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      • 発行日 2023年8月28日
      • 最終変更日 2023年11月9日
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    ベアリングの種類や用途、歴史などの基礎知識を解説!

    ベアリングは、世の中のあらゆる機械に使われています。しかし、その種類や用途、歴史などについて詳しく知っている人は多くはないでしょう。そこで本記事では、ベアリングについて基礎的な知識を解説しますので、ぜひ参考にしてみてください。

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    ベアリングとは?

    ベアリングとは、機械の中にあって軸を滑らかに回転させることを主な目的とした部品です。「軸の回転を受けて支えることから「軸受(じくうけ)」とも呼ばれることがあります。

    また、ベアリングは「内輪、ボール、外輪」の3つの層で構成されており、外輪を機械に固定し、内輪に軸をはめ込むことによって、軸を安定させ、滑らかに回転させることが役割です。

    ベアリングの種類

    ベアリングには回転物と固定物をつなぎ、回転を助ける役割があります。さまざまな方向からの荷重を受けることから「軸受」と呼ばれていることは解説した通りです。ここでは、ベアリングの種類について紹介しますので、詳しく見ていきましょう。

    「鋼球」と「ころ」の違い

    ベアリングは「鋼球」と「ころ」の2種類に分けられます。「鋼球」は文字通りボールの形状をしており「ころ」は、ローラー状です。一般的なころには、円筒ころ、針状ころ、円すいころなどが挙げられます。

    また、鋼球については、低荷重の高速回転体の軸受に使用されることが多く、ころは大きな荷重の軸受として使われることがほとんどです。

    ころの動定格荷重が大きい理由

    ころは、接触部が線状となり、点接触の鋼球と比較すると、大きな接触面積を持つことが特徴です。そのため、接触面積が大きく接触応力が小さいことが、動定格荷重が大きい理由だといえます。

    ※大動定格荷重:ベアリング寿命に関する用語となり「100万回転で定格寿命が得られる、軸受にかかる方向と大きさが一定の荷重」のこと

    ラジアル軸受とスラスト軸受

    ベアリングが受ける力には、2つの種類があります。軸に対して上下から受ける力をラジアル荷重、横からの力がスラスト荷重です。

    ラジアル軸受は、主に自動車のタイヤや電車の車輪、油圧ショベルなどの建設機械に使われています。また、スラスト軸受は自動車のトランスミッション、重機などの旋回部分、パラボラアンテナの台座として使われています。

    組み合わせて使われることもあり、身近な例を挙げると、ショッピングカート車輪を考えるとわかりやすいかもしれません。カートの車輪で前後に動く軸部分にはラジアル軸受が、上部に位置する方向を決める部分にはスラスト軸受が用いられています。

    ベアリングの構造

    ベアリングの構造は、内輪と外輪、ボールの3層です。

    内輪と外輪の間にボールがたくさんあります。ボールが転がる内輪と外輪のことを「軌道輪(きどうりん)」と呼び、ボールが「転動体」です。

    また、転動体には先ほど解説した球状の「ボール」と「ころ」があります。さらに、転動体が軌道輪から外れる・ボール同士の接触を防ぐ部品「保持器」です。

    これらの組み合わせ方や形状によって、あらゆる種類のベアリングに分かれており、それぞれ異なった特徴を備えています。一般的に、ボールを使うベアリングは高速回転する機械に使用されており、ころを使うベアリングは大きな力に耐えられることが大きな特徴です。

    円滑な回転に欠かせない潤滑剤

    ベアリングが安定して円滑に回転するには、転がり運動の摩擦を可能な限り減らし、摩耗を防がなければなりません。この役割を担うのが潤滑剤です。

    ベアリングの潤滑剤には、グリスと潤滑油が使われています。また、潤滑剤にはベアリング内部に発生する熱を取り、寿命を延ばす効果もあります。

    ベアリングの歴史

    現在では生活にとって欠かせないベアリングの歴史は、紀元前から綿密に受け継がれています。ここでは紀元前からルネサンス期、近代に至るまでベアリングの歴史についてご紹介しますので、詳しく見ていきましょう。

    1.紀元前

    ベアリングの歴史は、紀元前にまで遡ります。当時の建造物は大きく、重量がある石がたくさん使われていました。建造物を作るには、大量の石を運ぶことが求められます。

    現代では、クレーンやブルドーザーのような重機を用いますが、その当時はこのような文明の利器はありませんでした。当然、人力で石を運搬します。

    そこで、少しでも効率的に運ぶために地面と石の間に円柱形のころを置いて運んだとされています。ころが回転することによって、摩擦を減らしたことがベアリングの起源です。

    2.ルネサンス

    そこから時代が進み、現代のベアリングに近いアイデアを考えたのは、ルネサンス期のレオナルド・ダ・ヴィンチだとされています。西暦で示すと1500年頃となり、当然、車や飛行機は存在しません。

