- 発行日 2023年6月1日
- 最終変更日 2026年8月5日
- 5 分
オシロスコーププローブとは?測定品質に関わる種類と選び方
取材協力:テクトロニクス社

オシロスコーププローブとは、測定対象の電圧や電流などの信号を検出し、オシロスコープへ伝送するための測定用機器です。本記事では、オシロスコーププローブとは何かを整理したうえで、オシロスコーププローブの種類と、測定条件に合ったオシロスコーププローブの選び方を解説します。
オシロスコーププローブとは
「プローブ」とは、信号の検出と、オシロスコープまでの信号伝送を行う機器のことです。オシロスコープ用のプローブでは、測定対象に接触・接続するなどして信号を検出し、その信号を測定器へ伝送することで、波形や測定値を確認できます。
オシロスコープは電気信号の波形を映し出しますが、正確な測定を行うには、測定対象や条件に合ったプローブを使用することが重要です。プローブは信号の検出と伝送を担うため、本体を使いこなすうえで欠かせない機器のひとつです。
プローブの役割
それでは、プローブの役割について詳しく見ていきましょう。
測定対象への負荷を軽減する
オシロスコープにおけるプローブの重要な役割のひとつは、測定対象への負荷を軽減することです。電子回路の信号を測定する際は、測定対象にプローブを接触・接続するなどして信号を検出しますが、その際に回路へ負荷がかかり、測定結果に影響を及ぼすことがあります。
プローブは、測定対象への負荷をできるだけ抑えるように設計されています。測定対象や条件に合ったプローブを使用することで、回路への影響を抑えながら測定しやすくなります。ただし、回路への影響がゼロになるわけではありません。
測定に必要な周波数帯域を確保する
オシロスコープで測定する信号に必要な周波数帯域を確保することもプローブの重要な役割のひとつです。本体とプローブには、それぞれ測定できる周波数帯域が定められています。実際に測定できる周波数帯域は、オシロスコープ本体とプローブを組み合わせた測定系によって決まります。
そのため、測定する信号や波形に応じて、オシロスコープ本体との組み合わせを確認し、必要な帯域を備えたプローブを選択することが重要です。
外部で発生するノイズの影響を抑える
オシロスコープのプローブには、外部で発生するノイズの影響を抑える役割もあります。測定系には周囲からの外来ノイズが混入することがありますが、多くのプローブでは、シールド構造のケーブルなどによって、その影響を抑えられます。
このように、プローブは、観測波形への外来ノイズの影響を抑える役割も担います。
オシロスコープのプローブの仕組み
オシロスコープのプローブは、次のような仕組みで動作します。
高い入力インピーダンスにより回路への影響を軽減
電圧測定に用いる多くのプローブでは、高い入力インピーダンスにより、測定対象となる回路への影響を軽減します。その入力インピーダンスは、プローブの種類や減衰比、信号周波数などによって異なり、周波数が高くなると、入力容量による負荷の影響が大きくなることがあります。汎用オシロスコープ本体の入力抵抗は1MΩが一般的ですが、製品によっては50Ωに切り替えられるものもあります。測定対象や使用するプローブに応じて、オシロスコープ本体の入力条件とプローブの仕様が適合していることを確認し、適切な組み合わせで測定することが重要です。
方形波信号を用いて補正用コンデンサを調整する
受動電圧プローブの中には、プローブのケーブルやオシロスコープの入力特性による影響を含め、組み合わせた測定系の周波数特性を補正するため、補正用コンデンサが設けられているものがあります。プローブ補正用の方形波信号を測定し、波形が適切に表示されるよう、必要に応じて補正用コンデンサを調整します。
減衰比とアッテネータ設定を確認する
電圧プローブには、アッテネータによって測定信号を一定の比率で減衰させ、オシロスコープへ伝送するものがあります。測定した電圧値を正しく表示するには、プローブの減衰比がオシロスコープ側で正しく認識または設定されているかの確認が必要です。減衰比が正しく認識または設定されていないと、表示される電圧値が測定対象の実際の電圧値と一致しません。
オシロスコープの測定品質を左右するプローブ
オシロスコープの多様化や機能拡張に対応するために、さまざまなプローブが存在します。プローブは、オシロスコープの測定品質を大きく左右します。そのため、必要な性能や機能に応じて、オシロスコープ本体に適合するプローブを選択することが重要です。
本記事では、プローブに関する基礎的な知識と選択のヒント、そして利用頻度が高い受動電圧プローブと電流プローブについてご紹介します。
オシロスコーププローブの種類
オシロスコーププローブの種類は、測定対象や用途に応じて多岐にわたります。主要メーカーでは、電圧・電流の別、周波数帯域、測定範囲、減衰比、接続方式などに応じて、幅広い製品を展開しています。

