シリコンサイクルとは、半導体製造に関連する技術革新の流れを表す概念です。シリコンが半導体製造の最主要な素材であるため、この考え方は半導体業界において重大な意義を持っています。
このシリコンサイクルは、製造プロセスに必要な機器や素材の進化によって周期的に進行します。新たな製造手法が生まれると、それに適応した機器や素材が求められます。
半導体業界とシリコンサイクルは深く結びついています。半導体の需要が増えると、それに伴ってシリコンサイクルも加速し、新たな製造手法が生まれ、その結果、設備・素材の要求が高まっていくという関係性を持っています。
半導体業界は技術革新のスピードが非常に高い分野で、新製品は絶えず生み出されています。そのため、半導体製造企業は、競争相手よりも先行して優れた半導体を開発することを目指し、日々の努力を怠りません。
そして、その努力が結実し、新製品や技術の開発が成功すると、自然と多くの人々がそれを欲し、半導体の需要が高まります。
しかし、開発が成功した初期段階では、生産設備はまだ十分に整備されていないことが多く、その結果、初期には生産が追いつかず、需要に応えるために大規模な設備投資や大量の部品発注が行われます。
そうなると半導体価格は上昇し、市場は好景気に突入します。
好景気では、供給不足を解消するために大規模な設備投資が行われ、生産量が大量に増加します。しかしながら、この設備投資は即座に成果を上げるものではありません。製品の製造が安定するまでにはおおむね1年半から2年の時間が必要とされています。
この1年半から2年という期間には、各半導体製造企業の技術レベルが均一化し、競合が激化していきます。
これにより、製品や技術が広範に普及し始め、需要が頭打ちになることが見込まれます。この結果、供給が需要を上回り、価格が下落。需要と供給のバランスが逆転し、半導体市場は不況期に突入します。
このような、革新的な技術の登場による需要増と、設備投資の成果が現れた頃の供給過剰による不況期が繰り返される現象が「シリコンサイクル」の構造です。