—— それでは、パワーインダクタの使い方について見ていきましょう。
電流の大小や温度により特性が変化することがある
パワーインダクタは電流の大小や電流による温度変化で特性が変わることがあります。電流が大きくなるにつれてインダクタンスが下がる「直流重畳特性」が起きたり、電流による温度の変化で透磁率や飽和磁束密度が変わったりするのです。その他、コイルの太さ・巻線数・磁気シールド構造なども影響を与える要素とされます。パワーインダクタは一般的に設計が難しいと言われますが、電流や温度により特性が変化することが理由です。
負荷や周波数により損失が発生する
パワーインダクタでは、負荷や周波数により損失が発生します。発生する損失は巻線による銅損、フェライトコア材による鉄損で、さらに周波数が高い場合は交流電流の銅損も含みます。損失の大きさは電流・周波数・負荷の大きさに応じて大きくなるため、高周波での活用では損失の発生量が大きくなることが特徴です。パワーインダクタを使う際には、負荷や周波数による損失が起こることを前提として使うようにしましょう。
リップル電流では20~30%のインダクタンス値にする
パワーインダクタをリップル電流で使用する際には、定格電流の20~30%でインダクタンス値を定めるようにしましょう。ダイオード整流タイプのコンバータにおいては、インダクタ電流が連続して流れなくなるため電源が不安定な状態になり、ノイズや音鳴きの要因にもなります。インダクタ電流の不連続性は定格電流の10%前後で発生するため、定格電流の20~30%のインダクタンス値にすると安定した電気を流せるようになります。リップル電流では定格電流の20~30%のインダクタンス値で使用するようにしてください。