—— フェライトって何ですか?磁性体の話は難しくてよく分かりません。
フェライト(Ferrite)とは簡単にいうと、酸化鉄と他の酸化金属を混ぜ合わせて焼き固めた磁器(セラミック)です。
フェライトには大別して2種類あり、マグネット(磁石)用途と、トランスやコイルなど磁性部品のコア(磁心)として大量に使用されています。自由な形に成形できるので、複雑な形状や小さな部品にも適しています。なお、コイルやEMC対策用には、電線とコアが短絡しないように、電気抵抗が絶縁体並みに高い素材が主に使われています。
高周波の分野ではコイルのコアとして用いられます。フェライトは渦電流が流れにくいので、高周波での損失(渦電流損)が少ないからです。EMC対策用のフェライト部品も高周波応用の一つといえますが、一般の高周波応用とは逆にフェライトの損失を利用します。
フェライトのような素材は、磁性体といわれています。正確には強磁性体といい、簡単にいえば石にくっつくのが強磁性体です。鉄はよく磁石にくっつくので強磁性体です。しかし、プラスチックやアルミのように磁石にくっつかないのは強磁性体とはいいません。
強磁性体はさらに2種類に分けられます。一つは軟磁性体(ソフト)で、もう一つは硬磁性体(ハード)です。
軟磁と硬磁は磁気特性上の分類であり、機械的な硬さ柔らかさという意味はありません。例えば、ソフトフェライトというのは、磁界を取り去ったときに磁性が残らない(永久磁石にならない)フェライトという意味であって、柔らかなゴム状のフェライトのことではありません。反対に、ハードフェライトとは永久磁石になるフェライトのことをいいます。したがって、ゴム状のハードフェライトもあります。