• 発行日 2023年10月11日
    • 最終変更日 2025年1月16日
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軸流ファンとは何?特徴や注意点、よくある質問をわかりやすく解説します!

軸流ファンとは、あらゆる電子機器や施設に取り入れられている装置です。しかし、あまり知られていない縁の下の力持ちといえます。この記事では、軸流ファンの特徴や注意点、よくある質問についてわかりやすく解説します。

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軸流ファンとは何?

軸流ファンは、大量の空気を効率的に移動させ、物体の冷却や空間を換気する装置です。

ファン全体を支えるフレームにモーターが配置されており、その周囲に風を生み出す羽根が取り付けられています。

用途や目的ごとにあらゆるサイズのものが製造されていますが、いずれも少ない電力で稼働できるものばかりです。一般的には、電子機器や大掛かりな空調が必要となる施設などに使われています。

遠心ファンとの違い

遠心ファンは、放射ファン・遠心ブロワーと呼ばれている機器です。このタイプのファンには、空気を放出するインペラが備わったモーター駆動のハブが備えられており、コンセントにつなげられています。

遠心ファンは軸流ファンよりもより多くの電力を必要としますが、少ない気流を高圧で送風することを目的に使われる場合がほとんどです。たとえば、ダクトやパイプを用いて換気する用途に使用されます。

軸流ファンの特徴は2つ

軸流ファンの特徴は、以下の2つが挙げられます。

  1. 特徴1.静圧が低い代わりに風量が大きい
  2. 特徴2.取り付けがしやすい

ここではそれぞれに分けて解説しますので、詳しく見ていきましょう。

特徴1.静圧が低い代わりに風量が大きい

軸流ファンは、静圧が低い代わりに風量が大きいことが特徴です。静圧とは風が静止した状態で周囲を押す力のことを指し、静圧が大きいほど遠くまで風を送ることができます。

また、軸流ファンは、コンパクトなサイズでありながら大きな風量を実現できることから、省スペース性と機能性を両立することが可能です。

そのため、電子機器などの内部温度をスピーディーに下げたい場合に適しています。

特徴2.取り付けがしやすい

軸流ファンは構造がシンプルなため、あらゆる機器や場所に取り付けやすいことが特徴です。また、サイズや特性のバリエーションが多く、選択肢も豊富に用意されています。

そのため、電子機器だけではなく、大規模な換気が求められるオフィスビルや塗装工場、各種プラント設備など、規模の大小を問わずにあらゆる場所や用途に使われています。

軸流ファンの注意点は3つ

軸流ファンの注意点は、以下の3つが挙げられます。

  1. 漏洩磁束が生じる
  2. 静圧は上昇しにくい
  3. 旋回失速領域が現れる

ここではそれぞれに分けて解説しますので、詳しく見ていきましょう。

1.漏洩磁束が生じる

漏洩磁束とは、モーターの外側に漏れ出してしまう磁力線のことを指します。

軸流ファンモーターの磁気回路設計によっては磁力線が漏れ出してしまい、ほかのコイルや配線と磁気結合すると、ノイズが発生する原因となります。

このことにより、磁力の影響を受けやすい機器が誤作動を起こしたり、故障の原因となったりするおそれがある点に注意が必要です。

2. 静圧は上昇しにくい

軸流ファンは静圧が低く、機器内の抵抗が大きい状況だと風量を上げにくい点にも注意が必要です。たとえば、外部で強風が吹くような状況だと気圧差が原因となり、給排気がスムーズにできないおそれがあります。

また、ファンを組み合わせてデメリットを解消しようとしても、互いに干渉してしまうこともあるため、実装するときには注意してください。

3.旋回失速領域が現れる

軸流ファンにはP-Q特性があり、 風量が増えると静圧が低下してしまいます。また、途中で傾きに大きな変化が見られる「旋回失速領域」が現れることも特徴です。

旋回失速領域とは、失速が現れ始める領域のことを指します。最大風量側において、空気は羽根の表面に沿って流れますが、静圧が高くなると空気は羽根の表面から離れた流れへと変化し、この状態を失速と呼びます。

軸流ファンの主な用途は2つ

軸流ファンの主な用途は2つ

軸流ファンの主な用途には、以下の2つが挙げられます。

  1. 機器の冷却
  2. 送風や給排気

ここではそれぞれに分けて解説しますので、詳しく見ていきましょう。

1.機器の冷却

軸流ファンは、あらゆる機器を冷却することを目的として使われています。身近に使われているものの例を挙げると、以下の通りです。

  • 家庭用電化製品
  • OA機器

軸流ファンは比較的リーズナブルな価格で取り付けられていますが、機器の内部温度を効果的に下げる効果があります。

ほかにも、太陽光発電パネルや工業用ロボット、3Dプリンタなどの領域にも軸流ファンが活用されています。

2.送風や給排気

送風や給排気を要する場合にも、軸流ファンは使用されています。空気の循環を促し、室温を平均化する、結露防止が目的です。

そのため、ビルの空調や地下室の換気にも使われています。また、トンネルの工事現場や産業プラントなど、空気が循環しにくい場所での吸排気にも取り入れられています。

軸流ファンを空間の広さに応じて適切な台数を設置することによって、ホコリや水分、熱などを効果的に排除することが可能です。

軸流ファンでよくある7つの質問

軸流ファンでよくある質問には、以下の7つが挙げられます。

  1. 軸流ファンにおける市場予測は?
  2. 軸流ファンにおける最新技術の動向は?
  3. 軸流ファンをうまく使うコツは?
  4. AC軸流ファンとは何?
  5. 軸流ファンを選定する際のポイントは?
  6. P-Q特性(風量-静圧特性)とは何?
  7. 軸流ファンモーターの原理とは?

