• 発行日 2023年7月26日
    • 最終変更日 2025年12月2日
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ボタン電池の種類・サイズ・用途|選ぶ前に知っておきたい基礎知識

ボタン電池の種類やサイズ、安全な取り扱い方法や廃棄方法まで、使用時のポイントを分かりやすくまとめた総合ガイドです。用途に応じた電池の選び方に加え、実用的な疑問点も整理しており、ボタン電池の基礎知識を幅広く理解したい方に役立つ内容となっています。

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ボタン電池(コイン電池)は、充電式と非充電式に大別される小型電池で、長期間にわたり安定して微小電力を供給できるよう設計されています。補聴器や腕時計、電卓、小型電子機器など幅広い用途があり、こうした多様なニーズに応じてさまざまな種類が用意されています。

用途によって使われる電池が異なることも、ボタン電池を選ぶ際の重要なポイントです。例えば、車のキーレスエントリーキーや一部の小型リモコンなど、機種によってボタン電池が採用される場合があり、必要な電池規格が異なることがよくあります。用途と電池仕様の組み合わせを理解しておくことが、誤った選択を防ぐうえで重要です。

また、業務でボタン電池を使用する場合も、種類やサイズ、安全性、廃棄方法を事前に確認しておくことが重要です。これらを正しく把握することで、安定した機器運用と安全管理につながります。

そこで本ガイドでは、ボタン電池を選ぶ際に役立つ情報をまとめて紹介します。

ボタン電池とは?

ボタン電池は、一般的に直径25mm未満、高さ5mm未満の小型電池です。円盤状の形状をしていることから、この名称で呼ばれています。

腕時計や電卓、補聴器、一部の小型リモコンなどの小型電子機器に多く採用されており、比較的少ない電力で長期間動作させる用途に適しています。使用される材料もリチウム、酸化銀、空気亜鉛、アルカリなど多岐にわたり、それぞれの用途に応じて材料が異なります。

ボタン電池は何に使うのか?

Button Battery

ボタン電池は、多くの小型電子機器の電源として利用されています。主な使用例には、次のようなものがあります。

  • 腕時計
  • 電卓
  • 小型リモコン/キーレスエントリーキー
  • 補聴器
  • 医療機器(血糖値測定器など)
  • デジタル温度計・温湿度計
  • 小型LEDライト

ボタン電池の種類

ボタン電池には、主に次のような種類があります。化学系ごとに電圧や特性が異なるため、用途に応じて適した種類が変わります。

アルカリボタン電池

アルカリボタン電池は、電卓や照明付き玩具などの低〜中消費電力の小型電子機器に使用されています。特徴として、コストを抑えながら利用できる点が挙げられ、電圧は約1. 5Vです。容量は電池サイズによって異なりますが、代表的なアルカリボタン電池ではおおむね50〜150mAh程度です。

リチウム電池(CR系)

リチウムボタン電池は、車のスマートキー、小型電子機器、デジタル腕時計など幅広い機器に採用されています。3Vの高い電圧と長寿命、温度環境への強さが特長です。容量は電池のサイズによって異なりますが、代表的なCR系ではおおむね40〜240mAh程度と、ボタン電池の中では比較的大きめになっています。

酸化銀電池(SR系)

酸化銀ボタン電池は、アナログ腕時計を中心に、安定した電圧が求められる小型電子機器で広く使用されています。電圧の安定性に優れ、医療関連機器でも採用される場合もあります。電圧は約1.55Vで、容量は20〜100mAhです。

空気亜鉛電池(PR系)

空気亜鉛ボタン電池は、補聴器専用の電池として使用されています。空気孔を開けると反応が開始される構造を持ち、大きな容量と安定した電圧が特長です。電圧は約1.4Vで、容量は50〜130mAhです。

ボタン電池のサイズと型番の見方

ボタン電池にはさまざまなサイズがあり、一般的には型番(表記コード)で区別されています。型番は、最初の2文字が電池の化学系を表し、続く数字が電池のサイズ(直径と高さ)を示す仕組みになっています。

最初の2文字には、電池の種類を示す記号が使われています。例えば、CR はリチウム電池、SR は酸化銀電池、LR はアルカリ電池を意味します。この後に続く数字は、「直径→高さ」の順で構成されており、前半2桁が直径(mm)、後半2桁が高さ(0.1mm単位) を示します。例えば「2032」という数字であれば、直径20mm・高さ3.2mmという意味になります。

代表的なサイズには次のようなものがあります。

  • 1220:直径12mm・高さ2.0mm
  • 1620:直径16mm・高さ2.0mm
  • 2032:直径20mm・高さ3.2mm
  • 2450:直径24mm・高さ5.0mm

