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      • 発行日 2023年10月11日
      • 最終変更日 2024年1月18日
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    半導体に使われる原料は何?新たに注目されている半導体原料についても詳しく解説!

    半導体は携帯電話やフラッシュメモリ、車などの部品に使われ、私たちの生活には身近な存在となりました。「よく使用されている=半導体は多数ある」と思われるかもしれませんが、実際に半導体として利用可能な素材は、地球上でも限られた数しかないことはご存じでしょうか。そこで当記事では、どのような素材が半導体として活用できるのかについて、分かりやすく解説していきます。

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    半導体の原料とは何か?

    半導体の原料は、元素半導体を作るときに用いる「シリコン(Si)」「ゲルマニウム(Ge)」「セレン(Se)」があり、化合物半導体を作る時に用いる「ヒ化ガリウム(GaAs)」「炭化ケイ素(SiC)」「リン化インジウム(InP)」「窒化ガリウム(GaN)」などがあります。

    元素半導体

    元素半導体は、単一元素で作る半導体を指し、代表的な原料としてはシリコン(Si)、ゲルマニウム(Ge)、セレン(Se)などがあります。

    半導体を使用した多くの製品は、この元素半導体で作られており、その中でもシリコンから作られるシリコンウエハが、現在の主流として活用されています。

    化合物半導体

    化合物半導体は、異なる元素が結合した半導体を指し、ヒ化ガリウム(GaAs)、炭化ケイ素(SiC)、リン化インジウム(InP)、窒化ガリウム(GaN)などがあります。

    元素半導体と比べると、結晶欠陥や破損が多く出てしまうのが特徴のひとつで、製造過程も複雑なため効率面でも費用が高くなってしまう傾向にあります。

    ただし、主流であるシリコンと比較すると、発光効率が良いためLEDや光通信の使用では、シリコンよりも適しているとされています。

    シリコン

    シリコンは、元素の一つで地球の地殻の中でも多く存在し、半導体におけるシリコンは、セラミックやガラスなどの無機材料の製造に使われています。

    また、電子工学における重要な元素であり、あらゆる製品に使用されています。

    半導体の原料にシリコンが使われる理由

    以前の半導体の原料として広く活用されていたのは、ゲルマニウムでしたが、地球上に存在する物質の中で酸素に次ぐ豊富さがシリコンにはあるため、枯渇の心配がなく安定して活用することができます。

    そのほかシリコンは、加工のしやすさや、コストパフォーマンスの観点からも重宝される物質として位置づけられています。

    半導体の種類

    半導体には多くの種類や、それぞれ異なる機能があります。

    電子機器や製品の種類によって使用される半導体に違いが存在しますが、その中でも「ディスクリート半導体」「IC(集積回路)」「LSI(大規模集積回路)」は広く知られている半導体です。

    ディスクリート半導体

    ディスクリート半導体とは、ひとつの素子に対してひとつの機能を持つ単一機能の半導体を指します。

    ディスクリート半導体の種類としては、ダイオードやコンデンサなどがあります。これらは、集積回路などのように半導体を組み合わせて作られるものではないため、複雑さがないのが特徴です。

    また、半導体としての仕様が定められているため、メーカーごとの仕様の違いが発生しにくいことも特徴の一つと言えます。

    ディスクリート半導体は、汎用性や生産性が高いため比較的安価なものが多く生産されており、身近なもので言いますと、スマホや車などに多く使用されています。

    IC(集積回路)

    ICは、Integrated Circuit(集積回路)の略称で、いくつかの素子を集積させたものの総称を指します。

    トランジスタやコンデンサなどを小型化して、それらを様々な組み合わせで構成し、シリコンチップに集積させたものがICです。

    身近な製品で言えば、パソコンや家電製品、ICカードなど幅広い製品にICが活用されています。

    LSI(大規模集積回路)

    LSIは、Large Scale Integration(大規模集積回路)の略称で、トランジスタやダイオードなどを組み合わせ、電子部品や配線を大規模に集積し高度な機能を可能にする電子回路部品です。

    現在は、ICの言い換えとして考えられており、主にシリコンなどの半導体で構成されることがほとんどとなっています。

    半導体の役割

    半導体は、身近な生活のあらゆる製品に活用されています。

    具体的な役割としては、電気の流れやエネルギーを、制御したり、変換したりする役割などです。いくつかの役割について詳しく解説していきます。

    電気の流れを制御する

    電子機器や電化製品など、あらゆる製品のオン・オフや電気の流れを一方向に動かすことが可能です。

    使用される半導体の例としては、トランジスタが挙げられます。

    また、電流を制御する半導体としては、コンバーターやダイオードが使用されています。

    電気エネルギーを光に換える

    半導体は、電気エネルギーを光に変換することが可能で、電子エネルギーが光線として放たれることで光に変換するという仕組みになっています。

    主に有機ELやレーザー、LEDなどの分野でこの技術が活用されています。

    光エネルギーを電気に換える

    電気エネルギーを光に変換することが可能な半導体ですが、逆の作用である光エネルギーを電気に変換することも可能です。

    この役割で、一般的に広く知られているものとしては、太陽光発電を使用した製品があります。

    シリコンに代わる新たな半導体原料とは?

    日々進化し続ける半導体ですが、現在まで広く使われていたシリコンにとって代わる新たな原料が話題となっています。

    シリコンに代わる物質として注目されているのが、「ダイヤモンド」や「炭化ケイ素」、「窒化ガリウム」です。

    ダイヤモンド

    ダイヤモンドについてですが、ダイヤモンドはシリコンなどの半導体原料より高電圧に耐性があり高速かつ高周波数帯で動作可能なため、放射線量が高い場所などでも使用が可能です。

    また、次世代の通信規格として開発が進められている6G、量子コンピューターなどでの活用も模索されています。

    炭化ケイ素

    炭化ケイ素についてですが、炭化ケイ素もシリコンと比べると高い耐圧性があったり、耐熱性を持ち合わせている物質であり、高温や高電圧が掛かる状況でも動作が可能とされています。

    窒化ガリウム

    窒素ガリウムについてですが、現在主流の原料であるシリコンと比較すると、高い省エネ性能が魅力の物質です。

    窒素ガリウムは、ガリウムと窒素を化合した物質で、青色LED(青色発光ダイオード)の原料として有名です。

    最近では、パワー半導体やレーダーへの活用が模索されており、脱炭素時代を目指す社会に適した物質として注目されています。

    まとめ

    半導体は、主にシリコンを原料として今日まであらゆる製品に使用されており、快適な日常生活を送るために欠かせない製品には、とくに使用されていることが多いです。

    また、半導体には複数の種類や組み合わせが多く存在し、様々な役割を担っています。

    近年では、シリコンにとって代わる物質として、ダイヤモンドや炭化ケイ素などが段階的に活用されており一定の成果も出しています。

    半導体は日々進化しており、脱炭素社会を目指す世界的な動きに注目が集まっています。

    また、半導体の進化が進むにつれて生活の豊かさにも変化が起きていくと考えられるため、進化が見逃せない物質でしょう。

    半導体に使用される新たな原料が発見されたら、ぜひ注目してみてください。

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