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      • 発行日 2024年4月26日
      • 最終変更日 2024年4月26日
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    コンパレータとは?回路の構成や機能、アンプとの違いについて解説

    コンパレータは電子部品の一つで、アナログ・デジタル変換や電圧レベルの測定など、信号を比較する必要があるシーンで使われます。今回の記事では、コンパレータの機能や役割について解説し、オペアンプとの違いにも触れていきます。

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    Comparator

    コンパレータとは?

    コンパレータは電子回路部品の一つ

    コンパレータ(Voltage Comparator)は電子回路用の部品の一つです。電子回路の記号はオペアンプと同じであるため、コンパレータとオペアンプは同一のものだと認識される場合もありますが、用途が異なります。ICやセンサなどに用いられることが多い、電子回路構築でなくてはならない部品の一つです。

    コンパレータの機能は信号の比較

    コンパレータの機能は信号の比較です。コンパレータは「Compare(比較する)」が名前の由来となっており、日本語では比較器と呼ばれることもあります。

    2つの端子に入力された信号のうち、どちらが大きいかを検出して出力する機能を持っています。

    入力信号によって出力が変わるため、2つのデータを比較することはもちろん、ある信号が期待するものと同じかどうかを検出する用途でも用いられます。

    また、アナログ値のような連続値をある基準信号で比較して、高いか低いかを判断し出力するということはデジタル値に変換していることと同義です。このため、コンパレータはアナログ値をデジタル値に変換する目的でも組み込まれることがあります。

    コンパレータを見る

    コンパレータ回路の仕様

    5つの端子で構成

    コンパレータは5つの端子で構成されています。それぞれの端子は以下の通りです。

    • 正電源端子
    • 負電源端子
    • 非反転入力端子
    • 反転入力端子
    • 出力端子

    正電源端子と負電源端子はコンパレータを動作させるための電源を供給する端子です。 非反転入力端子はプラス入力端子とも呼ばれ、比較したい信号の1つ目を入力します。反転入力端子はマイナス入力端子とも呼ばれ、非反転入力端子と同様、比較したい信号の2つ目を入力します。 コンパレータでは非反転入力端子と反転入力端子の電位差を比較して、出力端子から出力します。

    2入力1出力

    コンパレータには5つの端子がありますが、実際にはそのうちの2端子(正電源端子/負電源端子)がコンパレータ動作のための電源なので、一般的には2入力1出力の回路素子となります。

    出力形式は2種類ある

    コンパレータにはPush-Pull出力とオープンコレクタ/ドレイン出力の2種類があります。

    その違いは内部の回路構造です。Push-Pull出力のコンパレータはトランジスタを2つ組み合わせたトーテムポール型で構成されているのに対して、オープンコレクタ/ドレイン出力のタイプはFET(電界効果トランジスタ)で構成されます。

    Push-Pull出力の場合には出力端子から電源端子に向かって静電保護ダイオードが存在するため、電源電圧の大きさ+0.6Vの電圧が出力端子に印加されてしまうと、出力端子から電源端子に電流が流れてしまい、故障してしまう恐れがあります。

    故障を防ぐためには出力端子側に外付けで抵抗を付けます。こうすることで想定以上の電圧を印加してしまうことを防止できます。

    一方で、オープンコレクタ/ドレイン出力の場合にはダイオードは存在しないため、動作電源電圧範囲以下の電圧であれば出力端子に印加してしまったとしても問題はありません。

    出力形式も気にしつつ、回路構成によって適切なコンパレータを選択すると良いでしょう。

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    コンパレータの役割

    コンパレータの役割は大きく分けて3つあります。それぞれ解説します。

    アナログ・デジタル変換

    コンパレータは入力信号が基準より大きいか小さいかを出力するため、実質、アナログ値をデジタル値に変換する役割を担います。

    電圧レベルの測定

    規定の電圧よりも大きいか測定したい場合に、比較対象の信号と基準となる電圧レベルを入力して比較することができます。

    例えば、入力信号が規定のしきい値よりも大きいならばスイッチをONに、そうでなければスイッチをOFFにするようなスイッチングの機能に応用することが可能となります。

    波形の比較

    アナログ波形をモニタリングして、波形が規定のしきい値を超えたときに出力を制限する機能をコンパレータで実装することができます。

    複数の条件を実装したい場合にも、コンパレータを組み合わせることによって実現できるでしょう。

    オペアンプとの違い

    コンパレータはオペアンプと同じものだと誤認識されることがあります。たしかに似ていますが、機能には多少の違いがあります。

    この章ではコンパレータとオペアンプの違いについて解説します。

    【前提】オペアンプはコンパレータとして利用できる

    前提として、コンパレータはオペアンプと同じ増幅器の一種です。すなわち、オペアンプをコンパレータとして利用することも不可能ではありません。

    しかし、コンパレータの機能としてオペアンプを利用するのは性能的な問題が発生する場合があるため、推奨はされません。

    オペアンプはアナログ値を対象としている

    オペアンプとコンバータは対象とする信号の種類が異なります。

    オペアンプは入力信号を増幅したものを出力するため、アナログ値を対象とした電子回路部品です。一方で、コンパレータは入力信号が高いかもしくは低いかを判断したデジタル値を出力します。

    高速な動作を望む場合には専用コンパレータの利用を推奨

    一部のオペアンプはコンパレータのような扱い方をすることを想定されていないため、コンパレータのような高速な動作を実現できないことがあります。

    結果として、入力に対して出力が遅れてしまい、オペアンプをコンパレータの用途で用いてしまうと、回路全体の品質を下げてしまうことが懸念されます。

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    まとめ

    今回の記事では、電子部品の一つであるコンパレータについて解説しました。

    コンパレータは信号の比較に使われるもので、この特性を応用してアナログ・デジタル変換などを実装できます。

    オペアンプと似たような特徴があり、オペアンプをコンパレータとして利用することも可能です。しかし、より的確な動作を望む場合には専用のコンパレータを利用した方が良いでしょう。

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