—— 電気二重層キャパシタの用途について、より具体的に見ていきましょう。
再生可能エネルギー発電所
電気二重層キャパシタは、再生可能エネルギー発電所でバッファとして活用されています。発電所などの大型施設では大型リチウムイオン電池が用いられているため、電気二重層キャパシタの蓄電容量では発電所での使用に耐えることができません。
しかし、リチウムイオン電池に流れ込む電流量を一定にするためには、電気二重層キャパシタにバッファの役割を持たせて介することが理想です。そのため風力発電所・太陽光発電所などの再生可能エネルギー発電所では、バッファとして電気二重層キャパシタが使用されています。
新幹線などの鉄道車両
電気二重層キャパシタは、新幹線などの鉄道車両でエネルギー回生を目的として活用されています。たとえば、加速の際に使用したエネルギーをブレーキにより回収する、クレーンの巻き上げで使用したエネルギーを巻き下げの際に回収する…など、使用したエネルギーを回生して再び蓄電することで燃費を向上させるために使用されているのです。
以上のように鉄道車両においては、エネルギー効率を高めるためにエネルギー回生の目的で電気二重層キャパシタが使用されています。
医療・工場などに設置される精密機器
精密機器を設置する医療の現場や工場でも、電気二重層キャパシタが欠かせません。精密機器は落雷や台風などで停電や瞬間的な電圧低下が起きた場合、動作が不安定になったり、故障してしまったりすることもあるでしょう。
しかし、電気二重層キャパシタを精密機器に搭載することにより、停電・電圧低下時に蓄電した電力で動作を続けることができるようになります。万が一の際に電気二重層キャパシタが蓄積した電力が使えれば、安全に機器を終了させたり、自家発電装置へと切り替えたりする時間的な余裕が生まれるはずです。
そのため、医療分野や工場などの精密機器には、万が一に備えて電気二重層キャパシタが搭載されています。
スマートフォンや携帯電話
電気二重層キャパシタは産業用だけではなく、スマートフォンや携帯電話など身近な電気機器にも使用されます。スマートフォンや携帯電話での用途は、主にメモリのバックアップ用の電源や時計の作動用として、です。
また、アプリやシステムの起動など大きな負荷がかかる動作の際には、電気二重層キャパシタが電力源として本体電源のパワー不足を補っています。電気二重層キャパシタは産業分野で広く利用されているだけでなく、私たちにとって身近な機器であるスマートフォンや携帯電話にも組み込まれているのです。