- 発行日 2025年4月28日
- 最終変更日 2025年5月20日
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ロータリエンコーダとは?
ロータリエンコーダは、様々な機械システムの監視と制御に使用されています。本記事では、ロータリエンコーダとは何か、その機能と用途について説明します。
スティーブン・ベトルズ(テクニカルサポートエンジニア、2025年1月)によるレビュー
ロータリエンコーダは、機器の監視と制御に広く使用されている電気機械装置です。ロータリエンコーダは、軸の角度位置や回転をデジタル信号やアナログ信号(軸の速度や位置に比例する電圧)に変換することで動作します。これにより、軸の速度、加速度、位置に関する情報を正確に伝えます。
ロータリエンコーダの用途は? ロータリエンコーダは、オートメーションの制御だけでなく、例えば、包装、紡織、マテリアルハンドリングアプリケーションなどのモータフィードバック用途(つまり、モータの速度/位置の制御)にも使用されます。
ロータリエンコーダの他の用途としては、自動車両制御やロボット工学、レーダーシステム、レオメーター(粘度や粘弾性を測定する装置)などがあります。
ロータリエンコーダの仕組み
例えば、磁気式ロータリエンコーダは、軸に取り付けられた磁石と磁化ホイールを使用して軸の位置を検出し、光学式ロータリエンコーダは、パターン化されたディスクとLEDライトを使用して1回転あたりのカウントを記録します。
磁気式か光学式かを問わず、ロータリエンコーダはインクリメンタル形とアブソリュート形に分けられます。ロータリエンコーダの種類については、以下に説明します。
ロータリエンコーダの機能
ロータリエンコーダは、機械的な動きを信号に変換することで、軸の位置と速度の計算を可能にします。エンコーダが生成するアナログまたはデジタル信号は、性能のフィードバックや機器の制御に使用することができます。ロータリエンコーダが広く使用されている理由は、簡単に使用でき、コスト効率が高く、信頼性が高いことです。
ロータリエンコーダの種類
ロータリエンコーダの技術は数多くあり、アブソリュート形とインクリメンタル形に分類されますが、どちらにも光学式と磁気式があります。詳細は以下をご覧ください。
光学式ロータリエンコーダ
ロータリエンコーダが軸に取り付けられたディスクやホイールを読み取り、データを生成する方法はいくつかあります。その中でよく使われるのは、光学式センサを使用する方法です。このタイプは、光学式ロータリエンコーダとして知られています。
光学式ロータリエンコーダは、ディスクに開口部を持っています。開口部とは、光が通過できるスリットやスロットのことです。軸が回転すると、センサは光のパルスとスリットによる光の遮断を測定します。これらのパルスを追跡することで、車軸やシャフトの正確な位置と速度を示す信号を生成することができます。光学式ロータリエンコーダは、LEDとフォトセンサを使用して動作します。出力タイプには、プッシュプル、TTL、IOリンクがあります。
アブソリュート形ロータリエンコーダ
アブソリュート形ロータリエンコーダは、シャフトの速度と方向だけでなく、絶対位置も示す独自の信号を送信します。アブソリュート形ロータリエンコーダは、電源が停止してもこの位置情報を保持するため、電源が再投入されると、その位置データをすぐに利用できます。アブソリュート形ロータリエンコーダは、停電後など極めて精密な位置決めが必要なアプリケーションでよく使用されます。アブソリュート形ロータリエンコーダは、各シャフト位置に個別のマークが付いたディスクを用います。
アブソリュート形ロータリエンコーダの特長として、始動時に校正する必要がないことが挙げられます。エンコーダ値と機械の関係は、組み立て時に設定されるため、エンコーダを再校正する必要がありません。これは、機械のスタートアップ性能に関して大きなメリットがあります。アブソリュート形ロータリエンコーダは、複数の軸で正確な動作検出が必要な場合にも有用で、インクリメンタル形エンコーダよりも全体的な分解能が高い傾向があり、停電からの復旧が必要な場合にも優れています。
インクリメンタル形ロータリエンコーダ
アブソリュート形ロータリエンコーダとは対照的に、インクリメンタル形ロータリエンコーダは比較的簡単に使用でき、安価であるため広く使用されています。サーボモーターへの応用や自動化/制御において、速度と距離の情報を提供するのに適しています。インクリメンタル光学式エンコーダでは、位置と速度に関する信号を生成するセンサアレイを含むプリント回路基板を備えています。軸が回転すると、センサによって捕捉された情報がパルスに変換されます。インクリメンタル形エンコーダは、各回転に対して指定された数のパルスを与え、さらに一般的には設定されたゼロ位置で1パルスを与えます。インクリメンタル形エンコーダは、汎用性があり、コスト効率が高く、さまざまな要件に合わせて簡単にカスタマイズできます。
磁気式ロータリエンコーダ
磁気式ロータリエンコーダは、高い信頼性と堅牢性、または小型軽量が要求される場合によく使用されます。このエンコーダは、磁石とホイールを使用して位置と速度を示す出力を生成します。磁気式ロータリエンコーダは、回転を磁界の変化として検出し、その情報を電気信号に変換します。
磁気式ロータリエンコーダは、軸(典型的な例は、サーボモータフィードバックアプリケーションにおけるモータの軸)に取り付けられた永久磁石と、プリント回路基板(PCB)上の磁気センサを備えています。軸が回転すると、永久磁石も回転します。プリント基板に取り付けられた磁気センサは、磁界の方向の変化を検出し、回転速度と位置に関する情報を伝えます。
ロータリエンコーダの用途
ロータリエンコーダの選び方について、1回転あたりのパルス数は、軸の回転数と接続する外部機器が受け入れることができる1秒あたりの最大パルス数を、必要な分解能に応じて検討する必要があります。出力信号レベルも適合していなければなりません。軸のサイズ、IP定格などの物理的特性も考慮する必要があります。
アブソリュート形ロータリエンコーダは、余分な電子回路を必要とせず、位置決め情報を出力します。アブソリュート形ロータリエンコーダは、位置決め精度が重要なCNC(コンピュータ数値制御)工作機械の向きなどを決定するような精密作業に適しています。
通常、ロータリエンコーダは、可動部品の精密な制御が必要な用途に広く使用されています。前述のように、最も一般的なものの1つはモータ制御です。例えば、モータの負荷が増加して速度が低下すると、ロータリエンコーダは一定の速度を維持するためにモータの速度を上げるフィードバックを提供します。これは、多数のサーボモータに依存して動作するロボットのような用途には重要です。
コンベアベルトの制御、工作機械の切削ヘッドの位置設定、倉庫の床を横切る商品の搬送など、この汎用性の高い装置は、現代の産業において重要な役割を担っています。
ロータリエンコーダが必要な場合は、RSにお問い合わせください。
また、ロータリエンコーダ取り付けブラケットやモーションコントロールセンサも取り扱っています。