特に使用頻度の高いリチウムボタン電池としては、CR2032 や、より大容量の CR2450 が広く利用されています。これらは車のスマートキーや小型電子機器で採用されることが多く、安定した 3V 電源を必要とする用途に適しています。また、薄型の機器では CR1620 や CR1220 のような小型タイプが使用されるケースもあります。

例えば、温度計や活動量計などの薄型デバイスでは CR1620 や CR1220 が使用されることが多く、サイズの違いがそのまま動作時間や搭載しやすさに影響します。一方で、スマートキーや LED ライトでは、より容量の大きい CR2032 や CR2450 が選ばれる傾向があります。同じ CR 系であっても厚みや容量が異なるため、機器の仕様に合わせて型番を確認することが重要です。

ボタン電池の電圧と選び方

ボタン電池には複数の定格電圧があり、これはリチウム電池・酸化銀電池・アルカリ電池など、化学系ごとに固有の電圧特性が異なるためです。代表的な電圧には1.5V(アルカリ)・1.55V(酸化銀)・3V(リチウム) などがあり、特殊用途では 3.6V などの高電圧タイプが使用されることもあります。

ボタン電池を選ぶ際は、使用する機器の仕様に合った電圧を選ぶことが重要です。電圧が低い電池を使用すると、正常に動作しない原因となり、逆に定格より高い電圧の電池を入れると、機器の故障や安全性の問題を引き起こすおそれがあります。

一般的なボタン電池の定格電圧とその用途には、次のような例が挙げられます。

1.5V

1.5Vのアルカリ電池と、ほぼ同系統の電圧である1.55Vの酸化銀電池(SR系)は、腕時計や電卓などの小型電子機器で広く使用されています。一方、安定した電圧が求められる機器には酸化銀電池(SR系)が、コストを抑えたい用途にはアルカリ電池(LR系)が使用されています。

3V

3Vのリチウム電池は、車のスマートキー、各種センサ、小型電子機器、デジタル腕時計などに多く採用されています。容量が大きく、温度変化にも強いため、長寿命が求められる用途に適しています。

3.6V

3.6Vの電池は特殊用途向けで、産業用機器、医療関連機器、センサー類など、特別な仕様が求められる場面で使用されます。

同じ電圧であっても、すべてのボタン電池が互換性を持つわけではありません。化学系や容量が異なると、使用した際の性能や適合性に違いが生じることがあります。必ず機器の仕様を確認し、用途に合った電池を選ぶことが大切です。

ボタン電池の安全性

Button Battery

ボタン電池は小型で誤って飲み込みやすく、特に幼い子供やペットにとって危険性があります。誤って飲み込んでしまうと、電池が体内で反応して食道などを傷つけ、短い時間で重い症状につながるおそれがあります。誤飲を防ぐために、幼児が開けられない高い位置や鍵付きのケースなど、手が届かない安全な場所で保管することが大切です。

また、ボタン電池は金属類と接触するとショートが発生し、急激に発熱することがあります。これにより、破裂したり、周囲に可燃物がある場合には、ごくまれに発火へつながるおそれも生じます。鍵や硬貨などの金属類と一緒に保管しないよう注意してください。

さらに、高温環境では劣化しやすく、膨張や液漏れといった異常が見られた場合は使用を避けることが重要です。異常のある電池はテープで端子を絶縁し、自治体の回収ルールに従って適切に廃棄してください。

人気のメーカー・ブランド

ボタン電池はさまざまなメーカーから販売されており、代表的なメーカーには次のようなものがあります。

ボタン電池の廃棄方法

ボタン電池を廃棄する際は、安全性と環境保全のため、適切な方法で処分することが大切です。ボタン電池には金属や電解液が含まれており、不適切に捨てると環境への影響が生じるおそれがあります。

廃棄する場合は、お住まいの地域で定められた回収方法に従ってください。多くの自治体では、家電量販店の電池回収ボックスや地域の資源回収で受け付けています。使用済みの電池は、廃棄までの間にショートが起きないよう、端子をテープで絶縁しておくと安全です。

使用済みの電池は、他の電池や金属類と接触するとショートして発熱するおそれがあります。そのため、保管や持ち運びの際は、金属製の容器へ入れたり、鍵や硬貨などと一緒に置いたりすることは避けましょう。

ボタン電池を適切な方法で廃棄することで、安全上のリスクを防ぎ、環境への負荷を軽減できます。

よくあるご質問(FAQ)

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