出するセンサーです。重力加速度を基準として、X軸、Y軸、Z軸の3方向の加速度を測定することが可能です。スマートフォンの画面の向きを検知する機能や、歩数計測などに使用されています。
ジャイロセンサー
ジャイロセンサーは、物体の回転運動を検知するセンサーです。角速度を測定することで、デバイスの傾きや回転の状態を正確に把握することができます。ドローンの姿勢制御やゲーム機のモーション検知などに活用されています。
地磁気センサー
地磁気センサーは、地球の磁場を検知することで方位を測定するセンサーです。このセンサーにより、デバイスの向きや方向を特定することが可能です。ナビゲーションシステムやコンパス機能に利用されています。
モーションセンサの仕組み
モーションセンサーは、複数の物理量を測定することで動きを検知します。センサーの種類によって、加速度、角速度、地磁気などの異なる物理量を計測することが可能です。これらのデータを組み合わせることで、より正確な動きの検出を実現しています。
重要な検知方式として、以下の3つが挙げられます。
- パッシブ方式:自然に発生する信号を検知します。
- アクティブ方式:信号を発信して反射を検知します。
- ハイブリッド方式:両方の特徴を組み合わせます。
モーションセンサの技術
モーションセンサにはさまざまな技術が採用されています。最も一般的な例として、以下の技術があります。
- PIR(受動型赤外線) - この技術では、熱エネルギーまたは赤外線エネルギーを識別します。
- マイクロ波 - この技術では、マイクロ波信号を送信して、動体の反射を測定することができます。
- 領域反射型 -LEDから赤外線を放射し、物体から人までの距離を測定する領域反射技術が使用されます。
- 超音波 - 超音波のパルスを送信して、動体の反射を測定することができます。

モーションセンサの用途
モーションセンサICは、以下のような幅広い分野で活用されています:
- スマートフォン・タブレット:画面の自動回転、歩数計、ジェスチャー操作
- ウェアラブル機器:フィットネストラッカー、睡眠モニター、心拍連動動作検出
- ゲーム機・VR:身体の動きをリアルタイムで反映
- 産業機器・ロボット:姿勢制御、衝撃検知、ナビゲーション
- 自動車:エアバッグ展開制御、車両の傾き検出
技術トレンド
モーションセンサICは、さらなる小型化、高精度化、低消費電力化が求められています。また、AIとの連携による動作認識の高度化や、センサーフュージョンのアルゴリズム進化も注目されています。
一方で、ノイズや温度変化による誤差、センサ間のキャリブレーションなど、技術的な課題も残されています。これらを克服することで、より多様な応用が可能になると期待されています。近年のモーションセンサICは、以下のような技術進化を遂げています:
- 小型・薄型化:ウェアラブルやスマートデバイスへの組み込みが容易になっています。
- 低消費電力化:常時動作でもバッテリー負荷を抑制します。
- AI連携:センサデータをリアルタイムで解析し、動作予測や異常検知に活用されます。
- 高精度化:ノイズ除去技術や温度補正により、安定した検出性能を実現しています。
モーションセンサICに関するFAQ
モーションセンサICの主要メーカー
まとめ
モーションセンサICは、加速度、角速度、地磁気などの複数の物理量を高精度に検出することで、物体の動きや姿勢をリアルタイムに把握する重要な技術です。スマートフォンやウェアラブルから、ドローン、自動車、産業機器に至るまで、幅広い分野で活用されています。
センサーフュージョン技術の進化により、より複雑な動作認識や位置推定が可能となり、今後も応用範囲は拡大していくと予想されます。一方で、精度向上や消費電力の低減、環境変化への対応など、技術的課題も残されています。今後のモーションセンサICの発展は、IoTやAIとの連携を通じて、よりスマートで直感的なデバイスの実現に貢献していくでしょう。モーションセンサー技術は、IoT時代の重要な基盤技術として、今後さらなる発展が期待されています。


