- 発行日 2023年10月24日
- 最終変更日 2025年1月20日
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集積回路とは?仕組みや製造工程、市場規模について詳しく解説!
集積回路(IC)とは、ダイオードやトランジスタ、抵抗、コンデンサといった半導体を組み合わせて一つのチップ上に載せた装置のことを指します。当記事では、集積回路について詳しく解説していきます。

集積回路(IC)とは?
集積回路(Integrated Circuit、IC)は、電子デバイスや電子回路を極小のシリコンウェーハ(シリコン基板)上に集積した電子部品です。
私たちが日常的に使用しているスマホなどの、さまざまな電気製品の製造には「集積回路」が欠かせません。
ICは、トランジスタ、抵抗器、コンデンサなどの電子部品を1つのチップに収め、高性能な電子回路をコンパクトに構築するための技術です。現代の電子機器や情報技術の根幹を支え、スマートフォン、コンピュータ、自動車、医療機器などあらゆる分野で使用されています。
集積回路をはじめとした半導体の種類については、こちらをご覧ください。
集積回路は微細加工技術の結晶
集積回路の技術は、時代と共に進化し続けています。
集積回路の製造には、精巧な微細加工技術が駆使されています。
たとえば、一つのシリコンウェーハ上に多数のチップを形成しますが、その過程では良品となる割合が重要な要素となります。
その一方で、大量生産と集積度の向上によるチップの大型化に対応するため、シリコンウェーハのサイズもそれに伴って大きくなっており、現在では450mmφの開発も進行中です。
集積回路が製造されるには、シリコンウェーハのインゴットを作る素材メーカー、半導体製造装置を作るメーカー、そしてこれらの装置を使って製品を作る半導体メーカーが一体となって取り組んでいます。
さらに、チップやパッケージ化後の製品をテストする、テスターメーカーが支えています。そして、これらのチップを用いて回路基板を作り、電気製品を生産する機器メーカーへとつながって、半導体産業の広がりが形成されています。
集積回路の歴史
集積回路の歴史は、1950年代にまで遡ります。
1958年には、テキサス・インスツルメンツのジャック・キルビーが最初のICを開発し、その後、フェアチャイルドセミコンダクターのロバート・ノイスが独自にICを発明しました。初期のICは数個から数十個のトランジスタを集積し、主にミリタリーおよび宇宙航空分野で使用されました。
1960年代に入ると、集積度が向上し、数百個のトランジスタを1つのチップに収めることが可能になり、コンピュータ産業での利用が始まりました。
1970年代になると、VLSI(Very-Large-Scale Integration)技術が登場し、数百万個のトランジスタを集積したチップが実現されました。これにより、コンピュータの性能が飛躍的に向上し、パーソナルコンピュータが普及しました。
集積回路の仕組み
集積回路は、シリコンウェーハ上に薄い絶縁体(通常は酸化シリコン)が形成され、その上に複数の層が積層されています。各層にはトランジスタ、抵抗器、コンデンサ、配線などが配置され、これらの部品が微細なパターンで相互に接続されます。
集積回路は、アナログ集積回路とデジタル集積回路の2種類があります。
集積回路の製造工程
ICの製造工程は、複雑かつ高度なプロセスで構成されています。一般的に、以下の工程に分けられます。
設計
ICの設計工程では、デバイスの機能、回路構造、レイアウト、信号経路、電源配線などが計画されます。CAD(Computer-Aided Design)ツールを使用して、回路の設計とシミュレーションが行われます。
前工程
前工程では、シリコンウェーハ上にトランジスタ、抵抗器、コンデンサなどの部品がパターニングされます。この工程には、リソグラフィ、エッチング、ドライエッチング、液浸エッチング、イオン注入などのプロセスが含まれます。
後工程
後工程では、配線層、メタライゼーション、パッケージング、テストなどが行われます。配線層では、部品間の配線が形成され、メタライゼーションでは金属層で電気的に接続されます。パッケージングでは、ICを保護し、外部との接続を提供します。最後に、テスト工程でICの機能と品質が確認されます。
集積回路の分類
集積回路は機能や構造に応じて、さまざまな方法で分類されます。
モノリシックとハイブリッド
モノリシックICは、1つのシリコンウェーハ上にすべての部品が集積されたものです。トランジスタ、抵抗器、コンデンサなどがウェハー上に形成され、高度な集積度を持ちます。
ハイブリッドICは、複数のチップやデバイスを用いて、異なるウェハーを製造し、後で物理的に組み合わせるものです。ハイブリッドICは、高出力や高耐熱性が必要なアプリケーションに適しています。
アナログ集積回路とデジタル集積回路
アナログ集積回路は、連続的な信号を処理するために設計されています。
たとえば、オーディオ信号処理、電力制御、センサーインタフェースなどです。アナログICは、信号の微細な変化を正確に扱うことが求められます。
一方デジタル集積回路は、デジタル信号(0と1)を処理し、論理ゲート操作を行うために設計されています。マイクロプロセッサ、メモリ、ロジックゲートなどです。デジタルICは高速な演算が可能で、複雑なアルゴリズムやデータ処理に使用されます。
集積回路の市場規模
集積回路産業は世界中で巨大な市場を形成しており、年々成長を続けています。デジタル技術の普及、モバイルデバイスの増加、IoTの拡大などが、この成長をけん引しています。
さらに、新たな用途や市場が開拓され、AI、自動運転、5G通信、クラウドコンピューティングなどの分野での需要が急増しています。
ICの市場は、デバイスごとに異なり、デジタルIC、アナログIC、メモリICなどがあります。特に、デジタルIC市場は巨大で、スマートフォン、パーソナルコンピュータ、データセンターなどの需要が牽引しています。
また、自動車業界や医療機器分野でもICの需要が増加しており、これらの分野における利用も増加しています。
まとめ
集積回路(IC)は現代の電子技術において不可欠な要素であり、その発展は情報技術の進歩に大きく貢献してきました。
ICの歴史は半世紀以上にわたって、初期のトランジスタから現代の高度な集積回路までの進化が鮮明に見て取れます。ICの設計と製造は高度な技術と専門知識を必要とし、高い精度で行われています。
ICは、アナログとデジタル、モノリシックとハイブリッドなど、多くの異なる形態があり、幅広いアプリケーションに対応しています。また、IC産業は急速に成長しており、新たな技術の導入や市場の拡大が予測されています。ICの進化は、私たちの日常生活や産業において、ますます大きな影響を与えるでしょう。
生活の豊かさに関わるものなので、ぜひ注目してみてください。
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