※図は代表的な分類例です。図中の数値や説明は一例であり、最大入力電圧、減衰比、周波数帯域、DC測定への対応などは、製品や検出方式によって異なります。実際の測定では、各製品の仕様をご確認ください。
オシロスコーププローブは、測定する信号の振幅や種類に応じて使い分ける必要があります。電圧測定に使用する電圧プローブは、代表的には受動プローブと能動(アクティブ)プローブに分けられます。受動プローブには汎用受動プローブや高電圧受動プローブがあり、能動プローブには高電圧差動プローブ、差動プローブ、シングルエンドのアクティブプローブなどがあります。高電圧受動プローブと高電圧差動プローブは、いずれも高電圧プローブとして扱われます。なお、能動プローブにも減衰比を持つ製品があります。
電流測定に使用する電流プローブには、代表的なものとして、電流トランス方式などを用いるAC測定用の受動電流プローブや、ホール効果センサなどを用いてAC/DC測定に対応する能動電流プローブがあります。
このように多くの種類があるのは、測定対象や用途に加え、オシロスコープの機種や機能が多種多様であることも理由のひとつです。同じ種類のプローブでも、周波数帯域、測定範囲、減衰比、電源方式、接続インターフェースなどが異なる製品があります。
オシロスコーププローブの選び方
オシロスコーププローブを選ぶ際は、測定対象が電圧か電流か、必要な周波数帯域、測定範囲、測定対象への負荷、オシロスコープ本体との適合性を確認します。
また、プローブを測定対象に接続・装着すると、程度の差はあるものの、測定対象や信号に影響を与える可能性があります。そのため、理想的なプローブの条件を踏まえたうえで、測定対象や用途に適したプローブを選択する必要があります。
理想的なプローブとは?
- 接続が容易で、扱いやすい
- 信号を変化させずに忠実に伝送できる
- 信号源に負荷を与えない
- 外来ノイズの影響を受けない
ただし、実際のプローブでこれらの条件をすべて完全に満たすことはできません。選定時には、周波数帯域、測定範囲、入力抵抗・入力容量などのプローブ仕様に加え、オシロスコープ本体の入力仕様や接続インターフェースとの適合性を確認する必要があります。また、減衰比やスケールの自動認識、リードアウト、波形ID、プローブ電源など、組み合わせによって利用できる機能も確認し、測定対象や用途に適したプローブを選択することが重要です。

※図はプローブ選択の一般的な目安です。図中の数値や選択条件、接続方法に関する説明は一例であり、必要な周波数帯域、測定範囲、入力負荷、接続方式などは、信号の波形や立ち上がり時間、測定対象、製品仕様、オシロスコープとの組み合わせによって異なります。実際の選定では、各製品の仕様とメーカーの推奨条件をご確認ください。
受動電圧プローブとは?
受動電圧プローブは、多くのオシロスコープに標準付属しており、低コストで汎用的なプローブとして広く使用されています。一方、アクティブプローブなどの専用プローブは、オシロスコープの測定範囲や機能を拡張する目的で用いられます。
受動電圧プローブは、プローブ本体、ケーブル、コネクタなどで構成されています。多くの受動電圧プローブには、補正や減衰のための抵抗やコンデンサが組み込まれています。「受動」という名が示すとおり、信号経路に増幅器などの能動素子は持たず、通常は外部からの電力供給を必要としません。構造が比較的シンプルなため、堅牢で経済的です。
多くの受動電圧プローブは、汎用オシロスコープで使用するように設計されています。一般的な製品では数十MHzから数百MHz程度の周波数帯域を持つものが多く、より高い帯域に対応する製品もあります。また、減衰比には1:1、10:1、100:1などがあり、測定電圧や必要な帯域、回路への負荷を考慮して選択します。中でも10:1のプローブが多く使用されています。一般に、アクティブプローブほどの高周波性能は備えていないものの、広いダイナミックレンジと堅牢性を備え、幅広い用途の信号測定に適しています。
電流プローブとは?
多くの電流プローブは、導体に流れる電流によって周囲に生じる磁界を検出し、その強さに応じた電圧信号に変換することで、オシロスコープによる電流波形の表示や解析を可能にします。
電流プローブは、DC測定への対応の有無によって、代表的にはAC専用とAC/DC対応に大別されます。多くのAC専用電流プローブは、電流トランス(変流器)の原理を利用して、導体に流れる交流電流を検出します。AC/DC電流プローブには、電流トランスとホール素子などを組み合わせ、交流成分と直流成分を検出するものがあります。
変流器方式のAC専用電流プローブは、原理上、直流電流(DC)を検出できません。一方、AC/DC電流プローブは、ホール素子などを用いることで直流電流を検出できます。ホール素子や信号処理回路を動作させるために電源が必要で、製品によっては専用のプローブ・アンプを使用します。
AC専用電流プローブの周波数帯域は、製品や方式によって大きく異なります。製品例としては、クランプ式で100MHz前後まで対応するものや、高周波電流トランスでGHz帯に対応するものもあります。変流器方式では直流を検出できず、低周波側にも測定可能な下限があり、その値は製品によって異なります。AC/DC電流プローブの場合は、一般にDCから仕様上の上限周波数まで測定できます。
電流プローブをオシロスコープの電圧測定機能と組み合わせることで、幅広い電力測定を行うことができます。オシロスコープの波形演算・解析機能によっては、瞬時電力、有効電力、皮相電力、電圧と電流の位相差なども測定できます。高精度な電力測定では、電圧プローブと電流プローブの伝搬遅延差を補正することも重要です。
オシロスコーププローブ 関連商品
広く使用されている汎用プローブ
コモンモードノイズ成分の影響を低減
高入力インピーダンス・高周波信号の測定に対応
導体を流れる電流を検出し、測定可能な電圧信号に変換
オシロスコープに加え、プローブも幅広い製品ラインアップを展開
無線通信、航空・宇宙・防衛、半導体市場などにソリューションを展開
PCオシロスコープ、据置型オシロスコープ、プローブを幅広くご提供
Tektronix、Keysight、Picoなど、主要メーカーのオシロスコープ各種