    レオナルド・ダ・ヴィンチは、自動車のような乗り物や空を飛ぶ機械のスケッチを残しており、ベアリングが欠かせないものだと想像していたとされています。実際に残されているスケッチには、保持器付きベアリングの原型ともいえるものがあります。

    3.産業革命

    近代になり、1800年代初頭にはイギリスで産業革命が起こりました。産業革命はこれまでの人手でものを作るのではなく、急速に機械化が進められ、効率的に大量のものが生産されるようになったのです。

    資本主義の発展と併せ、競争と拡大を繰り返し猛烈なスピードで技術が発展しました。1800年代の後半から1900年になると、あらゆる分野で機械化が進められ、ベアリングについても大量生産されるようになりました。

    また、現在の自動車の原型が発明されたのは産業革命前の1700年代後半、世へ普及し始めたのが1900年代初頭です。このことから、産業革命で培われたベアリング生産の技術が欠かせないことは想像に難くはないでしょう。

    4.日本においてベアリングが発展したのは1950年〜

    日本では、1916年にベアリングの量産が開始されました。そこから生産体制が発展するには3~40年の時間を要します。それには家電の普及が関係しており、1950年から三種の神器と呼ばれた「洗濯機・冷蔵庫・モノクロテレビ」が庶民にも使われるようになったことが理由です。

    さらに、1965年頃からは「自動車・クーラー・カラーテレビ」まで広く使われるようになり、このことがベアリングの大量生産することにつながっています。そこから、商品の性能や技術競争によって、高性能なものが求められるようになり、それに伴ってベアリングの性能も高められるようになりました。

    ベアリングはこんなところに使われている

    ベアリングが使用される機械には、以下のようなものが挙げられます。

    • 自動車:タイヤのハブ、等速ジョイントなど
    • 航空機:エンジン主軸部、回転部など
    • 発電機:主軸部、発電機内部など
    • 冷蔵庫:引き出し部、ファンなど
    • 掃除機:モーター、キャスター部分など
    • エアコン:室外機・室内機のファン部分など

    これら以外にも、縦横の方向への回転が求められる部位にベアリングは使用されています。たとえば、自動車1台には100~150個のベアリングが使われているとされています。

    さらに、社会的にも広く使われており、自動改札機から産業用ロボット、ロケットまでありとあらゆるものに取り入れられています。また、子ども用のおもちゃとしてよく知られている地球ゴマや、その原理を応用したベイブレードなどもベアリングが使われているのです。

    ベアリングの種類に関するよくある2つの質問

    ベアリングの種類に関するよくある質問には、以下の2つが挙げられます。

    • 質問1.ベアリングの分類にはどんなものがありますか?
    • 質問2.ニードルローラーベアリングって何ですか?

    ここではそれぞれの質問についての回答をご紹介します。

    質問1.ベアリングの分類にはどんなものがありますか?

    ベアリングの分類には、大きく分けて「転がり軸受」と「滑り軸受」の2種類があります。転がり軸受について解説すると、玉軸受と、ころ軸受に分けられ、さらにそれぞれラジアル玉軸受・スラスト玉軸受に分類されます。

    そこから、仕組みや形状、使われている部品によって、深溝玉軸受、アンギュラ玉軸受、円筒ころ軸受、自動調心ころ軸受などに分けることが可能です。それぞれの特徴や機能についても解説します。

    • 深溝玉軸受:ボールを使った一般的なベアリング。あらゆる分野で使われている
    • アンギュラ玉軸受:内輪と外輪に接触するボールの角度を斜めにしたベアリング。ラジアル・アキシアル荷重を受けられる
    • 円筒ころ軸受:円筒のころを用いたベアリング。ラジアル荷重を受けられる。大きな力や衝撃に耐えられる
    • 自動調心ころ軸受:たる型のころを使用したベアリング。ラジアル・アキシアル荷重を受けられる。軸のたわみや傾きに対応できる

    質問2.ニードルローラーベアリングって何ですか?

    ニードルローラーベアリングとは、ニードルローラーをボールの代わりに使用した転がり軸受のことです。断面高が小さいため、機械全体の軽量・コンパクト化に寄与しています。

    特徴としては、剛性が高く、慣性力が小さいことが挙げられるでしょう。主な用途としては自動車二輪車をはじめ、電気機械、航空宇宙機器、一般産業機械など多岐にわたります。

    ベアリングの種類や用途、歴史などについて解説しました。ベアリングの種類は「鋼球」と「ころ」に分けられ、目的や用途ごとに使い分けられています。

    また、ベアリングは荷重がかかる方向ごとに、ラジアル荷重とスラスト荷重に分けられ、前者は自動車のタイヤなどに、後者は重機の旋回部分などに使用されています。

    さらに、ベアリングは紀元前から使われており、人間の英知の結晶だともいえるでしょう。現在では、生活になくてはならないものとして家電製品から宇宙ロケットまで幅広い分野で使われています。ぜひ、この記事をチェックしてベアリングに関する知識を深めてみてはいかがでしょうか。

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