ここではそれぞれの質問について解説しますので、詳しく見ていきましょう。

質問① 軸流ファンにおける市場予測は?

株式会社グローバルインフォメーションが公表している調査結果によると、軸流ファン市場の規模は2028年に32億1980万USドルに到達すると予測されています。

新型コロナウィルスによる影響を受けましたが、電子機器をはじめとしたあらゆる分野で欠かせない存在といえる軸流ファンは、引き続き高い需要があると見込まれています。

今後は、AIを搭載した高性能な軸流ファンが流通することが期待されているようです。

参考:軸流送風機市場の予測(2028年まで):速度・サイズ(直径)・用途・タイプ・エンドユーザー別の分析

質問② 軸流ファンにおける最新技術の動向は?

軸流ファンのエネルギー効率と寿命のために、軸受は重要な部品となり得ます。目的ごとに選ばれる軸受の例を挙げると、以下の通りです。

  • 安価かつ低振動:スリーブベアリング
  • 長寿命、高耐久性:ボールベアリング
  • 低騒音かつ薄型ファン:動圧軸受

また、これらに加えて基盤などに特殊コーティングを施した軸流ファンがあります。耐水性・防油防塵性能が高められており、過酷な環境においても利用できる最新技術が取り入れられています。

質問③ 軸流ファンをうまく使うコツは?

軸流ファンには、高風量・高静圧・低騒音など高い機能性が備えられたものが豊富にあります。そのため、送風や換気、冷却などあらゆるシーンで活用されています。

軸流ファンをうまく使うコツとしては、旋回失速領域を把握することです。ファンの動作点を最大風量側とすることによって、騒音や電力を下げることが期待できます。

質問④ AC軸流ファンとは何?

AC軸流ファンとは、交流電源を用いた機器冷却用の軸流型の送風機を指します。

機器内に発生した熱の排出や内部に給気することを目的に使用します。電子機器内の温度をコントロールすることが主な役割です。電子機器を稼働させることによって発生する熱を給排気することで、正常な動作を維持するためにAC軸流ファンが活用されています。

質問⑤ 軸流ファンを選定する際のポイントは?

軸流ファンを選ぶ場合、以下の手順を踏んで行います。

  1. 発熱量を見積もる
  2. 温度上昇値を決定する
  3. 必要な風量を試算する
  4. システムインピーダンスを推定する
  5. P-Q特性から実装するファンを選ぶ
  6. 装置に実装し、温度上昇を測定する

また、システムインピーダンスを推定する際、用いられる式は以下の通りです。

△P = KQn(Pa)

  • △P :低下圧力(m3/min)
  • K:定数 装置ごとに実測する
  • Q:風量
  • N:装置内の空気の流れにより決められる値。一般的にはn=2とする。

質問⑥ P-Q特性(風量-静圧特性)とは何?

P-Q特性(風量-静圧特性)とは、ファンがどのような性能を持つかを表す数値です。

軸流ファンのカタログには、商品ごとの特性を示すために以下のような曲線が載っています。

縦軸:P(静圧)

横軸:Q(風量)

こちらの特性は、ファンの種類によっても異なります。しかし、同じ種類のファンであったとしても型番が違えば曲線に差が出るケースがある点に留意しなければなりません。

質問⑦ 軸流ファンモーターの原理とは?

軸流ファンモーターが風を発生させるのは、飛行機のプロペラが推進力を得るのと同じ原理が働きます。

ファンが回転することにより、羽根周辺の空気に作用を与えて風速が上昇すると同時に静圧についても上昇します。

軸方向に吸い込んだ空気をそのまま送り出すため、遠心ファンのような高い静圧で送風することはできません。また、風を拡散することも難しいことだといえます。

しかし、軸流ファンモーターは、構造と原理が非常にシンプルなため、コンパクトなサイズであったとしても、大きな風を生み出すことが可能です。

まとめ

軸流ファンの特徴や注意点について解説しました。軸流ファンはコンパクトなサイズでありながら強い風量を生み出す装置として、あらゆる電子機器や施設の吸排気に取り入れられている存在です。

また、取り付けも簡単にでき、機種のラインナップも豊富にそろえられていることから、あらゆるシーンに活用されています。軸流ファンを選ぶ場合は、解説した手順で計算を行い、適したものを選ぶようにしてみてください。

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